50代という年齢は、男性にとって人生の大きな節目です。社会的にも家庭内でも責任ある立場を担い、豊富な経験と知識からにじみ出る円熟味や落ち着きは、若い世代にはない大きな魅力となります。しかし、その一方でファッションに関しては「何を着たら良いのかわからない」「若作りは痛々しいし、かといって老けて見えるのは嫌だ」「お腹周りなど体型の変化が気になる」といった悩みを抱える方が少なくありません。
20代や30代の頃と同じ感覚で服を選んでしまうと、どこかチグハグな印象になったり、年相応の品格が損なわれたりすることがあります。また、トレンドを意識しすぎると軽薄に見え、逆に無頓着すぎると「疲れたおじさん」という印象を与えかねません。50代のファッションは、これまでの経験を自信に変え、大人の魅力を最大限に引き出すための重要なツールなのです。
この記事では、50代の男性が若々しく、かつ品格のあるおしゃれを楽しむための具体的な方法を、基本原則からNG例、必須アイテム、季節・シーン別のコーディネートまで、網羅的に解説します。単に流行を追うのではなく、自分自身の魅力を理解し、それを最大限に活かすための「軸」となる考え方を身につけることがゴールです。
この記事を最後まで読めば、もう毎日の服装に悩むことはありません。自信を持って街を歩き、仕事やプライベートのあらゆるシーンで好印象を与えられる、素敵で魅力的な50代のファッションスタイルを確立できるでしょう。年齢を重ねることをネガティブに捉えるのではなく、むしろそれを武器に変え、人生をより豊かに彩るファッションの楽しみ方を見つけていきましょう。
目次
50代メンズファッションで押さえるべき3つの基本
50代のファッションを成功させるためには、やみくもにアイテムを買い揃えるのではなく、まず基本となる3つの原則をしっかりと理解し、自分のものにすることが不可欠です。この土台がしっかりしていれば、コーディネートは驚くほど簡単になり、どんな場面でも品格を失わないスタイルを築けます。ここでは、おしゃれの根幹をなす「清潔感」「ジャストサイズ」「シンプル&上質」という3つのキーワードについて、なぜそれが重要なのか、そして具体的にどう実践すれば良いのかを詳しく解説します。
① 清潔感を何よりも大切にする
50代の男性にとって、清潔感は何よりも優先されるべき絶対的な基本です。どんなに高価な服を着ていても、どんなにおしゃれなコーディネートを組んでいても、清潔感がなければすべてが台無しになってしまいます。むしろ、清潔感さえあれば、たとえ手頃な価格の服であっても、十分に魅力的で好印象を与えることができます。
なぜ50代にとって清潔感がこれほどまでに重要なのでしょうか。その理由は、加齢による自然な変化と、社会的な立場が関係しています。年齢を重ねると、肌のハリや髪のツヤが失われがちになり、若い頃と同じようにしていても、どこか疲れた印象を与えやすくなります。また、管理職やベテランとして、社内外で多くの人と接する機会が増えるため、外見から伝わる「信頼感」や「きちんとしている」という印象が、ビジネスや人間関係において非常に重要になるからです。清潔感は、そうしたネガティブな印象を払拭し、「自己管理ができる、信頼に足る大人」というポジティブなメッセージを無言で伝えてくれるのです。
では、具体的に「清潔感」はどのようにして作り出せば良いのでしょうか。多くの人が「服の汚れ」だけを気にしがちですが、清潔感はもっと多角的な要素で構成されています。
1. 服装における清潔感
- シワ・ヨレのなさ: シャツやパンツには必ずアイロンをかけましょう。特に襟元や袖口、前立て部分は目立つので念入りに。Tシャツの首元がヨレていたり、ニットの袖口が伸びていたりするのは論外です。帰宅したらジャケットやパンツはハンガーにかけ、ブラッシングする習慣をつけるだけでも、服の寿命と見た目の美しさが格段に変わります。
- 汚れ・シミ・黄ばみのなさ: 白いシャツの襟袖の黄ばみや、食事の際に付いたシミは、たとえ小さくても非常に目立ちます。定期的に漂白剤を使ったり、汚れたらすぐにクリーニングに出したりするなど、こまめなメンテナンスが不可欠です。
- 毛玉やホコリのなさ: 特に秋冬のニットやコートは毛玉ができやすいアイテムです。着用後は衣類用ブラシでホコリを払い、毛玉ができたら毛玉取り器で丁寧に取り除きましょう。黒やネイビーの服は白いホコリが目立つため、着用前に粘着クリーナーをかける一手間を惜しまないようにしましょう。
2. 服装以外の清潔感
- ヘアスタイル: 長すぎたり、ボサボサだったりする髪はだらしない印象を与えます。定期的に美容院や理容室に行き、自分に似合う手入れのしやすい髪型をキープしましょう。白髪を無理に染める必要はありませんが、活かすのであれば手入れの行き届いた清潔感が前提です。
- 肌のケア: 脂ぎっていたり、逆にカサカサに乾燥していたりする肌は、不健康な印象を与えます。洗顔後に化粧水や乳液で保湿するだけでも、肌のコンディションは大きく改善されます。
- ヒゲ・眉毛・鼻毛: 無精髭は避け、毎日きちんと剃るか、整えるのであれば清潔感を損なわないように長さを管理しましょう。眉毛や鼻毛の手入れも、清潔感を保つ上で必須のエチケットです。
- 爪: 長く伸びていたり、間に汚れが溜まっていたりする爪は、不潔な印象の最たるものです。常に短く切りそろえ、清潔に保つことを心がけましょう。
- 匂い: 自分では気づきにくい体臭や口臭にも注意が必要です。制汗剤を使用したり、定期的に歯科検診を受けたりするなど、匂いのケアも大人のマナーです。香水のつけすぎは逆効果になることもあるため、あくまでほのかに香る程度に留めましょう。
これらの要素は、一つひとつは些細なことかもしれません。しかし、これらの積み重ねが「清潔感」という全体の印象を形成します。おしゃれな服を選ぶ前に、まず自分自身のコンディションと、手持ちの服の状態を整えること。これが、50代のファッションにおける最も重要で、最も効果的な第一歩です。
② 自分に合ったジャストサイズを選ぶ
清潔感の次に重要なのが、自分の体型にぴったり合った「ジャストサイズ」の服を選ぶことです。これは、50代のファッションにおいて、若々しさと品格を両立させるための鍵となります。多くの男性が意外と見落としがちなポイントですが、サイズの合わない服は、それだけでだらしなく見えたり、逆に窮屈で野暮ったく見えたりする原因になります。
若い頃は、あえて大きめのサイズでルーズな着こなしを楽しんだり、タイトな服で体のラインを強調したりすることもファッションの一つのスタイルでした。しかし、大人の品格が求められる50代では、そうした着こなしは「だらしない」「若作りで痛い」といったネガティブな印象に繋がりかねません。ジャストサイズの服は、体のラインを最も美しく見せ、すっきりとした洗練されたシルエットを作り出してくれるのです。
特に、50代になるとお腹周りや背中に肉がつきやすくなるなど、体型の変化を感じる方が増えてきます。そうした体型の変化を隠そうとして、つい大きめのサイズの服を選んでしまうことがありますが、これは逆効果です。大きすぎる服は、体の最も大きい部分に合わせて全体のシルエットが膨張するため、かえって実際よりも太って見えてしまいます。また、肩が落ちていたり、袖や裾が長すぎたりすると、途端にだらしない印象になります。
逆に、ピチピチの小さすぎるサイズも問題です。体のラインが露わになりすぎて品がなく見えるだけでなく、服に不自然なシワが寄り、動きにくく窮屈な印象を与えます。特にジャケットの肩がパツパツだったり、シャツのボタンがはち切れそうだったりするのは、見ていて痛々しいものです。
では、「ジャストサイズ」とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか。アイテム別にチェックすべきポイントを見てみましょう。
- ジャケット: 肩のラインが自分の肩の頂点にぴったり合っていることが最も重要です。ボタンを留めたときに、胸周りにこぶし一つ分のゆとりがあるのが理想的。着丈は、お尻が半分隠れるくらいがバランス良く見えます。
- シャツ: ジャケット同様、肩のラインが合っていることが基本です。首周りは、一番上のボタンを留めた状態で、指が1〜2本入るくらいのゆとりが適切。袖丈は、腕を自然に下ろしたときに、手首の骨が隠れるくらいが目安です。
- Tシャツ・ニット: 肩のラインが落ちすぎておらず、身幅に適度なゆとりがあるものを選びましょう。ピタピタすぎず、ダボダボすぎない、体のラインを拾いすぎないフィット感が理想です。
- パンツ: ウエストは、ベルトなしでもずり落ちず、こぶしが入るほどの隙間もない状態がジャスト。太もも周り(ワタリ)は、少しゆとりがある方が動きやすく、見た目もきれいです。裾丈は特に重要で、靴の上で裾がだぶついてクッションができてしまうと、一気に野暮ったくなります。革靴の場合はハーフクッション〜ノークッション、スニーカーの場合はくるぶしが隠れる程度の長さがすっきりと見えます。
自分の正しいサイズを知るためには、一度メジャーで首周り、肩幅、胸囲、胴囲、股下などを採寸してみるのがおすすめです。また、お店で服を購入する際は、面倒くさがらずに必ず試着する習慣をつけましょう。ブランドやデザインによって同じサイズ表記でもフィット感が異なることはよくあります。試着室では、ただ鏡の前に立つだけでなく、腕を上げたり、座ったりしてみて、動きやすさや不自然なシワが寄らないかを確認することが大切です。
もし既製品で完璧にフィットするものが見つからない場合は、積極的にお直しを活用しましょう。特にジャケットの袖丈やパンツの裾丈は、数百円〜数千円で直せる場合が多く、その投資だけで見違えるほど印象が良くなります。自分にぴったりのサイズに仕立てられた服は、着心地が良いだけでなく、自信を与えてくれます。「服に自分を合わせる」のではなく、「自分に服を合わせる」という意識を持つことが、洗練された大人の着こなしへの近道です。
③ シンプルで上質なアイテムを基本にする
清潔感とジャストサイズという土台が整ったら、次に意識すべきは「どんな服を選ぶか」です。50代のファッションの核となるのは、一過性のトレンドに左右されない、シンプルで上質なベーシックアイテムです。奇抜なデザインや派手な色柄に頼るのではなく、素材の良さや仕立ての美しさが際立つアイテムを丁寧に選ぶことが、大人の品格と余裕を演出します。
なぜ「シンプル&上質」が重要なのでしょうか。その理由は大きく3つあります。
- 品格と信頼感の演出: 上質な素材(例えば、カシミヤのニット、高番手のコットンシャツ、滑らかなウールのスラックスなど)は、特有の光沢やドレープ(生地の落ち感)があり、それだけで着る人を品良く見せてくれます。シンプルなデザインは、素材そのものの良さを引き立て、誠実で落ち着いた印象を与えます。これは、ビジネスシーンやフォーマルな場において、相手に信頼感を与える上でも非常に有効です。
- 着回し力の高さ: シンプルなデザインのベーシックアイテムは、どんな服とも合わせやすく、コーディネートの幅を無限に広げてくれます。例えば、上質なネイビーのテーラードジャケットが1着あれば、インナーをシャツにすればきれいめに、Tシャツやニットにすればカジュアルにと、様々な表情を作り出せます。流行のアイテムをたくさん持つよりも、着回しの効く上質なアイテムを少数精鋭で揃える方が、結果的に賢く、おしゃれなワードローブを築けるのです。
- 長く愛用できる: 上質なアイテムは、当然ながら作りがしっかりしているため、手入れをすれば何年も着続けることができます。購入時の価格はファストファッションに比べて高いかもしれませんが、長期的な視点で見ればコストパフォーマンスは決して悪くありません。むしろ、年齢を重ねるごとに自分に馴染んでいく服を大切に着続けるという行為そのものが、大人の成熟したスタイルと言えるでしょう。
では、「上質なアイテム」とは具体的にどのようなものでしょうか。高価なハイブランド品である必要は必ずしもありません。大切なのは、以下のポイントを意識して選ぶことです。
- 素材感: 服の印象は素材で8割決まるとも言われます。直接肌に触れてみて、滑らかさ、ハリ、光沢などを確かめましょう。例えば、Tシャツなら肉厚で透けにくいもの、シャツなら目が細かく滑らかな生地、ニットならチクチクせずふっくらとした風合いのものを選びます。
- 縫製: 縫い目が真っ直ぐで、間隔が均一か、糸の始末がきれいかなどをチェックしましょう。丁寧な縫製は、服の耐久性と美しいシルエットに直結します。
- シルエット: ハンガーにかかっている状態だけでなく、実際に着たときの形が美しいかどうかが重要です。ジャストサイズを選ぶことはもちろん、体のラインをきれいに見せてくれるカッティングかどうかを確認します。
ワードローブの基本に据えるべきは、ネイビー、グレー、ホワイト、ブラック、ベージュ、ブラウンといったベーシックカラーです。これらの色はどんな色とも相性が良く、知的で落ち着いた印象を与えます。まずはこれらの色で、テーラードジャケット、上質なシャツ、ハイゲージニット、きれいめなパンツといった定番アイテムを揃えることから始めましょう。
もちろん、常につまらない格好を推奨しているわけではありません。基本がシンプルだからこそ、たまに加える色や柄が効果的に映えるのです。例えば、ベーシックなネイビージャケットとグレースラックスのスタイルに、インナーでボルドーやグリーンのニットを差し色として使ったり、ポケットチーフで柄を取り入れたりすると、ぐっとおしゃれでこなれた印象になります。
50代のファッションは、足し算ではなく引き算で考えるのが基本です。多くのアイテムを重ねたり、デザインで主張したりするのではなく、選び抜かれた上質なアイテムの魅力を最大限に引き出す着こなしを目指しましょう。それが、無理なく、知的で、品格のある大人のスタイルを完成させる最も確実な方法です。
やってはいけない!50代男性のNGファッション
50代のファッションでは、「何を着るか」と同じくらい、「何を着ないか」が重要になります。せっかくの経験や品格も、服装の選び方を間違えるだけで台無しになりかねません。ここでは、多くの50代男性が陥りがちな、避けるべきNGファッションの具体例を挙げ、なぜそれが良くないのか、どうすれば改善できるのかを詳しく解説します。自分に当てはまるものがないか、客観的にチェックしてみましょう。
全身をハイブランドで固める
高級な腕時計や上質な革靴など、ステータスを象徴するアイテムを身につけること自体は、50代の男性にとって一つの楽しみであり、魅力にもなります。しかし、それを通り越して、頭からつま先まで、これみよがしにブランドロゴが散りばめられたアイテムで固めるのは、最も避けたいNGファッションの一つです。
なぜこれがNGなのでしょうか。第一に、品性の問題です。全身をハイブランドで固めたスタイルは、周囲に「成金趣味」「自己顕示欲が強い」といったネガティブな印象を与えかねません。ブランドの力に頼っているように見え、その人自身の魅力や個性をかき消してしまいます。大人の余裕や品格とは、ブランド名をひけらかすことではなく、質の良いものをさりげなく、自分らしく着こなす姿勢に宿るものです。
第二に、TPO(時・場所・場合)をわきまえていない印象を与えます。例えば、休日の公園や近所のスーパーマーケットに、明らかに高価なブランドロゴが大きくプリントされたTシャツやスウェットで現れると、その場から浮いてしまい、滑稽に映ることさえあります。ファッションは、その場の雰囲気や目的に合わせることで、初めて洗練されたものになります。
では、ハイブランドのアイテムはどのように取り入れるべきなのでしょうか。正解は「一点豪華主義」と「さりげなさ」です。コーディネートの主役はあくまで自分自身であり、ブランド品はそれを引き立てる脇役と考えるのが良いでしょう。
- 小物で取り入れる: 腕時計、ベルト、財布、バッグ、革靴など、コーディネート全体の一部となる小物で上質なブランド品を取り入れるのは非常に効果的です。全体のスタイルはシンプルにまとめつつ、ふとした瞬間に見える小物が上質であると、「こだわりのある、お洒落な人」という印象を与えられます。
- ロゴが目立たないデザインを選ぶ: ブランド品を選ぶ際も、大きなロゴやモノグラムが全面に入ったものではなく、一見してどこのブランドか分からないような、シンプルで質の良いデザインを選びましょう。分かる人には分かる、というくらいの奥ゆかしさが、大人の品格に繋がります。
- シンプルなアイテムに投資する: 例えば、カッティングの美しい無地のコートや、極上の肌触りのカシミヤニットなど、デザインではなく素材や仕立ての良さで違いが分かるアイテムに投資するのは賢い選択です。ブランドの主張ではなく、モノ自体の良さが、着る人の価値を高めてくれます。
ブランド品は、使い方を間違えれば品性を疑われる諸刃の剣です。その価値を正しく理解し、自分のスタイルにさりげなく溶け込ませることで、50代ならではの成熟したお洒落を楽しみましょう。
若者向けのトレンドをそのまま真似る
街を歩けば、常に新しいファッションのトレンドが目に入ってきます。流行に敏感であること自体は素晴らしいことですが、10代や20代の若者の間で流行しているファッションを、そのまま50代の男性が取り入れるのは非常に危険です。客観的に見ると「若作り」と映り、痛々しさや無理している感じが漂ってしまう可能性が非常に高くなります。
若者向けのトレンドには、例えば以下のようなものが挙げられます。
- 極端なオーバーサイズのシルエット: 肩が大きく落ち、着丈も長いビッグシルエットのTシャツやパーカー。
- 派手なダメージ加工やリペア加工のジーンズ: 穴が開いていたり、大胆な色落ちが施されていたりするもの。
- 大きなロゴやグラフィックがプリントされたTシャツ・スウェット: 特にキャラクターものや挑発的なメッセージが書かれたもの。
- タイトすぎるスキニーパンツ: 脚のラインがくっきりと出るような細身のパンツ。
- 厚底のスニーカーやダッドスニーカー: ボリューム感のある、ごつごつとしたデザインのスニーカー。
これらのアイテムは、若者の持つエネルギッシュな雰囲気や瑞々しい感性と結びつくことで、ファッションとして成立しています。しかし、人生経験を重ね、落ち着きや品格が求められる50代の男性が身につけると、年齢とのギャップが生まれ、ちぐはぐな印象を与えてしまうのです。それはまるで、年相応の魅力という最大の武器を自ら手放しているようなものです。
では、トレンドとどう向き合えば良いのでしょうか。完全に無視する必要はありません。大切なのは、トレンドを「そのまま」取り入れるのではなく、「自分流に解釈して、さりげなく」取り入れることです。
- トレンドは「色」で取り入れる: 例えば、そのシーズンの流行色がグリーンであれば、全身をグリーンにするのではなく、ソックスやニット、マフラーなど、コーディネートの一部に差し色として取り入れてみましょう。ベーシックカラーを基調としたスタイルに少し加えるだけで、ぐっと新鮮で今っぽい印象になります。
- シルエットを少しだけ意識する: 例えば、世の中のパンツの主流が少しゆったりしたシルエットに移行しているのであれば、ピチピチのスキニーパンツから、少しゆとりのあるテーパードシルエットのパンツに更新してみる、といった具合です。あくまで「やりすぎない」範囲で、定番の形を微調整する意識が大切です。
- ベーシックアイテムを更新する: 自分の定番である白シャツやネイビージャケットも、5年前のものと今のものでは、微妙にシルエットやデザインが異なります。古臭い印象にならないよう、定番アイテムこそ定期的に見直し、今の時代感に合ったものにアップデートしていくことが、若々しさを保つ秘訣です。
50代のファッションは、流行を追いかけるのではなく、自分の確立したスタイルという「幹」に、トレンドという「枝葉」を少しだけ加えるイメージです。年相応の品格を保ちながら、時代遅れにならない。その絶妙なバランス感覚を養うことが、お洒落な50代への道です。
ヨレヨレ・シワシワの服を着る
これは「清潔感」の項目でも触れましたが、NGファッションとして改めて強調すべき最も基本的で、かつ最も多くの人が陥りやすい過ちです。Tシャツの首元がヨレていたり、シャツがアイロンもかけられずシワだらけだったり、パンツの膝が抜けていたりする服を平気で着ていると、それだけで「だらしがない人」「生活に疲れている人」というレッテルを貼られてしまいます。
どんなに高価なブランドの服でも、状態が悪ければその価値はゼロになります。逆に、ユニクロのような手頃な価格の服でも、常にパリッとした清潔な状態を保っていれば、持ち主を何倍も素敵に見せてくれます。服の状態は、その人の自己管理能力や生活態度を雄弁に物語るのです。
特に注意すべきポイントは以下の通りです。
- Tシャツの首元・袖口: 何度も洗濯を繰り返すと、首元のリブが伸びてヨレヨレになります。こうなってしまったTシャツは、部屋着に格下げするか、潔く処分しましょう。
- シャツのシワ: 洗いざらしのシワ感がお洒落に見えるのは、リネンシャツなど一部のアイテムに限られます。基本的に、コットンシャツはアイロンがけが必須です。特に襟、カフス、前立ては人の目につきやすい部分なので、念入りにかけましょう。
- パンツのプレスラインと膝: スラックスのセンタープレスが消えていると、途端に締まりのない印象になります。定期的にアイロンでプレスをかけ直しましょう。また、座り仕事が多いと膝の部分がぽっこりと出てしまいがちです。これもアイロンのスチームを当てることで、ある程度回復できます。
- ニットの毛玉: 秋冬のニットは毛玉との戦いです。毛玉だらけのニットは貧相に見え、清潔感を著しく損ないます。着用後はブラッシングで繊維の流れを整え、毛玉ができたらこまめに毛玉取り器で除去する習慣をつけましょう。
これらの手入れは、正直に言って少し面倒かもしれません。しかし、この一手間をかけるかどうかが、お洒落な50代と「疲れたおじさん」を分ける決定的な境界線なのです。週末にまとめてアイロンをかける、ブラシや毛玉取り器をすぐに使える場所に置くなど、習慣化するための工夫をしてみましょう。服を大切に扱うことは、自分自身を大切に扱うことにも繋がります。
派手すぎる色や柄を取り入れる
年齢を重ねると、地味な色ばかりでは顔色が悪く見えたり、老け込んだ印象になったりするのを気にして、明るい色や柄物を取り入れたくなることがあります。その心意気は素晴らしいのですが、その選択を誤ると、品位を欠き、悪目立ちしてしまう危険性があります。
特に避けるべきなのは、以下のような色や柄です。
- 彩度の高い原色: 真っ赤、真っ青、ショッキングピンクなど、彩度(色の鮮やかさ)が高すぎる色は、TPOを選ぶだけでなく、コーディネートの難易度も非常に高くなります。主張が強すぎて、着る人よりも服の色ばかりが目立ってしまいます。
- 大きなアニマル柄: ヒョウ柄やゼブラ柄などは、非常にインパクトが強く、一歩間違えると下品な印象を与えかねません。特にシャツやジャケット、パンツといった面積の大きいアイテムで取り入れるのは避けるのが賢明です。
- 意味不明な英字ロゴやグラフィック: 若者向けのトレンドとも重なりますが、何を意味するのか分からない大きな英字ロゴや、奇抜なグラフィックプリントは、50代の知的なイメージとは相容れません。
- 複数の柄の組み合わせ: チェックのシャツにストライプのジャケット、ペイズリー柄のネクタイといった、柄と柄をぶつける上級者向けのコーディネートは、よほど計算し尽くさない限り、ただゴチャゴチャしてまとまりのない印象になります。
では、色や柄はどのように楽しむのが正解でしょうか。ポイントは「上品さ」と「分量」です。
- 深みのある、落ち着いた色を選ぶ: 同じ赤でも、鮮やかな原色の赤ではなく、深みのあるボルドー(ワインレッド)を選ぶ。同じ緑でも、蛍光グリーンではなく、落ち着いたオリーブグリーンやフォレストグリーンを選ぶ。このように、少しスモーキーで彩度を抑えた色味を選ぶと、華やかさを取り入れつつも、大人の品格を保つことができます。
- 差し色として少量使う: 全身を派手な色にするのではなく、コーディネートのどこか一点にだけアクセントとして色を使うのが「差し色」のテクニックです。例えば、ネイビーやグレーを基調としたシックな装いに、ソックスやネクタイ、マフラー、あるいはニットのインナーなどで鮮やかな色を少しだけ見せると、非常にお洒落でこなれた印象になります。
- 柄はクラシックで小さなものを選ぶ: 柄物を取り入れるなら、ストライプ、チェック、ドット、小紋柄といった、伝統的でクラシックな柄が安心です。そして、柄の大きさはできるだけ小さいものを選びましょう。遠目には無地に見えるくらいの細かい柄は、控えめでありながら表情豊かで、上品な印象を与えます。
- 柄物は一点に絞る: コーディネートの中に柄物を取り入れる場合は、原則として一点だけにしましょう。例えば、ストライプのシャツを着るなら、ジャケットとパンツは無地にする。柄物のネクタイを締めるなら、シャツは無地にする。これが失敗しないための鉄則です。
色や柄は、ファッションを豊かにしてくれるスパイスのようなものです。使い方を誤ると料理を台無しにしてしまいますが、適量を正しく使えば、全体の味わいを格段に引き上げてくれます。そのさじ加減を覚えることが、お洒落の楽しみの一つです。
体型に合わないサイズの服を着る
これは「ジャストサイズを選ぶ」の裏返しであり、NGファッションの基本中の基本です。しかし、多くの人が無意識にやってしまっていることでもあります。特に、体型の変化を隠したいという思いから、意図的にサイズの合わない服を選んでしまうケースが後を絶ちません。
前述の通り、大きすぎるサイズの服は、体を大きく見せ、だらしなく、老けた印象を与えます。肩のラインが落ち、袖が余り、身幅がダボついたジャケットやシャツ姿は、成功したビジネスマンのイメージとはほど遠いものです。また、ウエストがブカブカのパンツをベルトで無理やり絞めて履くと、腰回りに不自然なシワが寄り、非常に格好悪く見えます。
一方で、小さすぎるサイズの服は、窮屈で見苦しい印象を与えます。お腹のラインがくっきり出てしまったり、腕や肩がパツパツで動きにくそうだったりすると、見ているこちらが息苦しくなってしまいます。若い頃に着ていた服が、体型が変わった今も着られるからといって、無理して着続けるのはやめましょう。
今の自分の体型を正しく認識し、それを受け入れた上で、最も美しく見せてくれるサイズの服を選ぶこと。これが、年齢を重ねた大人のファッションにおける誠実な姿勢です。もし、お腹周りが気になるのであれば、それを隠すために大きな服を着るのではなく、ハリのある素材を選んだり、ジャケットで縦のラインを作ったりする着こなしのテクニックでカバーするべきです。
定期的に自分のサイズを測り直し、試着を徹底し、必要であればお直しを活用する。この地道な努力が、洗練されたシルエットと快適な着心地、そして自信に繋がります。服は、自分の体を偽るためのものではなく、今の自分を最も魅力的に見せるためのツールであるということを、決して忘れないでください。
これだけは揃えたい!50代メンズファッションの必須アイテム8選
50代のファッションは、たくさんの服を持つ必要はありません。むしろ、着回しが効き、上質で、長く愛用できる「一軍」のアイテムを少数精鋭で揃えることが、賢くお洒落になるための近道です。ここでは、大人の男性のワードローブの核となる、これだけは揃えておきたい8つの必須アイテムを厳選してご紹介します。それぞれのアイテムの選び方のポイントや、着こなしのコツも合わせて解説しますので、ぜひご自身のクローゼットを見直す際の参考にしてください。
① 大人の品格が出るテーラードジャケット
テーラードジャケットは、50代男性のファッションにおいて最も重要なアイテムと言っても過言ではありません。羽織るだけでコーディネート全体を格上げし、品格と信頼感を演出してくれる魔法のような一着です。ビジネスシーンはもちろん、休日のきれいめな装いにも対応できるため、投資する価値は十分にあります。
- 選び方のポイント:
- 素材: シーズンレスで使いやすいのは、ウールやコットン素材です。秋冬にはツイードやフランネル、春夏にはリネンやシアサッカーといった季節感のある素材を選ぶと、よりお洒落の幅が広がります。光沢が強すぎない、落ち着いた風合いのものを選びましょう。
- 色: まず揃えたいのは、万能色のネイビーです。知的で誠実な印象を与え、どんな色のパンツとも好相性。次に揃えるなら、上品で柔らかな印象のグレー(チャコールグレーやミディアムグレー)や、洒脱な雰囲気のベージュやブラウンがおすすめです。
- サイズ感: 「ジャストサイズを選ぶ」で解説した通り、肩幅がぴったり合っていることが絶対条件です。着丈はお尻が半分隠れる程度、袖丈は手首の骨が隠れるくらいで、中から着るシャツの袖が1cm〜1.5cmほど覗くのが理想的なバランスです。
- デザイン: シングルブレストの2つボタンか3つボタンが最もベーシックで着回しやすいデザインです。ゴージライン(襟の刻み)の位置が高いものを選ぶと、胸元がすっきりとして若々しい印象になります。
- 着こなしのコツ:
休日にカジュアルに着るなら、インナーは上質な無地のTシャツやハイゲージのニットがおすすめです。ボトムスはきれいめなチノパンやスラックスはもちろん、濃い色のデニムパンツを合わせると、こなれた大人のきれいめカジュアルが完成します。足元はローファーやきれいめなレザースニーカーで品良くまとめましょう。
② きれいめに見える上質なシャツ
ジャケットの相棒であり、一枚で着ても様になる上質なシャツは、複数枚揃えておきたい必須アイテムです。特に、清潔感の象徴ともいえる白シャツは、何枚あっても困りません。Tシャツ一枚ではラフすぎると感じる場面でも、シャツを羽織るだけで一気にきちんとした印象になります。
- 選び方のポイント:
- 素材: シワになりにくく、程よい光沢のあるブロードクロスや、少しカジュアルで洗いざらしの風合いも楽しめるオックスフォードが定番です。生地の目が細かく、透けにくい上質なコットンを選びましょう。
- 色: まずは基本のホワイトと、爽やかで知的な印象のサックスブルーを揃えましょう。その他、淡いピンクやグレー、細めのストライプやチェック柄などもワードローブにあると便利です。
- 襟の形: 最もベーシックで使いやすいのは、ネクタイをしてもしなくてもバランスの良いレギュラーカラーやセミワイドカラーです。カジュアルに着るなら、襟先をボタンで留めるボタンダウンもおすすめです。襟の立ち上がりが美しいものを選ぶと、ノーネクタイでもだらしなく見えません。
- サイズ感: 首周りと肩幅が合っていることが重要です。身幅はタイトすぎず、ダボっとしすぎない、適度なゆとりのあるものを選びましょう。
- 着こなしのコツ:
一枚で着る際は、袖を無造作にまくり上げると、こなれた雰囲気が出ます。ニットやカーディガンのインナーとして襟元をのぞかせたり、Tシャツの上に軽く羽織るアウターとして使ったりと、年間を通して活躍します。常にアイロンのかかった、パリッとした状態で着ることが大前提です。
③ 品良くまとまるニット・セーター
秋冬のコーディネートに欠かせないニット・セーターは、柔和で知的な印象を与えてくれるアイテムです。ジャケットのインナーとしても、シャツとのレイヤード(重ね着)スタイルにも重宝します。素材や編み方(ゲージ)によって印象が大きく変わるため、選び方が重要になります。
- 選び方のポイント:
- ゲージ(編み目の細かさ): ジャケットのインナーなど、きれいめに着こなしたい場合は、編み目が細かく滑らかなハイゲージがおすすめです。逆に、一枚で着てカジュアルな雰囲気を出すなら、編み目がざっくりとしたローゲージも良いでしょう。まずは着回しやすいハイゲージから揃えるのが得策です。
- 素材: 上品さと保温性を求めるなら、ウール(特にメリノウール)や、極上の肌触りを誇るカシミヤが最適です。少し価格は張りますが、その価値は十分にあります。春夏には、さらりとした着心地のコットンニットも活躍します。
- ネックの形: 最もベーシックなのはクルーネック(丸首)です。シャツの襟を出さずにすっきりと着られます。シャツの襟やVゾーンをきれいに見せたいならVネック、上品で大人っぽい印象ならタートルネックやモックネックがおすすめです。
- 色: ネイビー、グレー、ブラックといったベーシックカラーを基本に、差し色として使えるボルドー、グリーン、キャメルなどを持っているとコーディネートの幅が広がります。
- 着こなしのコツ:
ハイゲージニットは、シャツの上に重ねる王道の着こなしはもちろん、素肌(またはインナーTシャツ)に直接着て、その上にジャケットを羽織るスタイルも洒脱です。サイズは、シャツの上に着ることを想定し、ややゆとりのあるものを選ぶと良いでしょう。
④ 一枚でも様になる無地のTシャツ
夏の主役であり、春秋冬にはインナーとして活躍するTシャツは、もはやファッションの必需品です。しかし、50代が選ぶべきは、若者が着るような薄手のプリントTシャツではありません。一枚で着ても下着っぽく見えない、上質で肉厚な無地のTシャツです。
- 選び方のポイント:
- 生地の厚み: 最大のポイントは生地感です。肌が透けるような薄いものではなく、しっかりと厚みのあるヘビーウェイトコットンを選びましょう。ハリがあるため体のラインを拾いすぎず、一枚で着ても貧相に見えません。
- 首元のデザイン: 首元はヨレにヨレにくい、丈夫なバインダーネック仕様などがおすすめです。クルーネックが基本ですが、首元をすっきり見せたい場合はVネックも良いでしょう。ただし、Vの開きが深すぎるものは品がないので避けてください。
- 色: 何にでも合うホワイトと、引き締め効果のあるブラック、ネイビーは絶対に揃えたい3色です。その他、グレーやベージュ、カーキなどもあると便利です。
- サイズ感: 体にフィットしすぎず、かといって大きすぎない、程よいゆとりのあるサイズを選びましょう。着丈が長すぎるとだらしなく見えるので注意が必要です。
- 着こなしのコツ:
夏場は、この上質なTシャツにきれいめなスラックスやチノパンを合わせるだけで、シンプルながら品のある大人の休日スタイルが完成します。ジャケットやシャツ、カーディガンのインナーとして使う際も、この「上質さ」が全体のコーディネートを格上げしてくれます。
⑤ シルエットが綺麗なパンツ(スラックス・チノパン)
コーディネートの土台となるパンツは、シルエットの美しさが命です。50代の男性には、カジュアルにもきれいめにも穿ける、上品なスラックスやチノパンが欠かせません。デニムよりもきちんと感があり、ビジネススーツのパンツほど堅苦しくない、絶妙な立ち位置のアイテムです。
- 選び方のポイント:
- シルエット: 最もおすすめなのは、腰回りから膝にかけてはゆとりがあり、裾に向かって細くなるテーパードシルエットです。脚のラインをすっきりと見せてくれる効果があり、どんな体型の人にも似合いやすい万能な形です。
- ディテール: スラックスの場合、中央に折り目の入ったセンタープレス入りのものを選ぶと、縦のラインが強調されて脚が長く見え、より上品な印象になります。
- 素材: スラックスならウールやポリエステル混、チノパンならハリと光沢のある上質なコットン(チノクロス)を選びましょう。ストレッチ性のある素材を選ぶと、穿き心地も快適です。
- 色: まずはミディアムグレーやチャコールグレーのスラックスと、定番のベージュのチノパンを揃えましょう。次にネイビー、ブラック、ホワイト、オリーブなどを買い足していくと、着回しの幅が大きく広がります。
- 裾丈: 靴の上に裾がだぶつかない、ノークッション〜ハーフクッションの長さに調整するのが鉄則です。足元がすっきりしているだけで、全体の印象が見違えるほど洗練されます。
- 着こなしのコツ:
トップスはシャツ、ニット、Tシャツ、ジャケットと、何にでも合わせられます。足元を革靴にすればきれいめに、レザースニーカーにすればカジュアルダウンでき、合わせる靴によっても表情を変えられる万能選手です。
⑥ こなれ感の出るデニムパンツ
カジュアルファッションの王道であるデニムパンツも、選び方と穿きこなし方次第で、50代の男性を魅力的に見せてくれるアイテムになります。ただし、若者と同じような感覚で選ぶのは禁物。品格を損なわない、大人仕様のデニムを選ぶことが重要です。
- 選び方のポイント:
- 色落ち・加工: 激しい色落ちや、穴の開いたダメージ加工、派手なパッチワークなどが施されたものは避けましょう。選ぶべきは、ワンウォッシュ程度の濃いインディゴブルー(リジッドデニムに近いもの)です。濃紺のデニムは、スラックスのような感覚できれいめに穿くことができ、ジャケットスタイルにもよく合います。
- シルエット: 極端に太いバギーや、細すぎるスキニーは避け、ベーシックなストレートか、少しすっきり見えるスリムテーパードがおすすめです。
- ブランド: 定番のリーバイス®︎501®︎のような普遍的なモデルや、A.P.C.(アー・ペー・セー)のようなクリーンで洗練されたデザインのものが、大人の男性には似合います。
- 着こなしのコツ:
濃紺のデニムは、テーラードジャケットと合わせる「ジャケパン」スタイルの定番です。インナーに白シャツやハイゲージニットを合わせ、足元をローファーなどの革靴にすれば、品の良い大人の休日スタイルの完成です。Tシャツとスニーカーでシンプルに合わせる場合も、デニムが上品なので子供っぽくなりません。
⑦ 歩きやすく上品なレザースニーカー
50代の足元には、スニーカーの軽快さと、革靴の品格を両立させたきれいめなレザースニーカーが欠かせません。休日のお出かけから、オフィスカジュアルまで、幅広いシーンで活躍してくれる頼れる一足です。
- 選び方のポイント:
- デザイン: ハイテクスニーカーや、派手な色使いのランニングシューズではなく、テニスシューズやコートシューズをベースにしたような、シンプルでクラシックなデザインを選びましょう。
- 素材: アッパーが本革(スムースレザー)のものを選ぶと、高級感があり、履き込むほどに足に馴染みます。
- 色: まずはどんな服装にも合わせやすいホワイトかブラックの無地を選びましょう。ブランドロゴも、できるだけ控えめなものが上品です。
- ブランド: 例えば、アディダスのスタンスミス、コンバースのジャックパーセル レザー、コモンプロジェクトのアキレスローなどが、大人のレザースニーカーの代表格です。
- 着こなしのコツ:
スラックスやチノパンといったきれいめなパンツの外しとして合わせると、程よいこなれ感が生まれます。もちろん、デニムやショートパンツとの相性も抜群です。重要なのは、常にきれいに手入れしておくこと。汚れたらすぐに拭き、定期的にクリームで保湿することで、上品な光沢を保ちましょう。
⑧ 足元を引き締める革靴
スニーカーが市民権を得た現代でも、大人の男性の足元を引き締め、スタイルを完成させるためには、やはり上質な革靴が不可欠です。ここぞという場面で品格と信頼感を示してくれるだけでなく、普段のカジュアルな装いを格上げしてくれる効果もあります。
- 選び方のポイント:
- デザイン: まず揃えたいのは、汎用性の高いプレーントゥ(つま先に装飾がないデザイン)やUチップ/Vチップです。冠婚葬祭にも使えるストレートチップも一足あると安心ですが、やや堅い印象なので、普段使いには前者の方が向いています。また、着脱が楽で、カジュアルにも合わせやすいローファーも非常に便利です。
- 色: まずは基本のブラックを。次に、コーディネートに幅が出るダークブラウンを揃えるのが王道です。
- ソール: レザーソールは本格的で通気性が良いですが、滑りやすく手入れが必要です。ラバーソール(ゴム底)は、天候を気にせず履けて実用性が高く、初心者にもおすすめです。
- 製法: グッドイヤーウェルト製法などの丈夫な作りの靴は、ソール交換をしながら長く愛用できます。初期投資は高くても、結果的にコストパフォーマンスが良くなる場合があります。
- 着こなしのコツ:
スーツやジャケパンスタイルに合わせるのはもちろんですが、デニムやチノパンといったカジュアルなパンツに合わせることで、コーディネート全体が引き締まり、ぐっと大人っぽい印象になります。ベルトの色と革靴の色を合わせると、統一感が出てより洗練された着こなしになります。日々のブラッシングや定期的な靴磨きなど、手入れを怠らないことが、革靴を長く美しく保つ秘訣です。
【季節別】50代をおしゃれに見せるコーディネート例
基本のアイテムを揃えたら、次はそれらをどう組み合わせるかです。ここでは、春夏秋冬の季節ごとに、50代の男性を若々しく、かつ品良く見せるための具体的なコーディネート例をご紹介します。着こなしのポイントやアイテム選びのコツも解説するので、日々の服装の参考にしてみてください。
春コーデ:軽やかなアウターが主役
冬の重厚なアウターを脱ぎ、軽やかな装いが楽しめる春。日中と朝晩の寒暖差に対応できる、アウターを主役にしたレイヤードスタイルが基本になります。
ジャケット×シャツの王道スタイル
春のきれいめスタイルの王道といえば、やはりテーラードジャケットを使ったコーディネートです。知的で信頼感のある印象は、ビジネスシーンから休日の食事会まで幅広く対応できます。
- コーディネート例:
- アウター: 定番のネイビーのテーラードジャケット。ウールやコットン素材の軽やかなものが春らしい。
- インナー: 清潔感のある白のオックスフォードシャツ。第一ボタンを開けて、リラックス感を出すのがポイント。
- パンツ: 明るく上品なベージュのチノパン。シルエットはすっきりとしたテーパードを選びましょう。
- シューズ: 足元はブラウンのスエードローファーで軽快かつ上品に。
- ポイント: 全体をベーシックカラーでまとめつつ、ネイビー、白、ベージュという色のコントラストで春らしい爽やかさを演出します。もし少しアクセントが欲しい場合は、ジャケットの胸ポケットに白のリネンのポケットチーフを挿すだけで、ぐっとこなれた印象になります。インナーをサックスブルーのシャツに変えたり、パンツをライトグレーのスラックスにしたりするだけで、また違った表情を楽しめます。
パーカーでつくる大人の休日カジュアル
休日には、少しリラックスしたカジュアルスタイルも楽しみたいもの。しかし、ただのパーカーとジーンズでは、若者と同じになってしまいます。50代がパーカーを着るなら、素材感と合わせるアイテムで「品」をプラスすることが重要です。
- コーディネート例:
- アウター(トップス): 上質で肉厚な杢グレーのスウェットパーカー。フードの立ち上がりが良く、紐がない(または紐が目立たない)シンプルなデザインを選ぶのが大人っぽく見せるコツです。
- インナー: パーカーの下には白のクルーネックTシャツをのぞかせ、清潔感をプラス。裾から少しだけ白が見えるレイヤードがポイントです。
- パンツ: カジュアルになりすぎないよう、ボトムスは濃いインディゴのきれいめなデニムパンツ(リジッドデニムなど)を選びます。
- シューズ: 足元は白のシンプルなレザースニーカーで、クリーンな印象にまとめます。
- ポイント: パーカーというカジュアルなアイテムを、「上質な素材選び」「モノトーン基調の配色」「きれいめなパンツと靴」という3つの要素で、大人の男性にふさわしい品のあるスタイルに昇華させています。この上に、ステンカラーコートやミリタリージャケットを羽織るのもおすすめです。
夏コーデ:素材とサイズ感で涼しげに
高温多湿の日本の夏は、いかに涼しく快適に、かつだらしなく見えないかが課題です。使うアイテムが少なくなる分、一つひとつの素材感とサイズ感がより重要になります。
ポロシャツ×きれいめパンツの鉄板コーデ
Tシャツよりも襟がある分きちんと見え、シャツよりもリラックス感があるポロシャツは、夏の50代男性にとっての救世主です。ビジネスシーンでのクールビズから休日のゴルフまで、幅広く活躍します。
- コーディネート例:
- トップス: ネイビーの無地ポロシャツ。鹿の子素材で、体にフィットしすぎないジャストサイズを選びます。ボタンは一番上まで留めるか、一つだけ開けるのが上品です。
- パンツ: 涼しげでクリーンな白のコットンパンツ。ストレッチが効いていると動きやすく快適です。
- シューズ: 素足(または見えないソックス)でブラウンのデッキシューズやドライビングシューズを合わせ、軽快な足元を演出。
- 小物: ネイビーのメッシュベルトを合わせると、見た目にも涼しげで統一感が出ます。
- ポイント: ネイビー×白という爽やかなマリンテイストの配色が、夏らしさを感じさせます。ポロシャツの素材やサイズ感にこだわることで、「おじさん臭さ」を回避し、スポーティーで洗練された印象に。汗ジミが気になる方は、吸湿速乾性に優れた機能素材のポロシャツを選ぶのも良いでしょう。
リネンシャツで上品なリラックス感を演出
夏を代表する素材であるリネン(麻)は、その通気性の良さと、独特のシャリ感、そして着込むほどに味の出る風合いが魅力です。リネンシャツをさらりと羽織れば、上品で余裕のある大人のリゾートスタイルが完成します。
- コーディネート例:
- トップス: 白の長袖リネンシャツ。あえて長袖を選び、袖を無造作にたくし上げるのがこなれて見えるポイントです。
- パンツ: 膝上丈のオリーブグリーンのショートパンツ(グルカショーツなど)。子供っぽくならないよう、丈が短すぎず、シルエットが太すぎないものを選びます。
- シューズ: 足元はダークブラウンの上質なレザーサンダルで、リラックス感の中にも大人っぽさをキープ。
- 小物: キャンバス地のトートバッグや、腕にはシンプルなシルバーのバングルなどを合わせると、より雰囲気が高まります。
- ポイント: リネン特有の「シワ」を神経質に気にせず、その風合い自体を楽しむのがお洒落に見せるコツです。白のリネンシャツは、日焼け対策や冷房対策の羽織りものとしても非常に便利。ショートパンツに抵抗がある方は、ベージュのチノパンやリネンパンツに替えても素敵です。
秋コーデ:色とレイヤードを楽しむ
過ごしやすい気候の秋は、ファッションが最も楽しい季節の一つです。深みのある秋色(ボルドー、ブラウン、カーキなど)を取り入れたり、シャツやニット、アウターを重ねるレイヤード(重ね着)を楽しんだりすることで、お洒落の幅がぐっと広がります。
ニット×スラックスの上品スタイル
一枚で着ても様になる上質なニットは、秋の主役アイテムです。スラックスと合わせることで、シンプルながらも非常に上品で知的なコーディネートが完成します。
- コーディネート例:
- トップス: 深みのあるボルドー(ワインレッド)のクルーネックニット。素材は滑らかなハイゲージのメリノウールがおすすめです。
- パンツ: ニットの色を引き立てる、定番のチャコールグレーのウールスラックス。センタープレス入りで、シルエットの美しいものを選びます。
- シューズ: 足元は黒のプレーントゥの革靴で、全体をきりっと引き締めます。
- 小物: 黒のレザーベルトを着用し、靴と色を合わせるのが基本です。
- ポイント: ボルドー×チャコールグレーという、シックで秋らしい色合わせが最大のポイント。余計な装飾のないミニマルな組み合わせだからこそ、ニットやスラックスの素材の良さ、シルエットの美しさが際立ちます。少し肌寒い日には、この上にネイビーのジャケットやベージュのステンカラーコートを羽織るだけで、完璧なきれいめスタイルになります。
カーディガンを羽織った知的な着こなし
温度調整がしやすく、柔らかな印象を与えてくれるカーディガンは、秋のレイヤードスタイルに欠かせない名脇役です。シャツの上に羽織るだけで、ぐっと知的で落ち着いた雰囲気を演出できます。
- コーディネート例:
- アウター: ベージュのショールカラーカーディガン。ざっくりとしたミドルゲージのものが、温かみとリラックス感を演出します。
- インナー: サックスブルーのボタンダウンシャツ。カーディガンとの色のコントラストが爽やかです。
- パンツ: インディゴのワンウォッシュデニム。きれいめなシルエットのものを選び、カジュアルダウンさせます。
- シューズ: ダークブラウンのスエードチャッカブーツ。秋らしい素材感で、足元に程よいボリューム感を与えます。
- ポイント: シャツ+デニムという定番の組み合わせに、カーディガンを一枚加えるだけで、奥行きと季節感が生まれます。ショールカラー(へちま襟)のデザインは、顔周りに立体感が出て、優雅な印象を与えてくれるので、50代の男性に特におすすめです。
冬コーデ:アウター選びで印象が決まる
冬のファッションは、コーディネートの大部分を占めるアウターの印象がすべてを決めると言っても過言ではありません。上質で、TPOに合わせたアウターをいくつか持っておくことが、冬のお洒落を制する鍵です。
チェスターコートでつくるきれいめスタイル
スーツの上にも羽織れるチェスターコートは、冬のきれいめスタイルの代表格。オン・オフ兼用で使える汎用性の高さと、羽織るだけで様になるエレガントさが魅力です。
- コーディネート例:
- アウター: 上品で温かみのあるキャメルのウールチェスターコート。膝上丈で、細身のシルエットのものを選ぶと現代的な印象になります。
- インナー: オフホワイトのタートルネックニット。首元まで暖かく、コートの色とも相性抜群で、非常に上品な組み合わせです。
- パンツ: チャコールグレーのフランネルスラックス。冬らしい温かみのある素材感で、全体のトーンを落ち着かせます。
- シューズ: ダークブラウンのストレートチップ革靴で、ドレッシーにまとめます。
- 小物: ブラウンのレザーグローブ(手袋)や、カシミヤのマフラーを合わせると、防寒性とお洒落度がさらにアップします。
- ポイント: キャメル×オフホワイト×チャコールグレーという、温かみのある色で構成された、エレガントな冬のグラデーションコーデです。タートルネックニットを使うことで、Vゾーンに悩む必要がなく、誰でも簡単に上品なスタイルが作れます。
ダウンジャケットの都会的でスマートな着こなし
防寒性でいえば最強のダウンジャケットですが、一歩間違えるとモコモコと着ぶくれして、野暮ったい印象になりがちです。50代がダウンを着るなら、都会的でスマートに見せる工夫が必要です。
- コーディネート例:
- アウター: 黒のマットな質感のダウンジャケット。光沢のあるシャイニーなものではなく、落ち着いた素材感を選びます。着丈は短めで、ダウンの量が抑えられたスリムなシルエットのものがおすすめです。
- インナー: ミディアムグレーのクルーネックニット。ダウンの下は、着ぶくれしないように薄手のハイゲージニットが基本です。
- パンツ: 黒のスリムフィットなストレッチパンツ。アウターのボリューム感を、細身のパンツで引き締めるのがバランス良く見せるコツです。
- シューズ: 黒のレザースニーカーで、スポーティーかつシックな足元に。
- ポイント: 全身を黒とグレーのモノトーンで統一することで、ダウンジャケット特有のカジュアル感を抑え、洗練された都会的な印象に仕上げています。着膨れを防ぐために、「アウター以外は細身のアイテムでまとめる(Iラインシルエットを意識する)」、「ボリュームのあるダウンは避ける」という2点を徹底することが、スマートな着こなしの鍵です。
【シーン別】TPOに合わせた50代の服装
50代の男性は、仕事関係の付き合いからプライベートな時間まで、様々な社会的シーンに対応する必要があります。その場にふさわしい服装をすることは、相手への敬意を示すとともに、自分自身の評価を高める上でも非常に重要です。ここでは、代表的な3つのシーン別に、50代にふさわしい服装のポイントを解説します。
普段着・休日のカジュアルファッション
家族との外出、友人とのランチ、一人の趣味の時間など、休日の過ごし方は様々です。リラックスできる快適さは求めつつも、「ただ楽なだけ」で終わらない、大人の品格を保ったカジュアルスタイルを心がけましょう。「ご近所だから」と気を抜いてヨレヨレのスウェットで出歩いてしまうと、いつ誰に見られても恥ずかしくないという大人の余裕が損なわれてしまいます。
- 基本の考え方:
「きれいめなアイテム」と「カジュアルなアイテム」を程よくミックスするのが、お洒落に見せるコツです。例えば、トップスがTシャツやスウェットならパンツはきれいめなスラックスにする、逆にトップスがシャツやジャケットならパンツはデニムにする、といったバランス感覚が重要です。 - コーディネートのポイント:
- 上質なベーシックアイテムを活用する: 「必須アイテム8選」で紹介したような、上質な無地Tシャツ、きれいめなチノパン、濃色デニム、レザースニーカーなどを組み合わせるだけで、シンプルで品の良い休日スタイルが完成します。
- 色数を抑える: コーディネート全体で使う色を3色以内に抑えると、まとまりが出て洗練された印象になります。ネイビー、グレー、白、黒、ベージュといったベーシックカラーを軸に組み立てるのが簡単です。
- サイズ感と清潔感を徹底する: 休日だからといって、サイズの合わない服やシワだらけの服を着るのはNGです。リラックスした着こなしの中にも、常に清潔感とすっきりとしたシルエットを意識しましょう。
- 具体例:
- 春・秋:上質なグレーのパーカー + 白Tシャツ + 濃紺デニム + 白レザースニーカー
- 夏:ネイビーのポロシャツ + ベージュのショートパンツ + ブラウンのデッキシューズ
- 冬:ネイビーのダウンベスト + オフホワイトのニット + オリーブのカーゴパンツ + ブラウンのブーツ
休日のファッションは、自分らしさを表現できる絶好の機会です。しかし、その根底には常に「品格」と「清潔感」という土台があるべきことを忘れないようにしましょう。
食事会やデートのきれいめファッション
奥様やパートナーとの記念日のディナー、友人夫婦との会食、少し高級なレストランでの食事会など、普段より少しドレスアップしたい場面では、相手への敬意と、その場の雰囲気を楽しむ姿勢を服装で表現することが大切です。ラフすぎる服装は場違いで失礼にあたりますし、逆に堅苦しすぎるビジネススーツではプライベートな楽しみが半減してしまいます。
- 基本の考え方:
テーラードジャケットを主役にした、上品で華やかさのある「きれいめ」スタイルが基本です。スーツほどフォーマルではないけれど、カジュアルすぎない、絶妙なバランスを目指します。 - コーディネートのポイント:
- ジャケットは必須: ネイビーやグレー、ブラウンといった落ち着いた色のジャケットを羽織るだけで、一気にきちんと感が出ます。季節によっては、リネンやツイードなど、素材感で遊び心を加えるのも素敵です。
- インナーで差をつける: ジャケットのインナーは、襟付きのシャツが最もフォーマル度が高いですが、上質なハイゲージのタートルネックニットやクルーネックニットを合わせると、より柔らかく洒脱な印象になります。Tシャツを合わせる場合は、上質な素材のものを選び、ジャケットの品格を損なわないように注意しましょう。
- パンツと靴で調整する: ジャケットに合わせるパンツは、ウールのスラックスが最もドレッシーです。きれいめなチノパンでも良いでしょう。足元は、必ず磨かれた革靴(ローファーやプレーントゥなど)を合わせます。スニーカーは、よほどカジュアルな店でない限り避けるのが無難です。
- 小物で華やかさをプラス: ジャケットの胸ポケットにポケットチーフを挿すだけで、驚くほど華やかな印象になります。白のリネン素材が最も使いやすいですが、シルクの柄物などで色を加えても良いでしょう。また、手元には品の良い腕時計を忘れずに。
- 具体例:
- ブラウンのチェック柄ジャケット + 白シャツ + ネイビーのスラックス + ダークブラウンのローファー
- ネイビーのジャケット + ワインレッドのVネックニット + グレーのスラックス + 黒の革靴
お店の格や、一緒に行く相手との関係性を考慮して、ドレスアップの度合いを調整するのが大人のスマートな振る舞いです。事前にレストランのウェブサイトで店内の雰囲気を確認しておくのも良いでしょう。
オフィスカジュアル・ビジネスカジュアル
近年、多くの企業で導入されているオフィスカジュアル(ビジネスカジュアル)。スーツ着用が義務付けられていない分、自由度が高いですが、逆に「何を着ればいいのかわからない」と悩む50代の方も多いのではないでしょうか。ここでの服装は、職場の同僚や取引先に「信頼感」と「親しみやすさ」を与えることが目的です。
- 基本の考え方:
ここでもテーラードジャケットが中心となります。ただし、休日やデートの時のように華やかさを出すのではなく、あくまでビジネスの一環として、誠実で落ち着いた印象を与えることを第一に考えます。会社のドレスコードの範囲内で、最も品良く見えるスタイルを目指しましょう。 - コーディネートのポイント:
- ジャケット+パンツスタイルが基本: ネイビーやチャコールグレーのジャケットに、ミディアムグレーやベージュのパンツを合わせる「ジャケパン」スタイルが最も定番で失敗がありません。上下共布のスーツではないため、少し柔らかな印象になります。
- インナーは襟付きが原則: Tシャツやラフなニットは避け、襟付きのシャツ(ドレスシャツやボタンダウンシャツ)や、夏場であればポロシャツを選ぶのが基本です。これにより、ジャケットを脱いだ時でも、きちんとした印象を保てます。
- 色はベーシックカラーでまとめる: ビジネスシーンにふさわしい、ネイビー、グレー、白、サックスブルー、ベージュなどを中心に、落ち着いた配色を心がけます。派手な色や柄は避けましょう。
- 足元は革靴で: オフィスカジュアルであっても、足元は革靴が基本です。ローファーやUチップなど、スーツスタイルよりも少しカジュアルダウンしたデザインのものが適しています。スニーカーが許容されている職場でも、選ぶなら黒や白のシンプルなレザースニーカーに留めましょう。
- 具体例:
- ネイビーのジャケット + サックスブルーのボタンダウンシャツ + グレーのスラックス + 黒のUチップシューズ
- (夏)ネイビーのジャケット + 白のポロシャツ + ベージュのチノパン + ダークブラウンのローファー
オフィスカジュアルは、「カジュアル」という言葉に惑わされず、あくまで「ビジネス」の服装であるという認識を持つことが重要です。職場で浮かない範囲で、少しだけ自分の個性を加えるくらいの感覚がちょうど良いでしょう。
おしゃれの完成度を上げる小物活用術
洋服のコーディネートが完璧でも、小物の選び方を間違えるとその努力は水の泡になってしまいます。逆に、シンプルな服装でも、上質な小物を効果的に使うことで、全体の印象はぐっと洗練され、お洒落の完成度が格段に上がります。50代の男性は、洋服だけでなく、こうした細部にこそこだわるべきです。ここでは、大人の男性が揃えておきたい5つの必須小物とその活用術をご紹介します。
腕時計
スマートフォンで時間を確認できる時代ですが、大人の男性にとって腕時計は単なる時間を知るための道具ではありません。自分のステータス、品格、そしてこだわりを表現するための最も重要なアクセサリーです。ビジネスシーンでは信頼感を、プライベートでは個性を雄弁に物語ります。
- 選び方のポイント:
- アナログ時計を選ぶ: デジタル時計やスマートウォッチも便利ですが、品格やフォーマル度という点では、針で時間を示すアナログ時計に軍配が上がります。
- シンプルなデザインを基本に: まずは、白や黒、ネイビーの文字盤に、3針(時・分・秒)または日付表示程度のシンプルなモデルを選びましょう。クロノグラフ(ストップウォッチ機能付き)などのスポーティーなモデルも魅力的ですが、最初は汎用性の高いシンプルなものがおすすめです。
- ベルトの種類: メタルブレスレットはスポーティーで堅牢な印象、ビジネスにもカジュアルにも使えます。レザーベルトはクラシックで知的な印象を与え、フォーマル度が高まります。シーンや服装に合わせて付け替えられると理想的です。
- ケースのサイズ: 自分の手首の太さに合った、大きすぎないケース径(一般的に38mm〜42mm程度)を選ぶと、上品な印象になります。
- 活用術:
ビジネスやフォーマルな場ではレザーベルトのドレスウォッチ、休日のカジュアルな装いにはメタルブレスのダイバーズウォッチやパイロットウォッチ、といったように、TPOに合わせて使い分けるのがお洒落上級者です。服装がシンプルでも、腕元に輝く上質な時計が、コーディネート全体を格上げしてくれます。
バッグ
休日に手ぶらというのもスマートですが、財布やスマートフォン、鍵、その他ちょっとした荷物を持つ際には、やはりバッグが必要です。50代の男性が持つべきは、若者が使うようなナイロンのリュックや派手なボディバッグではなく、服装の品格を損なわない、上質で落ち着いたデザインのバッグです。
- 選び方のポイント:
- 素材はレザーが基本: 最も大人っぽく、高級感があるのはやはり本革(レザー)です。トートバッグやクラッチバッグ、小ぶりなショルダーバッグなどをレザーで揃えると、どんなきれいめな服装にもマッチします。
- ナイロンやキャンバスもOK: カジュアルなシーンでは、ナイロンやキャンバス(帆布)素材も良いでしょう。ただし、その場合も、持ち手や一部分にレザーが使われているなど、チープに見えない工夫がされたデザインを選ぶことが重要です。
- 形と大きさ: 休日の普段使いには、肩掛けも手持ちもできるトートバッグが最も汎用性が高くおすすめです。荷物が少ない場合は、クラッチバッグを小脇に抱えるのも洒脱な印象です。両手を空けたい場合は、シンプルなデザインのレザー製ボディバッグやスリングバッグを選ぶと、子供っぽくなりません。
- 活用術:
バッグはコーディネートの一部です。靴やベルトと色を合わせると、統一感が出て非常に洗練された印象になります。例えば、黒の革靴とベルトなら黒のレザートート、ブラウンのローファーならブラウン系のバッグ、といった具合です。
メガネ・サングラス
メガネやサングラスは、視力矯正や日差しを避けるという実用的な目的だけでなく、顔の印象を大きく左右し、キャラクターを演出するための強力なファッションアイテムです。自分に似合う一本を見つけることで、知的さや、洒落感、威厳などをプラスすることができます。
- 選び方のポイント:
- フレームの形と顔の輪郭: 一般的に、自分の顔の輪郭とは逆の形のフレームを選ぶとバランスが良いとされています(例:丸顔の人はスクエア型、四角顔の人はラウンド型やオーバル型)。しかし、これはあくまでセオリーであり、実際に色々試着してみて、しっくりくるものを見つけるのが一番です。
- フレームの素材: メタルフレームはシャープで知的な印象、セル(プラスチック)フレームはカジュアルで柔らかな印象を与えます。コンビネーションフレーム(メタルとセルの組み合わせ)も人気があります。
- TPOに合わせる: ビジネスシーンでは、誠実に見えるスクエア型やウェリントン型の黒やべっ甲柄のフレームが定番です。休日は、少し個性的なクラウンパントやボストン型に挑戦してみるのも良いでしょう。サングラスは、レンズの色が濃すぎないものを選ぶと、いやらしい印象になりません。
- 活用術:
普段メガネをかけない人でも、伊達メガネをファッションとして取り入れることで、手軽に印象を変えることができます。シンプルな服装の日にメガネをかけるだけで、コーディネートに奥行きが生まれます。胸ポケットに挿したり、Tシャツのネックに引っ掛けたりするだけでも、アクセサリーのような効果があります。
ベルト
パンツを固定するという実用的な役割はもちろんですが、ベルトは上半身と下半身をつなぐ重要なファッションアイテムです。特に、シャツをタックインするスタイルでは、ベルトのデザインがコーディネートの印象を大きく左右します。
- 選び方のポイント:
- 靴と色・素材を合わせる: これがベルト選びの最大の鉄則です。黒の革靴には黒のレザーベルト、ブラウンの革靴にはブラウンのレザーベルトを合わせるだけで、着こなしに統一感が生まれ、ぐっと安定感が増します。
- シンプルなバックルを選ぶ: 大きすぎるバックルや、ブランドロゴが主張するデザインは避け、シルバーのスクエア型など、シンプルで上品なデザインを選びましょう。
- ベルトの幅: ドレススタイルには3cm前後、カジュアルスタイルには3.5cm前後の幅が一般的です。太すぎず細すぎない、中庸なものを選ぶと汎用性が高くなります。カジュアルなチノパンやデニムには、レザーのメッシュベルトやキャンバス地のリングベルトなども良いアクセントになります。
- 活用術:
見えない部分だと油断せず、常に状態の良いベルトを使いましょう。革がひび割れていたり、バックルが傷だらけだったりすると、だらしない印象を与えてしまいます。
靴下
パンツの裾と靴の間から、ふとした瞬間にのぞく靴下。ここは意外と人に見られており、お洒落に気を使っているかどうかが現れるポイントです。スーツの時に白い靴下を履くのがNGなのは常識ですが、カジュアルな場面でも気を抜いてはいけません。
- 選び方のポイント:
- 無地を基本に: まず揃えたいのは、黒、ネイビー、チャコールグレーといったベーシックカラーの無地の靴下です。
- 色合わせのセオリー: 靴下の色をパンツの色と合わせるか、靴の色と合わせるのが基本です。パンツと色を合わせると、脚が長く見える効果があります。
- 差し色として使う: コーディネートに慣れてきたら、あえてボルドーやグリーン、マスタードといった色を差し色として使うのもお洒落です。ただし、悪目立ちしないよう、全体のトーンと合わせることが重要です。
- 柄物を選ぶなら: 柄物を選ぶ場合は、アーガイルや細いストライプ、小さなドット柄など、クラシックで控えめなデザインにしましょう。キャラクターものや派手な柄はNGです。
- 丈の長さ: 座った時にスネが見えない、ふくらはהางい(ミドル丈)が基本です。夏場に素足風に見せたい場合は、靴の中に完全に隠れるフットカバー(インビジブルソックス)を着用するのがマナーです。
- 活用術:
汚れていたり、毛玉ができていたり、ゴムが伸びてずり落ちてきたりする靴下は、清潔感を著しく損ないます。常に状態の良いものを履くよう、定期的に買い替えましょう。たかが靴下と侮らず、見えない部分への配慮が、本物のお洒落に繋がります。
50代男性におすすめのファッションブランド
「基本はわかったけれど、具体的にどこのお店で服を買えばいいの?」という疑問にお答えします。ここでは、50代の男性が品の良いアイテムを見つけやすい、おすすめのファッションブランドを「定番セレクトショップ」と「高コストパフォーマンスブランド」に分けてご紹介します。
(本項目で紹介するブランド情報は、各公式サイトの情報を参照しています。)
迷ったら選びたい定番セレクトショップ
セレクトショップは、国内外からバイヤーが選び抜いた様々なブランドのアイテムと、自社のオリジナル商品を展開しているお店です。トレンドを程よく取り入れつつ、品質の高いベーシックなアイテムが揃っているため、50代の男性がファッションの軸を作るのに最適です。迷ったら、まずこれらのショップを覗いてみることをおすすめします。
UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)
「豊かさ・上質感」をキーワードに、大人向けのドレス軸のライフスタイルを提案するセレクトショップです。トラディショナルマインドをベースに、品の良いきれいめなアイテムが豊富に揃っています。オリジナル商品は品質が高く、シルエットも美しいものが多いため、ジャケットやスラックス、シャツといった基本アイテムを揃えるのに最適です。ビジネスシーンにも対応できるウェアから、上質なカジュアルウェアまで、幅広い品揃えが魅力です。
(参照:株式会社ユナイテッドアローズ 公式サイト)
BEAMS(ビームス)
1976年創業のセレクトショップの草分け的存在です。アメリカのライフスタイルを日本に紹介することから始まり、現在ではカジュアルウェアからドレスウェア、雑貨まで幅広く展開しています。BEAMS F(ビームスF)やBrilla per il gusto(ブリッラ ペル イル グスト)といったレーベルでは、本格的なクラシックスタイルのアイテムを扱っており、50代の男性にもフィットします。ベーシックな中にも、少し遊び心のあるデザインや、こだわりのあるアイテムを見つけたい方におすすめです。
(参照:株式会社ビームス 公式サイト)
SHIPS(シップス)
「Stylish Standard」をコンセプトに、トラディショナルな要素を現代的にアレンジしたスタイルを提案しています。知的で誠実な印象の、コンサバティブで品の良いアイテムが多く、ネイビーやグレーを基調としたオン・オフ兼用のウェアを探すのに適しています。特に、ジャケットやシャツ、ニットなどの定番品には定評があります。流行に左右されすぎない、長く愛用できる一着を見つけたい方にぴったりのショップです。
(参照:株式会社シップス 公式サイト)
TOMORROWLAND(トゥモローランド)
上品でエレガントなスタイルを特徴とするセレクトショップです。オリジナル商品は、国内外の優れたテキスタイルメーカーの生地を使用するなど、素材へのこだわりが強く、非常に上質です。特に、ニットやジャケットのクオリティの高さには定評があります。洗練された都会的な雰囲気で、きれいめなファッションを好む方におすすめです。他のセレクトショップに比べて、やや細身でスタイリッシュなシルエットのものが多いのも特徴です。
(参照:株式会社トゥモローランド 公式サイト)
ショップ名 | 特徴 | おすすめのアイテム |
---|---|---|
UNITED ARROWS | 品格とトレンド感を両立した、大人向けのきれいめスタイル | ジャケット、スラックス、シャツ |
BEAMS | カジュアルからドレスまで幅広く、遊び心のあるアイテムも豊富 | カジュアルウェア、インポートブランド |
SHIPS | 知的で誠実な印象の、トラディショナルで普遍的なスタイル | ネイビーブレザー、定番ニット |
TOMORROWLAND | 上質素材にこだわった、エレガントで洗練されたスタイル | ニット、ジャケット、シャツ |
コストパフォーマンスに優れたブランド
上質なアイテムを揃えたいけれど、すべてを高価なもので固めるのは難しい、という方も多いでしょう。ここでは、手頃な価格でありながら、選び方次第で十分に品良く見える、コストパフォーマンスに優れたブランドをご紹介します。
UNIQLO(ユニクロ)
もはや説明不要の、日本の国民的ブランドです。「LifeWear」をコンセプトに、あらゆる人の生活を豊かにするための、高品質でベーシックなウェアを提供しています。50代の男性が活用すべきは、その豊富なラインナップの中から「大人にふさわしい」アイテムを見つけ出すことです。
特におすすめなのは、「エクストラファインメリノ」シリーズのニットや、「スーピマコットン」のTシャツやシャツなど、素材にこだわった定番品です。また、クリストフ・ルメール率いるデザインチームが手がける「Uniqlo U(ユニクロユー)」のコレクションは、トレンド感と洗練されたデザインが魅力で、シンプルな中に少しだけ今の空気感を取り入れたい場合に最適です。
(参照:株式会社ユニクロ 公式サイト)
無印良品
「わけあって、低い」をキャッチコピーに、素材の選択、工程の点検、包装の簡略化から生まれた、シンプルで高品質な商品が特徴です。衣料品も、着心地の良い天然素材を活かした、流行に左右されないベーシックなデザインのものが中心です。
特に、オーガニックコットンを使用したシャツやTシャツ、洗いざらしの風合いが魅力のオックスフォードシャツなどは、飾り気のない、自然体の大人のカジュアルスタイルにぴったりです。ネイビー、グレー、ベージュ、カーキといったアースカラーの色揃えも、50代の男性には馴染みやすいでしょう。
(参照:株式会社良品計画 公式サイト)
ZARA(ザラ)
スペイン発の、世界的なファストファッションブランドです。最新のトレンドをいち早く商品化するのが特徴で、デザイン性の高いアイテムが豊富に揃っています。若者向けの奇抜なデザインも多いですが、その中から50代に似合うベーシックなアイテムを賢く選ぶのがポイントです。
例えば、シンプルなデザインのジャケットやスラックス、無地のレザーシューズなどは、意外と品質が高く、コストパフォーマンスに優れていることがあります。トレンドのシルエットや色味を少しだけ試してみたい、という場合に活用するのが良いでしょう。ただし、購入の際は、素材感や縫製をしっかりと見極めることが重要です。
(参照:株式会社ザラ・ジャパン 公式サイト)
体型の悩みをカバーする着こなしのコツ
50代になると、若い頃とは体型が変化し、ファッションに関する新たな悩みが生まれることも少なくありません。「お腹が出てきた」「身長が低いのがコンプレックス」「筋肉質で服が似合わない」など、人それぞれの悩みを、着こなしの工夫で上手にカバーする方法をご紹介します。視覚的な効果を利用して、コンプレックスを魅力に変えていきましょう。
お腹周りが気になる場合
50代男性の体型の悩みで最も多いのが、お腹周り、いわゆる「ポッコリお腹」です。これを隠そうとしてダボっとした服を着るのは、かえって全体を太って見せるため逆効果です。以下のテクニックですっきりと見せましょう。
- ハリのある素材を選ぶ: Tシャツやニットなど、薄手で柔らかい素材は体のラインをそのまま拾ってしまいます。適度な厚みとハリのある生地(ヘビーウェイトコットン、ハイゲージニット、目の詰まったウールなど)を選ぶことで、お腹のラインを目立たなくさせることができます。
- ジャケットやカーディガンで縦のラインを強調する: ジャケットやカーディガン、シャツなどを前を開けて羽織ると、中央に「縦のライン(Iライン)」が生まれます。このIラインには、視線を縦方向に誘導し、体をシャープに見せる効果があります。インナーと羽織りものの色にコントラストをつけると、より効果的です(例:白Tシャツにネイビージャケット)。
- トップスは濃い色、ボトムスは明るい色を選ぶ: 黒やネイビー、チャコールグレーといった収縮色をトップに持ってくることで、上半身を引き締めて見せる効果が期待できます。逆に、ボトムスに白やベージュなどの膨張色を持ってくると、視線が下に集まり、お腹から注意をそらすことができます。
- パンツはジャストウエストで履く: お腹を隠そうとしてパンツを腰で履く(腰パン)のはNGです。だらしなく見えるだけでなく、かえってお腹が乗っかって目立ってしまいます。おへその位置でジャストウエストで履き、ベルトをきちんと締めることで、すっきりとした印象になります。
低身長をカバーしたい場合
身長を物理的に伸ばすことはできませんが、着こなしによって実際よりも背を高く、スタイル良く見せることは可能です。ポイントは、いかに視線を上に集め、縦のラインを意識させるかです。
- Iラインシルエットを構築する: 上下の服を同系色でまとめると、体の縦のラインが分断されず、繋がって見えるため、身長が高く見えます。例えば、ネイビーのトップスにネイビーのパンツ、黒のトップスに黒のパンツといったワントーンコーデは非常に効果的です。
- アウターはショート丈を選ぶ: コートやジャケットなどのアウターは、着丈が短いものを選ぶと、その分、脚が長く見えます。ロングコートを着る場合は、前を開けてインナーを見せ、Iラインを強調しましょう。
- パンツと靴の色を繋げる: パンツと靴の色を同系色で合わせると、足元までが脚の長さとして認識されるため、脚長効果があります。例えば、黒いパンツに黒い靴、ネイビーのパンツにネイビーの靴、といった組み合わせです。
- 視線を上に誘導する: 帽子やメガネ、ストール、あるいは明るい色のトップスや胸ポケットのポケットチーフなど、顔周りや上半身にアクセントとなるアイテムを持ってくることで、見る人の視線を自然と上に集めることができます。これも、身長を高く見せるための有効なテクニックです。
がっちり・筋肉質な体型の場合
スポーツ経験者やトレーニングを習慣にしている方に多い、がっちりとした筋肉質な体型。健康的で素晴らしいことですが、既製品の服が合わなかったり、威圧的に見えてしまったりするという悩みもあります。ポイントは、筋肉を強調しすぎず、スマートに見せることです。
- ストレッチ素材を活用する: 肩周りや胸、太ももなどがきつく感じやすいがっちり体型の方には、ポリウレタンなどが混紡されたストレッチ性のある素材の服がおすすめです。動きやすさが格段に向上し、窮屈な印象を与えません。
- 首元をすっきり見せる: 首が太く、詰まって見えがちな場合は、VネックやUネック、開襟シャツ、ポロシャツなどで首元に抜け感を作ると、すっきりとした印象になります。クルーネックのTシャツを選ぶ場合も、首の詰まりすぎていないものを選びましょう。
- 適度なゆとりのあるサイズ感を選ぶ: 筋肉をアピールしたいからと、ピチピチのタイトな服を着るのはNGです。品がなく見え、威圧感を与えてしまいます。かといって、大きすぎるサイズも野暮ったく見えます。体のラインは拾いすぎず、かといって余りすぎない、絶妙なゆとりのあるジャストサイズを見つけることが重要です。
- シンプルなデザインを心がける: 柄物や装飾の多いデザインは、体のボリューム感をさらに強調してしまうことがあります。無地を基本とした、できるだけシンプルなデザインの服を選ぶことで、洗練されたスマートな印象になります。
まとめ
50代のメンズファッションは、決して難しいものではありません。若い頃のように流行を追いかける必要はなく、むしろ年齢を重ねたからこそ似合う、品格と余裕のあるスタイルを築く楽しみがあります。
この記事で一貫してお伝えしてきた、成功のための3つの基本原則を最後にもう一度確認しましょう。
- 清潔感を何よりも大切にする: シワのないシャツ、手入れの行き届いた髪や肌。お洒落以前の基本であり、あなたの信頼性を物語ります。
- 自分に合ったジャストサイズを選ぶ: 大きすぎず、小さすぎない、今のあなたの体を最も美しく見せるサイズが、洗練されたシルエットの基本です。
- シンプルで上質なアイテムを基本にする: 奇抜なデザインではなく、素材と仕立ての良いベーシックな服が、大人の品格と着回し力を生み出します。
これらの土台の上に、NGファッションを避け、この記事でご紹介したような必須アイテムを少しずつ揃えていけば、あなたのワードローブは大きく変わるはずです。そして、季節やTPOに合わせた着こなしを実践し、小物で個性をプラスすることで、ファッションはさらに奥深く、楽しいものになります。
体型の変化などの悩みも、着こなしの工夫次第で十分にカバーできます。大切なのは、今の自分を否定するのではなく、受け入れた上で、その魅力を最大限に引き出す方法を知ることです。
ファッションは、単に体を覆う布ではありません。自分自身を表現し、自信を与え、人生をより豊かに彩ってくれる強力なツールです。この記事を参考に、ぜひあなたらしい、若々しく魅力的な50代のファッションスタイルを見つけてください。年齢を重ねることを楽しみ、自信に満ちた毎日を送るための一助となれば幸いです。