近年、男性の美容への関心は急速に高まり、ビジネスシーンやプライベートを問わず、外見を整える手段として「メンズメイク」が注目されています。かつては一部の特別な人々のものであったメイクも、今や性別を問わず、自分をより良く見せるための自己表現、あるいは社会人としてのマナーの一つとして受け入れられつつあります。
しかし、「メンズメイクに興味はあるけれど、何から始めればいいのか分からない」「周りにバレたら恥ずかしい」「どんな道具をそろえればいいの?」といった不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなメンズメイク初心者のために、メイクで得られる効果から、最低限そろえるべき基本アイテム、具体的なメイクの手順、さらにはワンランク上の応用テクニックまで、網羅的に解説します。この記事を読めば、メンズメイクの基本がすべて理解でき、明日からでも自信を持って第一歩を踏み出せるようになります。
肌の悩みをカバーして清潔感を演出し、自分に自信を持つための強力なツールとなるメンズメイク。その基本を学び、新しい自分を発見してみましょう。
目次
メンズメイクで得られる3つの効果
メンズメイクを始めることで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。単に「見た目を飾る」というだけでなく、ビジネスやプライベートにおける人間関係、さらには内面にも良い影響をもたらす3つの大きな効果について、詳しく解説していきます。
① 清潔感がアップして第一印象が良くなる
人と人が出会うとき、その関係性を大きく左右するのが「第一印象」です。特にビジネスシーンにおける商談やプレゼンテーション、採用面接などでは、わずか数秒で相手の印象が決まってしまうと言われています。その第一印象を決定づける最も重要な要素の一つが「清潔感」です。
清潔感とは、単に身だしなみが整っていることだけを指すのではありません。健康的な肌の色つや、整えられた眉、カサつきのない唇など、顔全体のコンディションが大きく影響します。しかし、睡眠不足による目の下のクマ、不規則な生活による肌荒れ、加齢によるくすみなど、意図せずとも疲れた印象や不健康な印象を与えてしまうことは少なくありません。
ここでメンズメイクが大きな力を発揮します。
例えば、BBクリームやファンデーションを使えば、肌の色ムラやくすみを均一に整え、健康的で明るい肌色を演出できます。これにより、相手に活き活きとしたエネルギッシュな印象を与え、信頼感や説得力を高める効果が期待できます。また、気になる青髭やニキビ跡をコンシーラーでカバーすれば、よりクリーンで洗練された印象になります。
さらに、顔の印象を大きく左右するのが「眉」です。ボサボサに伸びた眉や、左右非対称な眉は、どこかだらしない印象を与えがちです。アイブロウペンシルやパウダーを使って眉の形を少し整えるだけで、顔全体が引き締まり、知的で意志の強い印象を演出できます。
このように、メンズメイクは欠点を隠すためだけのものではありません。自分の持つ魅力を最大限に引き出し、相手に「この人は自己管理ができている」「仕事も丁寧そうだ」といったポジティブな印象を与えるための戦略的なツールなのです。プライベートにおいても、清潔感のある男性が好印象を持たれるのは言うまでもありません。デートや新しい出会いの場で、自信を持って相手と向き合うための強力な味方となってくれるでしょう。
② ニキビ跡や青髭などの肌悩みをカバーできる
思春期から大人になっても続くニキビやその跡、毎日の髭剃りで目立ってしまう青髭、寝不足や疲れが顕著に現れるクマ、年齢とともに増えるシミや毛穴の開き。これらは、多くの男性が抱える代表的な肌悩みです。これらの悩みは、自分ではどうしようもないと感じ、自信を失う原因になることも少なくありません。
スキンケアによる根本的な改善も非常に重要ですが、効果が現れるまでには時間がかかります。そんな時、メンズメイクは、気になる肌悩みを瞬時に、そして効果的にカバーしてくれる非常に有効な手段です。
例えば、以下のような悩みを解決できます。
- ニキビ・ニキビ跡: 赤みや茶色い色素沈着が気になるニキビ跡も、カバー力の高いコンシーラーを使えば、まるでなかったかのように隠すことが可能です。広範囲にわたる場合は、BBクリームやファンデーションで全体の色調を整えた後、特に気になる部分にコンシーラーを重ねることで、自然な仕上がりになります。
- 青髭: 夕方になると目立ってくる青髭は、疲れた印象や不潔な印象を与えがちです。ファンデーションや特にカバー力のあるBBクリームを薄く塗るだけで、青みを和らげ、清潔感を長時間キープできます。さらに応用テクニックとして、青の補色であるオレンジ系のコンシーラーを使うと、より効果的にカバーできます。
- 目の下のクマ: クマには青クマ、茶クマ、黒クマなど種類がありますが、いずれもコンシーラーでカバーすることで、健康的で若々しい目元を取り戻せます。疲れた印象を払拭し、生き生きとした表情を作ることができます。
- 毛穴の開き・シミ: 毛穴の凹凸をカバーする効果のある下地や、肌の色ムラを整えるファンデーションを使うことで、肌表面をなめらかに見せることができます。気になるシミもコンシーラーでピンポイントに隠せば、均一で美しい肌に仕上がります。
これらの肌悩みをメイクでカバーすることで得られるのは、単に見た目がきれいになることだけではありません。「人の視線が気にならなくなる」という精神的な解放感が最も大きなメリットです。これまで肌のせいで人との会話に集中できなかったり、うつむきがちになったりしていた人も、コンプレックスから解放されることで、堂々と人と向き合えるようになります。メンズメイクは、肌悩みを隠すことで、内面の自信を引き出し、より積極的なコミュニケーションを可能にする力を持っているのです。
③ 自分に自信が持てる
「清潔感のアップ」と「肌悩みのカバー」。これら2つの効果がもたらす最終的なゴールは、「自分に自信が持てるようになる」ことです。外見が整うことは、内面に計り知れないほどのポジティブな影響を与えます。これは「見た目がすべて」ということでは決してありません。むしろ、自分自身を大切に扱い、より良く見せようと努力する行為そのものが、自己肯定感を育むのです。
朝、鏡を見て、整った肌やキリッとした眉の自分を認識すると、「今日の自分は、いつもより少し良い感じだ」という小さな成功体験が生まれます。このポジティブな自己認識が、その日一日の気分を向上させ、仕事やプライEートに対するモチベーションを高めてくれます。
例えば、大事なプレゼンテーションの日。完璧に資料を準備しても、当日の朝に大きなニキビができてしまったら、どうしても気になってしまい、発表に集中できないかもしれません。しかし、メイクでそのニキビをきれいにカバーできれば、余計な心配から解放され、自信を持ってプレゼンに臨むことができます。その結果、本来持っているパフォーマンスを最大限に発揮できる可能性が高まります。
また、メイクをすることで、これまで以上に自分自身の顔や肌の状態に関心を持つようになります。すると、自然とスキンケアにも力が入るようになり、肌そのものが健康になっていくという好循環が生まれます。これは、自分自身をケアし、投資するという行為であり、自己肯定感を高める上で非常に重要です。
メンズメイクは、仮面をつけて別人になるためのものではありません。自分のコンプレックスを上手にカバーし、長所をさらに引き立てることで、「理想の自分」に近づくための手段です。外見が整うことで得られる自信は、立ち居振る舞いや発言にも表れ、周囲からの評価も変わってくるでしょう。
メンズメイクは、外見を整える行為を通じて、内面の強さとしなやかさを引き出す自己投資と言えます。自信を持って堂々と振る舞えるようになれば、人間関係はより円滑になり、人生のあらゆる場面でポジティブな変化を実感できるはずです。
【初心者向け】メンズメイクで最低限そろえるべき基本アイテム
メンズメイクを始めようと思ったとき、最初の壁となるのが「何をそろえればいいのか」というアイテム選びです。多種多様なコスメが並ぶ売り場で、初心者は圧倒されてしまうかもしれません。しかし、心配は不要です。まずは、基本となる数点のアイテムをそろえるだけで、十分に効果的なメンズメイクを始めることができます。
ここでは、初心者が「これだけは持っておきたい」という最低限の基本アイテムを、「ベースメイク」と「ポイントメイク」に分けて詳しく解説します。
ベースメイクアイテム
ベースメイクは、その名の通りメイクの「土台(ベース)」を作る工程です。肌の色ムラや凹凸を整え、清潔感のある美しい肌を演出する上で最も重要な部分と言えます。ここでは、ベースメイクの基本となる3つのアイテムを紹介します。
アイテム名 | 主な役割 | 特徴 |
---|---|---|
BBクリーム / ファンデーション | 肌の色ムラを整え、肌全体を均一で美しく見せる | BBクリームは多機能で手軽。ファンデーションはカバー力や色の選択肢が豊富。 |
コンシーラー | BBクリーム等で隠しきれない局所的な肌悩みをピンポイントでカバー | ニキビ跡、クマ、濃いシミ、青髭などを集中的に隠す。 |
フェイスパウダー | ベースメイクの仕上げ。テカリを抑え、メイク崩れを防ぐ | 肌をサラサラに保ち、マスクへの色移りを軽減する効果も。 |
BBクリームまたはファンデーション
肌全体の印象を決定づける、メンズメイクの主役とも言えるアイテムです。肌の色ムラ、くすみ、薄いシミ、毛穴などをカバーし、均一でなめらかな肌質感を演出します。初心者の方は、まず「BBクリーム」か「ファンデーション」のどちらか一つを選びましょう。
BBクリームとは?
「Blemish Balm(ブレミッシュ バーム)」の略で、元々は傷跡を隠すために開発されたものです。美容液、日焼け止め、化粧下地、ファンデーションなどの機能が一つにまとまったオールインワンアイテムであることが最大の特徴です。
- メリット:
- 1本でベースメイクが完了するため、手軽で時間短縮になる。
- 保湿成分などが含まれているものが多く、スキンケア感覚で使える。
- 自然なカバー力で、「塗っている感」が出にくい。
- デメリット:
- ファンデーションに比べると、カラーバリエーションが少ない傾向がある。
- カバー力は比較的マイルド。
- こんな人におすすめ:
- メイク初心者で、何から使えばいいか分からない人。
- 朝、メイクに時間をかけたくない人。
- ごく自然な仕上がりを求める人。
ファンデーションとは?
肌の色を補正し、美しく見せることを主な目的としたアイテムです。BBクリームよりもカバー力が高く、色の選択肢も豊富なため、より本格的な仕上がりを求める方に向いています。
- 種類:
- リキッドタイプ: 液体状で、伸びが良く保湿力が高い。カバー力とナチュラルさのバランスが良い。
- クリームタイプ: リキッドよりこっくりした質感で、カバー力と保湿力が非常に高い。乾燥肌の人におすすめ。
- パウダータイプ: 粉を固めたもので、手軽でサラッとした仕上がり。脂性肌の人や、お直し用におすすめ。
- クッションタイプ: スポンジにリキッドファンデーションが染み込んだもので、パフでポンポンとつけるだけ。手軽さとカバー力を両立。
- メリット:
- カバー力が高いため、ニキビ跡やシミなどをしっかり隠せる。
- カラーバリエーションが豊富で、自分の肌色にぴったりの色を見つけやすい。
- 仕上がりの質感(マット、ツヤなど)を選べる。
- デメリット:
- BBクリームに比べ、化粧下地などが別途必要な場合がある。
- 塗り方によっては厚塗り感が出やすい。
- こんな人におすすめ:
- BBクリームではカバーしきれない肌悩みがある人。
- 自分の肌色に合う色を妥協したくない人。
- より完成度の高い仕上がりを求める人。
選び方のポイントは「色」です。顔と首の境目であるフェイスラインに少量つけてみて、境目がわからなくなる色が最適な色です。
コンシーラー
コンシーラーは、「隠す」ことに特化した部分用ファンデーションです。BBクリームやファンデーションで肌全体を整えた後、それでも隠しきれないニキビ跡、濃いシミ、目の下のクマ、小鼻の赤み、青髭などをピンポイントでカバーするために使用します。
まさに「縁の下の力持ち」的な存在で、これがあるだけでベースメイクの完成度が格段に上がります。
- 種類と選び方:
- スティックタイプ: 固形でカバー力が高い。ニキビ跡やシミなど、狭い範囲の悩みを隠すのに最適。
- リキッドタイプ: 液体状で伸びが良く、薄付きでナチュラル。目の下のクマや口角のくすみなど、動きのある部分や広い範囲に使いやすい。
- クリームタイプ: スティックとリキッドの中間の質感。カバー力と保湿力を兼ね備え、様々な悩みに対応できる。
- ペンシルタイプ: 硬めの芯で、ごく小さなシミやホクロなどをピンポイントで隠すのに便利。
初心者はまず、自分の肌色よりワントーン暗い色を選ぶと、ニキビ跡やシミが自然に隠せます。クマを隠す場合は、ワントーン明るい色を選ぶと目元が明るく見えます。
フェイスパウダー
ベースメイクの最後の仕上げに使用する、お粉状のアイテムです。BBクリームやファンデーションを塗った後の肌は、少しペタペタした状態ですが、その上からフェイスパウダーを重ねることで、肌表面をサラサラにし、テカリやベタつきを抑える効果があります。
- 主な効果:
- テカリ防止: 余分な皮脂を吸着し、Tゾーンなどのテカリを長時間防ぎます。
- メイク崩れ防止: ベースメイクを肌にしっかり密着させ、汗や皮脂によるヨレや崩れを防ぎます。
- マスクへの付着軽減: 肌表面がサラサラになるため、マスクにファンデーションが付きにくくなります。
- 肌質補正: 毛穴などの凹凸をふんわりとぼかし、なめらかな肌に見せる効果があります。
- 種類:
- ルースパウダー: 粉状のパウダー。ふんわりと軽く、ナチュラルな仕上がりになります。
- プレストパウダー: 粉を固めたコンパクトタイプ。持ち運びに便利で、外出先でのメイク直しにも適しています。
無色透明の「トランスルーセント」タイプを選べば、ファンデーションの色味を変えることなく使えるため、初心者には特におすすめです。
ポイントメイクアイテム
ベースメイクで肌の土台を整えたら、次は「ポイントメイク」で顔のパーツを際立たせ、印象を整えていきます。初心者はまず、顔の印象を大きく左右する「眉」と、清潔感に直結する「唇」のケアから始めましょう。
アイブロウ(眉メイク用品)
眉は「顔の額縁」とも言われるほど、その人の印象を決定づける重要なパーツです。ボサボサの眉は野暮ったく、手入れされていない印象を与えます。逆に、形を少し整えるだけで、顔全体が引き締まり、清潔感と知的さが格段にアップします。
- 役割: 眉の薄い部分を描き足したり、全体の形を整えたり、左右のバランスを合わせたりします。
- 初心者に必要な基本アイテム:
- アイブロウペンシル: 眉毛を1本1本描くように、細かい部分や眉尻のラインを整えるのに使います。芯の硬さや太さが様々ありますが、初心者は描きやすい楕円芯などがおすすめです。
- アイブロウパウダー: 複数の色がセットされたパレット状のものが多く、ふんわりと自然な眉を描くのに適しています。眉頭から眉全体に色を乗せるのに使います。
- スクリューブラシ: ペンシルに付属していることも多いですが、単品であると便利。描く前に毛流れを整えたり、描いた後にぼかして自然に見せたりするのに必須のツールです。
選び方のポイントは「色」です。基本的には、自分の髪の毛の色に近い色か、少し明るい色を選ぶと自然に馴染みます。黒髪の人は、真っ黒ではなく、グレーやダークブラウンを選ぶと、垢抜けた印象になります。
リップクリーム
乾燥してカサカサの唇や、皮がむけた唇は、不健康でだらしない印象を与えてしまいます。リップクリームは、唇に潤いを与え、乾燥や荒れを防ぐための必須アイテムです。これはメイクというよりは「スキンケア」の一環ですが、メンズメイクの仕上げとして取り入れることで、清潔感が大きく向上します。
- 選び方のポイント:
- 保湿力: ヒアルロン酸やセラミド、シアバターなどの保湿成分が配合されているものを選びましょう。
- UVカット効果: 唇も日焼けをします。SPF/PA値が表示されているものを選ぶと、紫外線による乾燥や色素沈着を防げます。
- 色付きかどうか:
- 無色タイプ: まずは基本の無色タイプから。自然なツヤを与え、健康的な唇に見せてくれます。
- 色付きタイプ: 血色が悪いことを気にしている場合は、ほんのり色が付くタイプもおすすめです。ブラウン系やコーラル系など、男性の肌にも馴染みやすい色がたくさん出ています。塗っていることがバレにくい、自然な血色感をプラスしてくれるものを選びましょう。
まずはこれらの基本アイテムからそろえ、メンズメイクの世界に足を踏み入れてみましょう。
【基本編】7ステップで完成!メンズメイクのやり方
アイテムをそろえたら、いよいよ実践です。ここでは、先ほど紹介した基本アイテムを使った、初心者向けの基本的なメンズメイクのやり方を7つのステップに分けて、一つひとつ丁寧に解説していきます。各ステップのポイントを押さえれば、誰でも簡単かつ自然に、清潔感のある印象を手に入れることができます。
① ステップ1:スキンケアで肌を整える
メイクを成功させる鍵は、実はメイク前の「スキンケア」にあります。肌が乾燥していたり、皮脂でベタついていたりすると、ファンデーションがうまく乗らなかったり(粉浮き)、すぐに崩れたりする原因になります。メイクは、潤っていてなめらかなキャンバス(肌)に描くことで、初めて美しく仕上がります。
- 洗顔: まずは洗顔料をしっかりと泡立て、肌を擦らないように優しく洗います。特に皮脂の出やすいTゾーン(額・鼻)や顎は丁寧に洗い、ぬるま湯でしっかりとすすぎましょう。熱いお湯は肌の乾燥を招くので避けるのがポイントです。
- 化粧水: 洗顔後の肌は水分が蒸発しやすい状態です。すぐに化粧水を手またはコットンに取り、顔全体に優しくなじませます。パンパンと叩き込むのではなく、手のひらで顔を包み込むようにして、じっくりと浸透させる(ハンドプレス)のが効果的です。
- 乳液またはクリーム: 化粧水で与えた水分が逃げないように、乳液やクリームで蓋をします。これも適量を手に取り、顔全体に優しく伸ばします。ベタつくのが苦手な男性も多いですが、この工程を省くと、肌が水分不足を補おうとしてかえって皮脂を過剰に分泌してしまうことがあります。「水分と油分のバランスを整える」ことが、テカリにくく崩れにくい肌を作る秘訣です。
スキンケアで肌の土台をしっかり整えることで、この後のメイクのノリと持ちが格段に変わってきます。
② ステップ2:日焼け止めを塗る
スキンケアが完了したら、次に日焼け止めを塗ります。BBクリームやファンデーションにUVカット効果が含まれている場合もありますが、製品に記載されている効果を十分に得るためには、規定量をしっかり塗る必要があります。そのため、メイクアイテムとは別に日焼け止めを塗るのが最も確実で効果的です。
紫外線はシミやシワ、たるみといった肌老化の最大の原因であり、一年中降り注いでいます。日焼け止めは夏だけのものではなく、毎日行うべきスキンケアの一部と考えましょう。
- 適量を手に取る: 製品に記載されている適量(一般的には500円玉大程度)を手に取ります。
- 顔全体にムラなく伸ばす: 顔の数カ所(両頬、額、鼻、顎)に点置きし、顔の中心から外側に向かって優しく伸ばします。耳や首の後ろなど、忘れやすい部分もしっかり塗りましょう。
- なじませる: 白浮きしないよう、肌にしっかりとなじませます。日焼け止めが肌になじむまで数分待ってから、次のステップに進むと、ベースメイクがヨレにくくなります。
③ ステップ3:BBクリームやファンデーションで肌を均一にする
いよいよベースメイクの中心、BBクリームまたはファンデーションを塗っていきます。ここでの目標は、「厚塗り感」を出さずに、あくまで自然に肌をきれいに見せることです。
- 適量を出す: BBクリームやリキッドファンデーションの場合、まずはパール1粒大を目安に手の甲に出します。一度にたくさん出すと厚塗りの原因になるため、足りなければ後から足すようにしましょう。
- 顔に点置きする: 指先でBBクリーム等を取り、顔の中で面積が広く、カバーしたい部分が多い両頬、額、鼻、顎の5点に置きます。
- 中心から外側へ伸ばす: 顔の中心(頬や鼻周り)から、フェイスライン(顔の輪郭)に向かって、指の腹を使って薄く均一に伸ばしていきます。特にフェイスラインは、首との色の差が出ないように、ぼかすように薄く伸ばすのが最も重要なポイントです。
- 細かい部分を整える: 目の周りや小鼻のキワ、口元など、皮膚が薄く動きやすい部分は、指に残ったごく少量のファンデーションで、優しく押さえるようにしてなじませます。
- スポンジでなじませる(推奨): 最後に、何もついていないスポンジで顔全体を優しくポンポンと叩き込むと、余分なファンデーションが吸収され、肌への密着度が高まります。ムラなく均一な仕上がりになり、崩れにくくなるので、ぜひ取り入れたい工程です。
④ ステップ4:コンシーラーで気になる部分を隠す
BBクリームやファンデーションだけでは隠しきれない、ニキビ跡やクマ、濃いシミ、青髭などをピンポイントでカバーしていきます。
- 隠したい部分に乗せる: コンシーラーを、カバーしたい悩みより少し広めの範囲に直接乗せます。
- 境目をぼかす: 指の腹(薬指が力が入りにくくおすすめ)を使い、コンシーラーを塗った部分の輪郭だけを、トントンと軽く叩き込むようにして、周りの肌との境目をぼかします。この時、隠したい中心部分には触れず、あくまで境界線だけをなじませるのがコツです。擦ってしまうとコンシーラーが剥がれてカバー力が落ちるので注意しましょう。
- 重ね付け: 一度で隠れない場合は、この工程を少量ずつ繰り返します。厚塗りにならないよう、薄い膜を重ねていくイメージで行いましょう。
⑤ ステップ5:フェイスパウダーでテカリを抑え、崩れを防ぐ
ベースメイクの仕上げです。フェイスパウダーを重ねることで、肌をサラサラに保ち、テカリやメイク崩れを長時間防ぎます。
- パフやブラシに粉を含ませる: パフを使う場合は、パウダーをしっかりと揉み込み、均一に粉がつくようにします。ブラシの場合は、粉を含ませた後、一度手の甲などで余分な粉を払います。
- 顔に乗せる: まずは皮脂の出やすいTゾーン(額、鼻)や、マスクで蒸れやすい口周りから乗せていきます。パフの場合は、肌を押さえるように優しく、ブラシの場合は、肌の上を滑らせるようにふんわりと乗せます。
- 顔全体に薄くつける: Tゾーンに乗せた後、パフやブラシに残ったパウダーで、頬などの顔全体に薄く広げます。つけすぎると粉っぽく乾燥した印象になるため、あくまで薄いヴェールをかけるような感覚で行いましょう。
⑥ ステップ6:アイブロウで眉の形を整える
眉を整えるだけで、顔の印象は劇的に変わります。目標は「描いた感」のない、自然で凛々しい眉です。
- 毛流れを整える: まず、スクリューブラシで眉頭は下から上へ、眉の中央から眉尻へは毛の流れに沿ってとかし、現在の眉の状態を確認します。
- 足りない部分を描き足す(ペンシル): 眉山から眉尻にかけて、形が足りない部分や毛が薄い部分を、眉毛を1本1本植えるようなイメージで、軽いタッチで描き足します。
- 全体に色を乗せる(パウダー): アイブロウパウダーの濃い色と薄い色をブラシで混ぜ、眉の中央から眉尻に向かって色を乗せます。その後、ブラシに残ったパウダーで、眉頭をふんわりとぼかすように色を乗せます。眉頭が濃いと不自然な印象になるため、一番薄く仕上げるのがポイントです。
- ぼかしてなじませる: 最後に再度スクリューブラシで眉全体をとかし、描いた部分と自眉をなじませます。これにより、さらに自然な仕上がりになります。
⑦ ステップ7:リップクリームで唇を保湿する
最後の仕上げに、リップクリームで唇に潤いを与え、健康的な印象をプラスします。
- 唇の縦ジワに沿って塗る: リップクリームを横に滑らせるだけでなく、縦ジワに沿って塗ることで、保湿成分がしっかり浸透します。
- はみ出さないように注意: 輪郭からはみ出さないように丁寧に塗りましょう。
- 色付きリップの場合: 自然に見せるには、唇の中央に少しだけ乗せ、指でポンポンと軽く叩きながら全体に広げると、内側から滲み出るような自然な血色感を演出できます。
以上7ステップで、基本のメンズメイクは完成です。慣れれば10分程度でできるようになります。まずはこの基本をマスターし、清潔感のある自分を手に入れましょう。
【応用編】周りと差がつくワンランク上のメイク術
基本の7ステップをマスターし、メンズメイクに慣れてきたら、次は少し応用的なテクニックに挑戦してみましょう。基本メイクが「マイナスをゼロにする」メイクだとすれば、応用メイクは「ゼロをプラスにする」メイクです。ほんの少しの工夫で、より洗練された印象や、なりたいイメージを自在に演出することができます。ここでは、周りと差がつくワンランク上のメイク術を3つご紹介します。
アイシャドウで目元の印象を変える
アイシャドウは女性のもの、というイメージが強いかもしれませんが、男性が使うことで目元に自然な陰影と深みを与え、印象を大きく変えることができる強力なアイテムです。ギラギラしたラメや派手な色ではなく、肌なじみの良いマットな質感のカラーを選ぶことが、ナチュラルに仕上げるための絶対条件です。
- おすすめのカラー:
- ブラウン系: 最もベーシックで失敗しにくいカラー。自然な陰影を作り出し、知的で落ち着いた印象を与えます。ビジネスシーンにも最適です。
- ベージュ系: 肌の色に近いため、塗っていることがバレにくく、まぶたのくすみを自然に払い、明るく健康的な目元を演出します。
- オレンジ・コーラル系: 少し温かみのあるこれらの色は、血色感をプラスし、親しみやすくおしゃれな印象を与えます。プライベートや少しカジュアルなシーンにおすすめです。
- 基本的な塗り方:
- まず、明るいベージュ系のアイシャドウ(ベースカラー)を指またはブラシに取り、アイホール全体(眼球のくぼみ部分まで)に薄く伸ばします。これにより、まぶたのくすみが飛び、次に乗せる色の発色が良くなります。
- 次に、ミディアムブラウンなどのメインカラーを、目のキワ(まつ毛の生え際)から二重幅くらいの範囲に塗ります。一重や奥二重の人は、目を開けた時に少し色が見えるくらいの範囲に塗りましょう。
- 最後に、指や何もついていないブラシで、色の境目を優しくぼかしてなじませます。グラデーションを意識することで、わざとらしさがなくなり、自然な奥行きが生まれます。
たったこれだけで、眠そうに見えがちな目元がパッチリと大きく見えたり、彫りの深い印象になったりと、顔全体の印象が引き締まります。重要なのは、あくまで「影」を足すという意識で、ごく薄く塗ることです。
シェーディング・ハイライトで立体感を出す
欧米人に比べて、日本人の顔は平面的でのっぺりとした印象になりがちです。シェーディングとハイライトは、光と影を操ることで、顔に凹凸と立体感を生み出し、メリハリのある小顔に見せるテクニックです。
- シェーディングとは?:
顔に「影」を作り、引き締めて見せたい部分に使うアイテムです。フェイスラインに入れれば顔がシャープに見え、鼻筋の脇に入れれば鼻が高く見えます。肌色よりも2トーンほど暗いブラウン系のパウダーが一般的です。- 入れる場所:
- フェイスライン: エラの部分や顎の下に、大きなブラシでふんわりと入れると、輪郭が引き締まり小顔効果があります。
- 鼻筋の脇: 眉頭の下から鼻筋の側面に沿って、細いブラシでサッと入れると、鼻筋が通って見えます。
- 入れる場所:
- ハイライトとは?:
顔に「光」を集め、高く見せたい部分、明るく見せたい部分に使うアイテムです。光が当たることで、その部分が際立ち、顔に立体感が生まれます。パールやラメが控えめな、肌なじみの良いベージュ系やオフホワイト系のパウダーがおすすめです。- 入れる場所:
- Tゾーン: 額の中心から鼻筋にかけてサッと入れると、顔の中心が高く見え、立体的な顔立ちになります。
- Cゾーン: 眉下から目尻を囲むようにCの字に入れると、目元が明るく見え、横顔が美しく見えます。
- 顎先・上唇の山: これらの場所に少量乗せると、顔にメリハリが出ます。
- 入れる場所:
- 成功のコツ:
シェーディングもハイライトも、「入れていることがバレたら失敗」です。成功の秘訣は、とにかく「少量ずつ、ふんわりと乗せ、徹底的にぼかす」ことです。塗った後に、鏡を少し離して見て、不自然な線や色の塊がないかを確認する習慣をつけましょう。パウダータイプのものを、大きめで毛量の多いブラシを使って乗せると、失敗しにくくなります。
涙袋メイクで優しい目元を演出する
涙袋(下まぶたのぷっくりとした部分)は、別名「ホルモンタンク」とも呼ばれ、ここがふっくらしていると目が大きく見えるだけでなく、優しく、親しみやすく、若々しい印象を与える効果があります。この涙袋をメイクで擬似的に作り出すのが「涙袋メイク」です。K-POPアイドルの影響などもあり、男女問わず人気のテクニックです。
- やり方:
- まず、にこっと笑った時に下まぶたにできる、ぷっくりとした膨らみとその下の影を確認します。これが涙袋のガイドラインになります。
- 影を描く: 薄いブラウン系のアイブロウペンシルや、マットなアイシャドウの薄いブラウンを細いブラシに取り、先ほど確認した涙袋の下の影の部分に、ごく細く線を引きます。黒目の下あたりを中心に、目頭から目尻まで長く引きすぎないのがポイントです。
- 影をぼかす: 描いた線を、綿棒や指で優しくぼかして、自然な影に見えるようにします。
- ぷっくり感を出す: 涙袋のぷっくりさせたい部分(ステップ2で描いた影の上)に、肌なじみの良いマットなベージュのコンシーラーや、ラメ感の強くない明るいアイシャドウを少量乗せます。これにより、光が集まって立体的に見えます。
- 注意点:
影を濃く描きすぎたり、キラキラしすぎるハイライトを使ったりすると、非常に不自然になります。特に影の色が濃すぎると、クマのように見えてしまうため、「描いたかわからない」くらいごくごく薄く入れるのが成功の秘訣です。このテクニックは、特に目元の印象を柔らかく見せたい時や、優しい雰囲気を演出したい時に効果的です。
これらの応用テクニックは、全てを一度に行う必要はありません。自分のなりたいイメージや、その日の予定に合わせて、一つずつ取り入れてみてください。基本のメイクにプラスアルファすることで、メンズメイクの楽しさと可能性がさらに広がるはずです。
周りにバレない!ナチュラルに見せるメンズメイクの4つのコツ
メンズメイクを始める多くの人が最も懸念するのは、「メイクしていることが周りにバレてしまうのではないか」という点でしょう。「いかにも塗ってます」という不自然な仕上がりは、清潔感を出すどころか、かえってマイナスの印象を与えかねません。しかし、いくつかの重要なコツを押さえるだけで、誰にも気づかせないほど自然な「バレないメイク」は実現可能です。ここでは、そのための4つの極意を詳しく解説します。
① 事前のスキンケアと産毛処理を丁寧に行う
ナチュラルメイクの成否は、メイクを始める前の「下準備」で8割決まると言っても過言ではありません。どれだけ高価なコスメを使っても、土台となる肌のコンディションが悪ければ、美しく仕上がりません。
- 徹底した保湿:
メイクが不自然に見える大きな原因の一つに「粉浮き」があります。これは、肌の乾燥によって、ファンデーションなどの粉体が肌に密着せず、浮き上がってしまう現象です。これを防ぐためには、メイク前のスキンケアで、肌に十分な潤いを与えることが不可欠です。化粧水で水分を補給し、乳液やクリームでその水分が逃げないようにしっかりと蓋をする。この基本的な保湿ケアを徹底するだけで、ファンデーションのノリと密着度が格段に向上し、時間が経っても乾燥崩れしにくくなります。特に、皮脂が多いと感じる人でも、内側が乾燥している「インナードライ肌」の場合が多いです。しっかり保湿することで、過剰な皮脂分泌が抑えられ、結果的にテカリにくくなるというメリットもあります。 - 顔の産毛処理:
意外と見落としがちですが、顔の産毛はメイクの仕上がりに大きく影響します。産毛があると、その毛にファンデーションが絡みつき、肌からファンデーションが浮いて見えたり、ムラになったりする原因になります。特に、頬や口周り、フェイスラインの産毛は、メイクのノリを妨げます。
週に1回程度、フェイス用の電動シェーバーなどを使って産毛を処理するだけで、肌表面がなめらかになり、ファンデーションがピタッと肌に密着するようになります。肌の凹凸が減ることで、光が均一に反射し、肌そのものがワントーン明るく見えるという副次的な効果も期待できます。このひと手間が、プロのような均一でなめらかな肌質感を演出する鍵となります。
② 自分の肌色に合ったアイテムを選ぶ
メイクバレの最大の原因は、「自分の肌色とコスメの色が合っていない」ことです。特に、顔全体の印象を左右するBBクリームやファンデーションの色選びは、最も慎重に行うべきポイントです。
- 正しい色の見つけ方:
多くの人がやりがちな間違いが、手の甲で色を試すことです。手の甲と顔の肌色は、日焼けの具合などが異なるため、全く参考になりません。正しい色の確認方法は、顔と首の境目である「フェイスライン」に、気になる色を2〜3色、少量ずつ直接塗ってみることです。そして、自然光の下で鏡を見て、首の色と最も自然になじんで、色の境目がわからなくなるものが、あなたにぴったりの色です。- 明るすぎる色: 顔だけが白く浮いてしまい、「お面」をかぶっているような不自然な印象になります。
- 暗すぎる色: 顔色が悪く、疲れた印象を与えてしまいます。
- テスターを活用しよう:
ドラッグストアやデパートのコスメカウンターでは、テスター(試供品)が用意されています。画面上の色やパッケージの色だけで判断せず、面倒でも必ず自分の肌で試すことが失敗しないための鉄則です。店員さんに相談すれば、客観的な視点で色選びを手伝ってもらえます。自分の肌色を正確に把握することが、ナチュラルメイクへの第一歩です。
③ 厚塗りせず、部分使いを意識する
肌の悩みを隠したいという気持ちが強いほど、ついついファンデーションを厚く塗ってしまいがちです。しかし、厚塗りはメイクが崩れやすくなるだけでなく、シワに入り込んで悪目立ちさせたり、能面のような不自然な「塗り壁」感を生み出したりする最大の原因です。
ナチュラルメイクの極意は「完璧に隠そうとしない」こと、そして「メリハリをつける」ことです。
- 顔全体に均一に塗らない:
BBクリームやファンデーションは、顔全体に同じ量をベッタリと塗る必要はありません。基本的には、クマや赤み、毛穴などが気になる顔の中心部(頬の内側、Tゾーンなど)を中心に塗り、そこから外側に向かって薄く伸ばしていくのが正解です。肌トラブルの少ないフェイスラインや額の生え際などは、ほとんど塗らないくらいで構いません。この濃淡のグラデーションが、自然な立体感と「素肌感」を演出します。 - コンシーラーを主役にする:
肌全体をファンデーションで覆い隠すのではなく、「ベースはごく薄く、気になる悩みはコンシーラーでピンポイントに隠す」という発想に切り替えましょう。例えば、顔全体のトーンアップは日焼け止めやごく少量のBBクリームで行い、ニキビ跡やクマ、青髭といった「点」や「面」の悩みは、カバー力の高いコンシーラーに任せるのです。この「部分使い(部分補正)」のテクニックをマスターすれば、使用するファンデーションの量を最小限に抑えられ、驚くほどナチュラルで軽い仕上がりになります。
④ ポイントメイクはやりすぎない
ベースメイクと同様に、眉やリップなどのポイントメイクも「やりすぎない」ことがバレないための鉄則です。あくまで、元々のパーツを少しだけ引き立てる「補正」の意識を持つことが大切です。
- 眉メイク:
理想の形に無理やり変えようとするのではなく、自分の眉毛の形を活かし、「足りない部分を補う」「毛流れを整える」程度に留めましょう。眉頭を濃く描きすぎたり、眉全体の輪郭をくっきりと縁取ったりすると、一気に不自然になります。眉頭は薄く、眉尻に向かって自然に濃くなるグラデーションを意識し、描いた後は必ずスクリューブラシでぼかすことを忘れないでください。「少し物足りないかな?」くらいでやめておくのが、ちょうど良い塩梅です。 - リップメイク:
唇の血色を良く見せたい場合でも、発色の良い口紅や、テカテカしすぎるグロスは避けましょう。男性の場合は、ほんのり血色感がアップする程度の「色付きリップクリーム」や、自然なツヤ感の無色のリップクリームが最適です。あくまで「唇のコンディションが良い」ように見せることがゴールです。
これらの4つのコツを常に意識することで、「メイクしている」と感じさせることなく、あなたの魅力を最大限に引き出すことができます。ナチュラルメイクは、技術よりも「意識」が重要です。
おすすめのメンズコスメブランド5選
メンズメイクを始めようにも、どのブランドの製品を選べば良いか迷ってしまう方も多いでしょう。ここでは、初心者から上級者まで、幅広いニーズに応えるおすすめのメンズコスメブランドを5つ厳選してご紹介します。それぞれのブランドコンセプトや特徴を理解し、自分のなりたいイメージや肌質に合ったブランドを見つける参考にしてください。
ブランド名 | コンセプト / 特徴 | おすすめの人 |
---|---|---|
FIVEISM × THREE | 個性を尊重する本格派メンズコスメ。高品質でスタイリッシュ。 | メイクにこだわりたい中〜上級者、デザイン性を重視する人。 |
ORBIS Mr. | スキンケア発想のシンプル設計。自然な仕上がりを重視。 | スキンケアから始めたい初心者、ナチュラルメイク志向の人。 |
SHISEIDO MEN | 資生堂の皮膚科学研究に基づく高機能コスメ。エイジングケアにも注力。 | 30代以上、肌悩みに本格的にアプローチしたい人、信頼性を求める人。 |
MULC | Z世代に人気。「バレない」を追求したジェンダーレスコスメ。 | トレンドに敏感な若年層、とにかくバレたくない初心者。 |
LAKA | アジア初のジェンダーニュートラルブランド。洗練されたカラーが豊富。 | ジェンダーレスな思想に共感する人、韓国コスメ好き、色で遊びたい人。 |
① FIVEISM × THREE(ファイブイズム バイ スリー)
「Individuality(個性)」をブランドコンセプトに掲げる、日本の本格的なメンズ総合コスメブランドです。人気コスメブランド「THREE」から派生したブランドで、その品質と世界観は高く評価されています。
- 特徴:
- プロ仕様の品質: メイクアップアーティストも使用するほど、品質や機能性に優れています。ファンデーションのカラーバリエーションが豊富で、自分の肌色にぴったりの色が見つかりやすいのが特徴です。
- スタイリッシュなデザイン: 黒を基調としたミニマルで洗練されたパッケージは、持っているだけで気分が上がります。男性がポーチに入れていても違和感のないデザインです。
- 幅広いラインナップ: ベースメイクから、アイシャドウ、ネイル、ヘアケアまで、トータルで男性の美をサポートする幅広い製品展開をしています。特に、スティック状のファンデーション「ネイキッドコンプレクション バー」は、手軽さとカバー力を両立した人気商品です。
- こんな人におすすめ:
- メイクにある程度慣れてきて、より本格的なアイテムを試したい中〜上級者。
- 品質やブランドの世界観、パッケージデザインにもこだわりたい人。
- 自分だけの「個性」を表現するツールとしてメイクを楽しみたい人。
参照:FIVEISM × THREE 公式サイト
② ORBIS Mr.(オルビス ミスター)
大手化粧品会社オルビスが展開するメンズラインです。「肌の根幹を整え、人としての魅力を引き出す」というスキンケア発想に基づいた製品開発が特徴で、シンプルでクリーンな印象を与えます。
- 特徴:
- スキンケアがベース: もともとスキンケアに定評のあるオルビスだけに、メイクアイテムも肌への優しさや保湿力に配慮して作られています。
- バレにくい自然な仕上がり: 「塗っている感」を極力なくし、素肌そのものがきれいになったかのような自然な仕上がりを追求しています。特に、光を操って肌悩みを飛ばすBBクリーム「ミスター ベースカラー コントローラー」は、初心者でもムラなく使え、厚塗り感が出にくいと人気です。
- シンプルなステップ: 複雑な手順を必要とせず、日々のルーティンに手軽に取り入れられるような製品設計がされています。
- こんな人におすすめ:
- これからメンズメイクを始める初心者で、何から使えばいいかわからない人。
- スキンケアの延長線上で、まずは肌をきれいに見せたいと考えている人。
- あくまでナチュラルで、周りにバレにくいメイクをしたい人。
参照:ORBIS Mr. 公式サイト
③ SHISEIDO MEN(シセイドウ メン)
日本を代表する化粧品会社、資生堂が長年の皮膚科学研究の知見を注ぎ込んだ、高機能なメンズコスメブランドです。「可能性は、肌に出る。」をスローガンに、男性の肌特有の悩みにアプローチします。
- 特徴:
- 先進のテクノロジー: 資生堂が誇る最先端の皮膚科学研究に基づき、男性の皮脂の多さ、乾燥しやすさ、エイジングサインといった悩みに対応する成分が配合されています。
- エイジングケアに強み: 特に30代以降の男性が気になり始める、ハリ不足やシワ、シミといったエイジングサインに対応する製品が充実しています。
- 信頼と実績: 「資生堂」というブランドが持つ信頼感と安心感は大きな魅力です。デパートのカウンターで専門のビューティーコンサルタントに相談しながら製品を選べるのも利点です。BBクリーム「ヴァイブラント BBモイスチャライザー」は、自然なカバー力とスキンケア効果を両立しています。
- こんな人におすすめ:
- 30代以上の、肌のエイジングサインが気になり始めた男性。
- 肌悩みのカバーだけでなく、スキンケア効果も重視したい人。
- 信頼できる大手ブランドの製品を使いたい人。
参照:SHISEIDO MEN 公式サイト
④ MULC(ムルク)
「THE NEW BASC. -男性の当たり前を底上げする-」をコンセプトに、特にZ世代から絶大な支持を集めている日本のジェンダーレスコスメブランドです。SNSを中心に人気が広がり、急成長を遂げています。
- 特徴:
- 「バレない」ことへの徹底したこだわり: “塗ってる感”をなくし、至近距離でもバレないナチュラルな仕上がりを徹底的に追求して製品開発されています。
- ユーザー目線の製品: SNSなどでユーザーの声を積極的に取り入れ、男性が本当に欲しいと思う機能や使いやすさを反映した製品が魅力です。眉頭も自然に描ける極細芯の「アイブロウペンシル」や、高いカバー力と自然な仕上がりを両立した「ナチュラルBBクリーム」が特に人気です。
- トレンド感: 現代の若者の価値観に寄り添ったブランド展開で、トレンドに敏感な層から支持されています。
- こんな人におすすめ:
- メイクしていることを絶対にバレたくない、ナチュラルメイク派の初心者。
- 10代〜20代の若年層や、トレンドに敏感な人。
- SNSで話題のコスメを試してみたい人。
参照:MULC公式サイト
⑤ LAKA(ラカ)
「すべての性を自由にする」という理念を掲げる、アジアで初めてのジェンダーニュートラルメイクアップブランドです。韓国発のブランドで、性別に関係なく誰もがメイクを楽しめるような、洗練された世界観が特徴です。
- 特徴:
- ジェンダーニュートラルなカラー: 男性にも女性にも似合う、絶妙なニュアンスカラーのアイテムが豊富です。特にリップやアイシャドウ、チークのカラー展開は秀逸で、多くのファンを魅了しています。
- 洗練されたデザイン: シンプルでありながら、ディテールにこだわった美しいパッケージデザインも人気の理由の一つです。
- パートナーとのシェアも: ジェンダーレスな製品なので、パートナーとコスメをシェアして楽しむこともできます。「フルーティーグラムティント」などのリップ製品は、男女問わず絶大な人気を誇ります。
- こんな人におすすめ:
- ジェンダーレスな考え方に共感し、自由な自己表現を楽しみたい人。
- 韓国コスメの質感や色味が好きな人。
- ベースメイクだけでなく、アイメイクやリップなど、色を使ったメイクにも挑戦してみたい人。
参照:Laka 公式サイト
メンズメイクに関するよくある質問(Q&A)
メンズメイクを始めるにあたって、多くの方が抱くであろう素朴な疑問や不安について、Q&A形式で分かりやすくお答えします。
メンズコスメはどこで買える?
かつてはメンズコスメを購入できる場所は限られていましたが、現在では様々な場所で手軽に購入できるようになっています。それぞれの場所のメリット・デメリットを理解し、自分に合った購入方法を選びましょう。
- ① デパートのコスメカウンター
- メリット: ブランドの専門知識を持ったビューティーアドバイザー(BA)に直接相談できるのが最大の利点です。肌質や悩みを伝えれば、最適なアイテムを提案してもらえ、色選びや使い方も丁寧にレクチャーしてくれます。テスターも豊富で、実際に肌で試してから購入できます。
- デメリット: ある程度の知識がないと、少し気後れしてしまうかもしれません。価格帯は比較的高めです。
- おすすめな人: 初心者で何を選べばいいか全くわからない人、じっくり相談して失敗のない買い物をしたい人。
- ② バラエティショップ(ロフト、東急ハンズ、プラザなど)
- メリット: 多くのブランドが一同に介しているため、様々な製品を自由に比較検討できます。テスターも多く、店員のプレッシャーを感じずに自分のペースで選べます。トレンドのアイテムや人気のアイテムが見つけやすいのも特徴です。
- デメリット: 専門的なアドバイスを受けられるスタッフは少ない場合があります。
- おすすめな人: 色々なブランドを比較してみたい人、気軽にコスメを試したい人。
- ③ ドラッグストア(マツモトキヨシ、ウエルシアなど)
- メリット: 店舗数が多く、仕事帰りなどにも気軽に立ち寄れます。比較的手に取りやすい価格帯のブランドが多く、メンズコスメ専用のコーナーが設けられている店舗も増えています。
- デメリット: テスターが少ない場合や、取り扱いブランドが限られることがあります。
- おすすめな人: 手軽に、かつリーズナブルにコスメをそろえたい人。
- ④ 公式オンラインストア・ECサイト(Amazon、楽天市場、ZOZOTOWNなど)
- メリット: 時間や場所を問わずに買い物ができます。ユーザーレビューや口コミをじっくり読んでから購入を決められるのが大きな利点です。公式サイト限定のセットや特典がある場合も。
- デメリット: 実際に製品を試すことができないため、特にファンデーションなどの色選びで失敗するリスクがあります。
- おすすめな人: 既に使うアイテムが決まっている人、口コミを重視する人、店舗に行く時間がない人。
メイクを落とすクレンジングは必要?
結論から言うと、絶対に必要です。
「洗顔料だけでいいのでは?」と思うかもしれませんが、BBクリームやファンデーション、日焼け止めなどのメイクアイテムは、油性の汚れです。これらは、水性の汚れ(汗やホコリ)を落とすことを主目的とした通常の洗顔料では、完全に落としきることができません。
メイク汚れが肌に残ったままだと、以下のような肌トラブルの原因になります。
- 毛穴の詰まり・黒ずみ: 残ったメイク汚れが皮脂と混ざり、毛穴に詰まって角栓となり、酸化して黒ずみます。
- ニキビ・肌荒れ: 毛穴に詰まった汚れは、アクネ菌などの雑菌の温床となり、ニキビや炎症を引き起こします。
- くすみ・色素沈着: 肌のターンオーバーが妨げられ、古い角質や汚れが蓄積し、肌全体の透明感が失われます。
メイクをすることは、メイクを正しく落とす「クレンジング」までがワンセットと心得ましょう。クレンジングにはオイル、ジェル、ミルク、バームなど様々なタイプがありますが、男性のしっかりしたメイクや皮脂汚れにもなじみやすい、オイルタイプやバームタイプから試してみるのがおすすめです。
女性用のコスメを使ってもいい?
結論として、使っても全く問題ありません。
コスメの成分に、性別によって使ってはいけないというものは基本的に存在しません。自分の肌に合い、色が合えば、女性用の製品を男性が使っても大丈夫です。
ただし、メンズコスメには、男性が使うことを想定したメリットがあることも知っておくと良いでしょう。
- 肌質への配慮: 一般的に男性の肌は、女性に比べて皮脂分泌が多く、水分量が少ない、肌が厚いといった特徴があります。メンズコスメは、こうした男性特有の肌質に合わせて、テカリにくい処方になっていたり、さっぱりした使用感だったりする製品が多いです。
- 色の展開: ファンデーションやBBクリームの色展開が、男性の平均的な肌トーンに合わせて作られているため、色選びで失敗しにくい傾向があります。
- 香りやパッケージ: 香りが控えめであったり、男性が持ちやすいシンプルでスタイリッシュなデザインであったりする点もメリットです。
最終的には個人の好みや肌質によりますが、何から始めればいいかわからない初心者のうちは、男性向けに作られたメンズコスメから試してみる方が、失敗のリスクは少ないと言えるでしょう。
青髭や濃いヒゲを上手に隠す方法は?
夕方になると目立ってくる青髭は、男性特有の深い悩みの一つです。ファンデーションを重ねても、かえってグレーっぽくくすんでしまい、うまく隠せないという経験をした方もいるかもしれません。
この悩みを解決する鍵は、「補色(ほしょく)」の原理を利用することです。補色とは、色相環で正反対に位置する色のことで、混ぜ合わせると無彩色(グレーや黒)になり、隣り合わせに置くとお互いを最も引き立て合う性質があります。
青髭の「青」の補色は「オレンジ」です。この原理を応用し、青みが気になる部分にオレンジ系の色を仕込むことで、青みを効果的に打ち消すことができます。
- 具体的な手順:
- スキンケア、日焼け止めの後、ベースメイクを始める前に、オレンジ系のコントロールカラーやコンシーラーを用意します。
- 青髭が気になる部分(口周りや顎など)に、そのオレンジ色のコンシーラーを指やブラシでごく薄く、トントンと叩き込むように乗せます。塗りすぎると後の工程でカバーしきれなくなるので、あくまで薄く仕込むのがポイントです。
- オレンジ色を乗せた上から、自分の肌色に合ったBBクリームやファンデーション、コンシーラーを優しく重ねて、オレンジ色を隠しながら周りの肌と丁寧になじませます。
このひと手間を加えるだけで、ファンデーションを厚塗りするよりもはるかに自然で、かつ効果的に青髭をカバーすることができます。まるでプロのようなテクニックですが、慣れれば簡単なので、ぜひ試してみてください。