近年、男性の美容意識の高まりとともに、メンズメイクは特別なものではなく、身だしなみの一環として浸透しつつあります。特に、顔の印象を大きく左右する「目元」のメイクに関心を持つ男性が増えています。ファンデーションや眉メイクに次いで、次なるステップとして注目されているのがアイシャドウです。
「アイシャドウは女性がするもの」「メイクをしているとバレたくない」「何を選んで、どう塗ればいいのかわからない」といった不安や疑問を感じる方も多いかもしれません。しかし、メンズアイシャドウの目的は、色を主張することではなく、あくまで自然な陰影を操って目元の印象を向上させることにあります。
正しく使えば、疲れた印象を与えがちな目元のクマやくすみをカバーし、彫りの深い立体的な顔立ちを演出し、自信に満ちた生き生きとした表情を作ることが可能です。まるで何もしていないかのように、それでいて確実に「いつもより少し良い自分」を演出できるのが、メンズアイシャドウの最大の魅力と言えるでしょう。
この記事では、メンズアイシャドウ初心者の男性が、誰にもバレずに自然で魅力的な目元を手に入れるための方法を、基礎から応用まで徹底的に解説します。アイシャドウがもたらすメリットから、具体的な選び方、目の形に合わせた塗り方のテクニック、失敗しないための注意点、さらにはおすすめのブランドまで、網羅的にご紹介します。
この記事を読み終える頃には、アイシャドウに対するハードルが下がり、あなたも自信を持ってアイメイクを始められるようになっているはずです。さあ、アイシャドウをマスターして、新しい自分の魅力を引き出してみましょう。
目次
メンズがアイシャドウを使う3つのメリット
アイシャドウと聞くと、色を乗せて華やかに飾り立てるイメージが先行するかもしれません。しかし、メンズメイクにおけるアイシャドウの役割は少し異なります。それは、光と影を巧みに操り、元々の顔立ちが持つ魅力を最大限に引き出す「補正」や「強調」に近いものです。ここでは、男性がアイシャドウを使うことで得られる具体的な3つのメリットについて、その仕組みとともに詳しく解説します。
① 目が大きく見える
男性がアイシャドウを使う最大のメリットの一つが、目を自然に大きく見せる効果です。目がぱっちりしていると、意志が強く、快活で、コミュニケーション能力が高いといったポジティブな印象を与えやすくなります。特に、一重や奥二重で目の印象が少し物足りないと感じている方にとって、アイシャドウは非常に有効なツールとなります。
なぜアイシャドウで目が大きく見えるのでしょうか。その秘密は「陰影」にあります。絵画で立体感を出すために影を描くのと同じ原理で、まぶたに肌の色より少し暗い色(シェードカラー)を乗せることで、人工的な影を作り出します。この影が目のフレーム、つまり輪郭を強調し、目の縦幅や横幅を拡張して見せるのです。
具体的には、まつ毛の生え際(目のキワ)に濃いめのブラウンなどの「締め色」を細く入れることで、目の輪郭がくっきりと際立ちます。これは、アイラインを引く効果と似ていますが、アイシャドウはパウダー状のものをぼかして使うため、アイラインよりもずっと自然で、メイク感を出さずに目力をアップさせることが可能です。
さらに、アイホール(眼球がおさまっているくぼみ)全体に明るめのベージュやブラウンを薄く広げることで、まぶたの立体感が強調されます。これにより、目が奥にあるように見え、結果として顔全体に奥行きが生まれます。
このように、アイシャドウは単に色を塗るのではなく、計算された陰影によって目の錯覚を引き起こし、自然な形で目を大きく、印象的に見せる効果があります。コンタクトレンズで黒目を大きく見せる方法もありますが、アイシャドウはまぶた全体にアプローチするため、よりナチュラルで根本的な印象アップにつながるのです。
② 彫りが深く立体的な目元になる
二つ目のメリットは、彫りが深く、メリハリのある立体的な目元を演出できることです。一般的に、欧米人に比べて骨格の凹凸が少ないとされる日本人の顔立ちは、のっぺりとした平坦な印象を与えがちです。アイシャドウを使ってまぶたに陰影を加えることは、この平面的な印象を打ち破り、洗練されたシャープな顔立ちを作る上で非常に効果的です。
具体的に、アイシャドウがどのように立体感を生み出すのか見ていきましょう。まず、眉下の骨の部分(眉弓骨)や、まぶたの中央に、肌より少し明るいハイライトカラーを乗せます。光が当たる高い部分をさらに明るくすることで、その部分が前へ出て見え、立体感の「高さ」を演出します。
次に、アイホールのくぼみに沿って、肌なじみの良いミディアムカラー(中間色)のブラウンを乗せます。これにより、くぼみがより深く見え、目元の彫りが強調されます。このテクニックは、鼻筋の付け根(ノーズシャドウ)に軽くつなげるように入れると、鼻を高く見せる効果も期待でき、顔の中心に立体感が生まれます。
そして、前述の通り、目のキワに締め色を入れることで、目のフレームが引き締まります。この「明るい部分」「中間の影」「暗い影」の3つのグラデーションが、まぶたの上に自然な凹凸を再現し、まるで元から彫りが深いかのような錯覚を生み出すのです。
このような立体感のある目元は、知的でクールな印象や、落ち着いた大人の色気を醸し出します。ビジネスシーンで信頼感を高めたい時や、ファッションをよりスタイリッシュに見せたい時など、様々な場面であなたの魅力を後押ししてくれるでしょう。ファンデーションだけで仕上げた肌よりも、アイシャドウで目元に一手間加えるだけで、顔全体の完成度が格段に向上するのです。
③ 目元のクマやくすみを自然にカバーできる
三つ目のメリットは、目元のクマやくすみを自然にカバーし、健康的で若々しい印象を与えられる点です。睡眠不足やPC・スマートフォンの長時間利用による眼精疲労、血行不良などが原因で現れる目の下のクマや、まぶた全体のくすみは、「疲れている」「不健康そう」「老けて見える」といったネガティブな印象に直結します。
これらの悩みを解決するためにコンシーラーを使う男性も増えていますが、コンシーラーは油分が多く、厚塗りになるとヨレやすく、かえってシワが目立ってしまうこともあります。また、色選びが難しく、塗った部分だけが白浮きして不自然に見えるリスクも伴います。
そこで活躍するのがアイシャドウです。特に、オレンジ系やピーチ系、あるいは黄みがかったベージュ系のアイシャドウには、クマやくすみを効果的にカモフラージュする力があります。これは「補色」の原理を利用したものです。
例えば、青黒く見える「青グマ」には、その補色であるオレンジ系の色を重ねることで、色が中和されて目立たなくなります。茶色く見える色素沈着タイプの「茶グマ」には、イエロー系のベージュを乗せることで、色ムラが均一に整い、明るい印象になります。
アイシャドウの利点は、コンシーラーのように「隠す」のではなく、色と光の効果で「飛ばす」「打ち消す」というアプローチであるため、非常に自然な仕上がりになることです。パウダータイプであれば、コンシーラーよりも薄付きで、ヨレる心配も少ないでしょう。
具体的な使い方としては、アイシャドウパレットに入っている明るいベースカラーを、クマやくすみが気になる部分に指で優しくトントンと乗せるだけです。まぶた全体の色ムラが整うことで、その後に乗せるアイシャドウの発色も良くなるという副次的な効果もあります。
アイシャドウを単なる「飾り」ではなく「補正ツール」として捉えることで、疲れを見せず、常に清潔感のあるフレッシュな表情をキープできます。これは、人と接する機会の多いビジネスパーソンにとって、非常に大きなアドバンテージとなるでしょう。
初心者必見!メンズアイシャドウの選び方
アイシャドウのメリットを理解したところで、次はいよいよアイテム選びです。しかし、売り場に行くと無数のブランド、色、質感のアイシャドウが並んでおり、初心者は何から手をつければ良いか途方に暮れてしまうかもしれません。ここでは、メンズメイク初心者が失敗しないためのアイシャドウの選び方を、「色」「質感」「形状」「価格」という4つの視点から、わかりやすく解説します。
選び方の軸 | ポイント | おすすめのタイプ |
---|---|---|
色 | バレにくさ、与えたい印象 | ナチュラルならブラウン・ベージュ系。おしゃれ感なら暖色系。 |
質感 | 仕上がりの自然さ、華やかさ | 初心者・バレにくさ重視ならマット。華やかさが欲しいならラメ・パール。 |
形状 | 使いやすさ、持ち運びやすさ | 扱いやすさならパウダー。密着度ならクリーム・リキッド。手軽さならスティック。 |
価格 | 試してみやすさ、品質 | まずはプチプラから試すのがおすすめ。 |
色で選ぶ
アイシャドウ選びで最も重要かつ楽しいのが「色選び」です。メンズメイクの基本は「バレないこと」「自然であること」。これを大前提に、どのような色を選べば良いか見ていきましょう。
ナチュラルに見せるならブラウン・ベージュ系
メンズアイシャドウ初心者が最初に手に取るべき色は、間違いなくブラウンかベージュ系です。これらの色は、多くの人の肌の色(スキンカラー)に非常に近いため、まぶたに乗せても悪目立ちすることがなく、まるで元からある影のように自然になじみます。
ブラウンは、彫りを深く見せたり、目を引き締めたりする陰影作りに最適な色です。一口にブラウンと言っても、黄みがかったウォームブラウン、赤みのあるレッドブラウン、グレイッシュなアッシュブラウンなど、様々な色調があります。自分の肌の色や髪の色に近いブラウンを選ぶと、より統一感が出て自然に見えます。
ベージュは、まぶたのくすみを払い、明るく整えるのに役立ちます。ベースカラーとしてアイホール全体に仕込むことで、目元がパッと明るくなり、清潔感がアップします。
ブラウンやベージュ系のアイシャドウは、ビジネスシーンからプライベートまで、どんな場面でも使える万能さが魅力です。4色パレットなどで、明るいベージュから濃いブラウンまでがセットになっているものを選べば、自然なグラデーションが簡単に作れるため、初心者には特におすすめです。まずはこの系統の色から始めて、アイシャドウを塗るという行為自体に慣れるのが成功への近道です。
おしゃれ感を演出するなら暖色系
ブラウンやベージュに慣れてきて、もう少しメイクを楽しみたい、ファッションに合わせて目元の印象を変えたいというステップアップを目指すなら、オレンジ、テラコッタ、ピンクブラウンといった暖色系に挑戦してみるのも良いでしょう。
これらの暖色系カラーは、肌に血色感を与え、生き生きとした健康的な印象を作ります。特にオレンジやテラコッタは、日本人の黄みがかった肌色との相性が抜群で、取り入れるだけで一気におしゃれで垢抜けた雰囲気になります。
ただし、ブラウン系に比べると色の主張が強くなるため、塗り方には少し工夫が必要です。まずは締め色として目のキワに細く入れたり、目尻にだけポイントでのせたりするのがおすすめです。いきなりまぶた全体に広げると、腫れぼったく見えたり、メイク感が強く出すぎたりする可能性があるため、少量から試してみましょう。
休日のカジュアルな服装や、少し個性的なファッションと合わせると、全体のコーディネートに統一感が生まれます。暖色系アイシャドウは、あなたの個性を表現するための新しいツールとなってくれるはずです。
質感で選ぶ
アイシャドウは、同じ色でも「質感」によって仕上がりの印象が大きく異なります。質感は主に、ツヤのない「マット」と、キラキラと輝く「ラメ・パール」の2種類に大別されます。
初心者でもバレにくいマットタイプ
とにかくバレずに自然な陰影だけを仕込みたい、という方に最もおすすめなのがマットタイプのアイシャドウです。マットタイプは、光を反射する成分(ラメやパール)を含んでいないため、ツヤが一切出ません。
その仕上がりは、まるで肌そのものが色づいているかのように見え、非常にナチュラルです。光沢がない分、影としての効果が最大限に発揮されるため、彫りを深く見せたり、目を引き締めたりするシェーディング効果はマットタイプが最も高いと言えます。
ビジネスシーンなど、清潔感や誠実さが求められる場面では、マットなブラウンアイシャドウが最適です。悪目立ちする要素が一切ないため、安心して使うことができます。アイシャドウパレットを選ぶ際も、マットカラーがメインで構成されているものを選ぶと失敗がありません。
華やかな印象になるラメ・パールタイプ
一方、ラメやパールが含まれたアイシャドウは、光を受けてキラキラと輝き、目元に華やかさや明るさをプラスします。
パールは、粒子が非常に細かく、上品で濡れたようなツヤ感を演出します。まぶたの中央に少し乗せるだけで、立体感が生まれ、目が潤んでいるかのようなみずみずしい印象になります。
ラメは、パールよりも粒子が大きく、よりキラキラとした輝きが強いのが特徴です。光の角度によって多彩な輝きを放ち、パーティーシーンやライブなど、特別な場面で存在感を発揮します。
ただし、メンズメイクにおいてラメやパールの使用は慎重になる必要があります。広範囲に塗ったり、粒子の大きいものを選んだりすると、一気に「メイクしてます感」が強くなり、不自然に見えてしまう可能性があります。
もし使うのであれば、ごく少量を黒目の上やまぶたの中央に指でポンと置くように乗せる、あるいは涙袋に細く入れるなど、ポイント使いに留めるのが鉄則です。輝きが加わることで、目元が明るく見え、若々しい印象になるというメリットもあるため、TPOをわきまえて上手に取り入れましょう。
形状で選ぶ
アイシャドウには、粉状の「パウダー」、しっとりした「クリーム・リキッド」、固形の「スティック」など、様々な形状があります。それぞれの特徴を理解し、自分のライフスタイルや使いやすさに合わせて選びましょう。
扱いやすいパウダータイプ
最も一般的で、商品の種類も豊富なのがパウダータイプのアイシャドウです。粉を固めて作られており、単色のものから、複数の色が一つになったパレットタイプまで様々です。
最大のメリットは、濃淡の調整がしやすいこと。ブラシやチップ、指など、使うツールによって発色の仕方が変わるため、ふんわりナチュラルにも、しっかり発色させることも自由自在です。特に、複数の色がセットになったパレットは、明るい色から暗い色までが配色されており、順番に重ねるだけで簡単に美しいグラデーションが作れるように設計されているため、初心者には最適です。
デメリットとしては、粉飛びしやすい製品があることや、クリームタイプに比べると密着度がやや劣る点が挙げられます。
密着度が高いクリーム・リキッドタイプ
クリームタイプやリキッドタイプは、その名の通り、しっとりとしたテクスチャーが特徴です。まぶたへの密着度が高く、粉飛びの心配がないため、ヨレにくく、つけたての発色が長時間持続します。
指で直接塗ることが多く、体温でとろけてなめらかに伸び広がるため、直感的に使うことができます。パウダータイプの下地として使うと、上から重ねるアイシャドウの発色と持ちを良くする効果もあります。濡れたようなツヤ(ウェット感)が出る製品が多く、セクシーでモードな印象に仕上がります。
ただし、乾くのが早いため、手早くぼかさないとムラになりやすいという側面もあります。初心者の方は、まずパウダータイプに慣れてから挑戦するのが良いかもしれません。
手軽に使えるスティックタイプ
スティックタイプのアイシャドウは、リップクリームのように繰り出して使う固形タイプです。まぶたに直接ラインを引くように塗り、指でぼかすだけでアイメイクが完成する手軽さが最大の魅力です。
ペンシル型でポーチの中でもかさばらず、持ち運びに非常に便利。外出先でのメイク直しも簡単です。狙ったところにピンポイントで色を乗せられるため、目のキワの締め色や、涙袋メイクに使うのに特に適しています。密着度も高く、ヨレにくい製品が多いのも嬉しいポイントです。
価格で選ぶ
まずは試しやすいプチプラから
アイシャドウの価格は、数百円で購入できる「プチプラ(プチプライス)」から、数千円する「デパコス(デパートコスメ)」まで幅広く存在します。
メンズアイシャドウ初心者は、まず1,000円前後で購入できるプチプラから試してみることを強くおすすめします。最近のプチプラは品質が非常に高く、デパコスに引けを取らない発色や粉質のものも少なくありません。
プチプラの最大のメリットは、その手頃な価格から、気軽に様々な色や質感を試せることです。「自分にどんな色が似合うかわからない」「アイシャドウを続けるかわからない」という段階で高価なものを買うのはハードルが高いですが、プチプラなら失敗を恐れずに挑戦できます。ドラッグストアやバラエティショップで手軽に購入できるのも魅力です。まずはプチプラの定番であるブラウン系のパレットを一つ手に入れて、アイシャドウの基本をマスターすることから始めましょう。
バレない!メンズアイシャドウの基本的な塗り方3ステップ
アイシャドウを手に入れたら、次はいよいよ実践です。ここでは、誰でも簡単にできて、かつ「メイクしている感」が出ない、自然な仕上がりになる基本的な塗り方を3つのステップに分けて徹底解説します。メンズアイシャドウ成功の鍵は、「頑張りすぎないこと」と「丁寧なぼかし」にあります。この2点を意識しながら、一つ一つの工程を確認していきましょう。
① アイシャドウを指やブラシにとり量を調整する
メイクで最もやりがちな失敗が「厚塗り」です。特に初心者は、発色させようと焦って一度にたくさんの量をまぶたに乗せてしまいがちです。しかし、これがムラになったり、ヨレたり、不自然に見えたりする最大の原因となります。
アイシャドウを塗る前の最初のステップとして、必ず「量の調整」を行ってください。
まず、アイシャドウを指、またはブラシ/チップに取ります。この時、表面を優しくなでるようにして、ごく少量を付着させるのがポイントです。ゴシゴシとこするように取ると、必要以上の粉がついてしまいます。
次に、アイシャドウを取った指やブラシを、一度手の甲やティッシュの上でトントンと軽く叩きます。これは「ワンクッション」と呼ばれる非常に重要な工程です。この一手間を加えることで、余分な粉が落ち、まぶたに乗せる量を最適化できます。また、手の甲で一度色味を確認することで、実際に肌に乗せた時の発色を把握でき、塗りすぎを防ぐことができます。
指で塗るか、ブラシ/チップで塗るかも仕上がりを左右します。
- 指:体温でアイシャドウが溶け、まぶたにしっかり密着します。発色が良くなり、ツヤ感も出やすいのが特徴です。ピンポイントで色を乗せたい時や、クリームタイプのアイシャドウを塗るのに適しています。
- ブラシ/チップ:ふんわりと薄く、均一に色を乗せることができます。自然なグラデーションを作るのに最適です。付属のチップも手軽ですが、別途アイシャドウブラシを用意すると、より簡単に綺麗なぼかしが実現できます。
初心者は、まず扱いやすい指で始めてみて、慣れてきたらツールを導入するのがおすすめです。
② ベースカラーをまぶた全体にのせる
量の調整ができたら、いよいよまぶたに色を乗せていきます。4色パレットなどの場合、最も薄い(明るい)色がベースカラーです。この色は、まぶたのくすみを飛ばして明るく見せ、次に乗せる色の発色を良くするという下地のような役割を果たします。
塗る範囲は「アイホール」です。アイホールとは、眼球のくぼみにあたる部分のことで、眉下の骨と眼球の間のくぼんだエリアを指します。どこまで塗れば良いかわからない場合は、指で軽くまぶたに触れてみてください。骨のくぼみが感じられる、その内側全体がアイホールです。
ベースカラーを指、または大きめのブラシに取り、アイホール全体に優しく広げます。この時、一方向にスーッと伸ばすのではなく、中心から左右にワイパーのように動かしたり、優しくポンポンと叩き込んだりすると、ムラなく均一に塗ることができます。
ここでのポイントは、あくまで薄く、ヴェールをかけるようなイメージで塗ることです。色がはっきり見える必要はありません。「なんとなくまぶたが明るくなったかな?」と感じる程度で十分です。この一手間が、目元に清潔感と自然な立体感の土台を作ります。
③ 締め色を目のキワに重ねてぼかす
最後のステップは、最も濃い色である「締め色」を使って、目の輪郭を引き締めます。この工程が、目力をアップさせる上で最も重要です。
締め色を細いチップやブラシ、または小指の先にごく少量取ります。ここでも、一度手の甲で量を調整することを忘れないでください。
塗る範囲は「目のキワ」、つまりまつ毛の生え際に沿った部分です。アイラインを引くようなイメージで、まぶたのキワに細く色を乗せていきます。目を開けた時に、ほんのり色が見えるか見えないか、というくらいの幅が理想です。二重の方であれば二重幅の半分程度、一重・奥二重の方は目を開けた状態で2mm程度見えるくらいが目安です。
色を乗せたら、最も重要な工程である「ぼかし」を行います。アイシャドウが乗っていない清潔な指やブラシを使って、乗せた締め色の境目を優しくなぞり、先に塗ったベースカラーとの境界線を曖昧にします。
この「ブレンディング」と呼ばれる作業を丁寧に行うことで、色が肌に溶け込むように馴染み、いかにも「塗りました」という線をなくすことができます。この一手間を惜しまないことが、バレない自然なメンズアイシャドウを完成させる最大の秘訣です。
以上3ステップで、基本的なアイシャドウは完成です。「少量ずつ」「薄く重ねる」「しっかりぼかす」。この3つの原則を守れば、初心者でもプロが仕上げたような、自然で洗練された目元を作ることができます。
【目の形別】アイシャドウの塗り方応用テクニック
基本的な塗り方をマスターしたら、次は自分の目の形に合わせた応用テクニックに挑戦してみましょう。人それぞれ目の形が違うように、アイシャドウの最適な塗り方も異なります。ここでは、代表的な目の形である「一重」「奥二重」「二重」それぞれに合わせた、より効果的なアイシャドウの塗り方をご紹介します。自分の目の特徴を活かすことで、コンプレックスを魅力に変えることができます。
目の形 | 特徴・悩み | 塗り方のポイント |
---|---|---|
一重 | ・まぶたに折り目がなく、すっきりしている ・腫れぼったく見えがち ・塗った色が隠れやすい |
縦のグラデーションを意識。 目を開けた時に見える範囲まで色を乗せる。 締め色は太めに。 |
奥二重 | ・二重のラインがまぶたの奥に隠れている ・目頭側は一重に見え、目尻側で二重が見える ・アイシャドウがヨレやすい |
目尻側を強調する。 「く」の字ラインで目を大きく見せる。 ベースをしっかり塗ってヨレを防ぐ。 |
二重 | ・まぶたの折り目がはっきりしている ・アイシャドウが映えやすい ・派手になりやすいこともある |
横のグラデーションが基本。 二重幅を活かし、締め色は細く。 質感で遊びやすい。 |
一重さんの場合
まぶたに折り目がなく、すっきりとしたシャープな印象が魅力の一重さん。その一方で、「目が腫れぼったく見えやすい」「塗ったアイシャドウがまぶたに隠れて見えない」といった悩みを持つ方も多いです。
一重さんのアイシャドウメイクで最も重要なポイントは、「目を開けた時に、色がどこまで見えるか」を意識することです。
基本的な塗り方では締め色を目のキワに細く入れますが、一重さんの場合はそれだと目を開けた瞬間に完全に隠れてしまいます。そこで、目を開けた状態で、目のキワから2〜3mm程度上まで見える範囲を目安に、締め色を少し太めに入れます。これが一重さんの目のフレームとなり、目力をぐっと高めてくれます。
グラデーションの作り方も、二重さんのように横割り(目のキワが濃く、眉下にいくほど薄くなる)にするのではなく、「縦のグラデーション」を意識すると効果的です。例えば、目頭側は明るめ、黒目の上が中間色、目尻側が締め色、といったように縦に色を配置することで、目の横幅が自然に強調されます。
また、腫れぼったさを回避するためには、質感選びも重要です。光を反射して膨張して見えるパールやラメが強いものは避け、引き締め効果の高いマットな質感のアイシャドウを選ぶのがおすすめです。特に、暖色系よりもブラウンやグレー系の寒色寄りの方が、よりすっきりとしたクールな印象に仕上がります。
奥二重さんの場合
二重のラインがまぶたの奥に隠れており、目尻側でかろうじて見えるのが奥二重さんです。正面から見ると一重に見えることも多く、アイシャドウが二重の溝にたまってヨレやすいという悩みがあります。
奥二重さんの魅力を最大限に引き出す塗り方のポイントは、「唯一見える二重幅である目尻側を活かす」ことです。
まず、ベースカラーをアイホール全体に塗る際は、ヨレ防止のために薄く均一に塗ることを徹底しましょう。アイシャドウベースを使うのも非常に効果的です。
次に中間色を乗せますが、目を開けた時に隠れてしまう目頭〜中央部分は控えめにし、二重幅が見える目尻側を少し濃いめに入れます。これにより、目の横幅が強調され、切れ長で涼しげな印象になります。
締め色は、目尻側の3分の1程度に「く」の字を描くように入れるのがおすすめです。上まぶたのキワ(目尻側)と、下まぶたのキワ(目尻側)をつなげるように色を乗せることで、目のフレームが外側に広がり、目が一回り大きく見えます。この時、下まぶたに濃く入れすぎるとクマのように見えてしまうため、上まぶたの残りを軽く乗せる程度にしましょう。
ラメやパールを使いたい場合も、まぶた全体ではなく、黒目の上や涙袋など、まぶたの重なりが少ない部分にポイントでのせると、ヨレにくく華やかさをプラスできます。
二重さんの場合
まぶたの折り目がくっきりとしており、アイメイクが最も映えやすいのが二重さんです。その一方で、少しメイクをしただけで派手に見えすぎたり、彫りの深さが強調されすぎてキツい印象になったりすることもあります。
二重さんのアイシャドウメイクのポイントは、「せっかくの二重幅を塗りつぶさず、活かすこと」です。
基本の横割りグラデーションが最も美しく決まります。ベースカラーをアイホールに、中間色を二重幅より少し広めに、そして締め色は二重幅を塗りつぶさないように、目のキワに細く入れるだけで十分です。締め色を太く入れすぎると、かえって目が小さく見えたり、ケバケバしい印象になったりするので注意しましょう。
二重さんは、マット、パール、ラメなど、どんな質感のアイシャドウも使いこなしやすいのが強みです。ビジネスシーンではマットなブラウンで知的に、プライベートではパール感のあるベージュで優しく、特別な日にはラメを少し足して華やかに、といったように、TPOに合わせて質感で遊ぶことができます。
色の組み合わせを楽しむ余裕もあるため、ブラウン系のパレットだけでなく、オレンジ系やピンク系のパレットにも挑戦しやすいでしょう。ただし、メンズメイクの基本である「ナチュラルさ」を忘れないように、あくまで肌なじみの良い色を選び、色の境目をしっかりぼかすことを心がけましょう。
アイシャドウメイクで失敗しないための注意点
メンズアイシャドウは、正しく使えば大きなメリットがありますが、一歩間違えると「メイクがバレバレ」「不潔に見える」といった逆効果になりかねません。ここでは、初心者が陥りがちな失敗を防ぎ、常にクリーンで洗練された印象をキープするための2つの重要な注意点を解説します。
派手な色を選ばない
アイシャドウ売り場には、ブルー、グリーン、パープル、ビビッドなレッドなど、カラフルで魅力的な色がたくさん並んでいます。しかし、メンズメイク初心者がこれらの派手な色に手を出すのは絶対に避けるべきです。
派手な色は、アイメイク上級者がファッションや全体の雰囲気と高度に調和させて初めておしゃれに見える、非常に難易度の高いアイテムです。初心者が安易に使うと、以下のようなネガティブな結果を招きがちです。
- 悪目立ちする:TPOにそぐわず、周囲から浮いて見えてしまいます。特にビジネスシーンでは、不真面目な印象や威圧感を与えかねません。
- 清潔感を損なう:肌の色からかけ離れた色は、肌なじみが悪く、時間が経つとくすんで見えたり、汚く見えたりすることがあります。
- メイクに不慣れな印象を与える:色を使いこなせていないと、「メイクを頑張りすぎている」「自分に似合うものをわかっていない」という稚拙な印象につながります。
メンズアイシャドウの基本は、あくまで「補正」と「陰影作り」です。色を主張するのではなく、自分の肌色に溶け込むような色を選ぶことが鉄則です。前述の通り、まずは失敗のしようがないブラウン、ベージュ系から始めましょう。これらの色は、肌の色や瞳の色、髪の色とリンクしているため、違和感なく自然な陰影を演出できます。
もし色で遊びたい場合でも、まずはオレンジブラウンやピンクブラウンなど、ブラウンをベースとした暖色系に留めておくのが賢明です。そして、その場合もまぶた全体に塗るのではなく、目尻にポイントでのせるなど、控えめな使い方を心がけましょう。
一度に厚塗りしない
「発色させたい」という気持ちが先行し、一度にべったりとアイシャドウを塗ってしまうのも、初心者にありがちな失敗です。アイシャドウの厚塗りは、百害あって一利なしと言っても過言ではありません。
厚塗りには、以下のような多くのデメリットがあります。
- ヨレや崩れの原因になる:まぶたは皮脂の分泌が多く、瞬きでよく動く部分です。アイシャドウを厚く塗ると、その重みと油分でまぶたの溝(二重のラインなど)にたまりやすくなり、時間が経つと汚い線になってしまいます。
- ムラになりやすい:一度に多くの量を乗せると、均一に伸ばすのが非常に難しくなります。色の濃い部分と薄い部分がまだらになり、不自然な仕上がりになります。
- 「メイク感」が強く出る:粉っぽさが目立ち、「いかにも塗っています」という不自然な見た目になります。メンズメイクで最も避けたい「バレる」状態を自ら作ってしまうことになります。
このような失敗を避けるための鉄則は、「少量ずつ、薄く重ねる(レイヤリング)」ことです。
基本的な塗り方の章でも述べたように、指やブラシにアイシャドウを取ったら、必ず手の甲でワンクッション置いて量を調整します。そして、まぶたには本当に薄いヴェールをかけるような感覚で色を乗せていきます。
もし「色が薄いな」と感じた場合は、もう一度同じ工程を繰り返して、少しずつ色を重ねていきます。この方法なら、色の濃さを繊細にコントロールでき、失敗するリスクを大幅に減らすことができます。時間は少しかかるかもしれませんが、この丁寧なプロセスが、最終的な仕上がりの美しさと持ちの良さに直結します。
特に、ファンデーションやBBクリームなどのベースメイクをしている場合、肌の上の油分でアイシャドウがヨレやすくなるため、より一層「薄く重ねる」意識が重要になります。急がば回れ。美しい仕上がりは、丁寧な下準備と繊細なタッチから生まれることを覚えておきましょう。
初心者におすすめ!メンズアイシャドウの人気ブランド10選
「どのブランドのアイシャドウを買えばいいの?」という疑問は、初心者が必ず直面する壁です。ここでは、ドラッグストアで手軽に買えるプチプラから、こだわりのメンズコスメブランド、品質に定評のあるデパコスまで、初心者におすすめの人気ブランドを10個厳選してご紹介します。各ブランドの特徴や代表的な商品を参考に、あなたにぴったりのファーストアイシャドウを見つけてください。
ブランド名 | 価格帯 | 特徴 | 代表的な商品例 |
---|---|---|---|
KATE | プチプラ | シャープでクールな印象。トレンド感と機能性を両立。 | デザイニングブラウンアイズ |
CANMAKE | プチプラ | “かわいい”を追求。トレンドカラーが豊富で安い。 | パーフェクトマルチアイズ |
CEZANNE | プチプラ | 高品質・低価格。シンプルで肌に優しい処方。 | ベージュトーンアイシャドウ |
excel | プチプラ | 上品なパール感と粉質の良さ。大人の日常使いに。 | スキニーリッチシャドウ |
無印良品 | プチプラ | シンプル&ナチュラル。肌に優しい成分。 | アイカラー クリームタイプ |
LUNASOL | デパコス | “浄化メイク”。圧倒的な粉質と上品な発色。 | アイカラーレーション |
FIVEISM × THREE | メンズコスメ | スタイリッシュでモード。ジェンダーレスな発想。 | アイシェードトランス |
GATSBY THE DESIGNER | メンズコスメ | メンズ特化。バレにくさを追求した設計。 | デュアルアイカラー |
rom&nd | 韓国コスメ | 絶妙なニュアンスカラー。マットとグリッターの組み合わせ。 | ベターザンパレット |
aZTK | プチプラ | 驚異の低価格。トレンドカラーを手軽に試せる。 | 4色アイシャドウパレット |
① KATE(ケイト)
「no more rules.」をスローガンに掲げるKATEは、クールでエッジの効いたメイクアップを提案するブランドです。ブラウン系のカラーバリエーションが非常に豊富で、自分の肌色やなりたい印象に合わせて選べるのが魅力。特に「デザイニングブラウンアイズ」は、骨格を際立たせる陰影カラーがセットになっており、自然な彫り深アイを簡単に作れると人気です。(参照:KATE公式サイト)
② CANMAKE(キャンメイク)
「かわいく、たのしく、輝きたい!」がコンセプトのCANMAKEは、トレンドをいち早く取り入れた豊富なカラー展開と、驚きの低価格が魅力のプチプラの王様的存在です。「パーフェクトマルチアイズ」は、アイシャドウ、アイブロウ、アイライナーとして使えるマットな5色パレットで、これ一つでアイメイクが完成するため、メンズメイク初心者にも非常におすすめです。(参照:CANMAKE TOKYO公式サイト)
③ CEZANNE(セザンヌ)
「ずっと安心、ずっとキレイ」を掲げ、高品質・低価格を貫くCEZANNE。肌への優しさを考えた処方の製品が多く、安心して使えるのが嬉しいポイントです。「ベージュトーンアイシャドウ」は、肌なじみの良いベージュ系のグラデーションで、ナチュラルながらも上品なツヤ感を演出できます。オフィスでも浮かない、清潔感のある目元作りに最適です。(参照:CEZANNE公式サイト)
④ excel(エクセル)
トレンドを取り入れつつも、日常に溶け込む上質なメイクを提案するexcel。特にアイシャドウの粉質には定評があり、「デパコス級」と評されることも少なくありません。代表作「スキニーリッチシャドウ」は、重ねるだけでプロ級のグラデーションが完成すると絶大な人気を誇ります。微細なパールが上品なツヤを生み出し、リッチな目元を演出します。(参照:excel公式サイト)
⑤ 無印良品
シンプルなデザインと、肌への優しさを考慮した製品が人気の無印良品。コスメもその哲学に基づいています。「アイカラー クリームタイプ」は、単色で手軽に使え、なめらかな質感でまぶたにフィットします。特にオレンジブラウンなどの肌なじみの良いカラーは、自然な血色感とツヤを与え、健康的な印象を作るのに役立ちます。(参照:無印良品公式サイト)
⑥ LUNASOL(ルナソル)
「デパコス」デビューにおすすめなのがLUNASOL。「浄化メイク」をコンセプトに、心まで洗われるようなメイク体験を提案しています。圧倒的な粉質の良さと、計算されつくした色の組み合わせが魅力の「アイカラーレーション」は、一度使うと虜になる名品。決して安くはありませんが、自分への投資として、本質的な美しさを求める方におすすめです。(参照:LUNASOL公式サイト)
⑦ FIVEISM × THREE(ファイブイズム バイ スリー)
THREEから生まれた、業界でも先駆け的なメンズ総合コスメブランド。ジェンダーレスな視点で、個性を表現するためのツールとしてのメイクを提案しています。スティックタイプの「アイシェードトランス」は、サッと引いて指でぼかすだけで、モードで洗練された目元が完成します。デザインもスタイリッシュで、持っているだけで気分が上がります。(参照:FIVEISM × THREE公式サイト)
⑧ GATSBY THE DESIGNER(ギャツビー ザ デザイナー)
男性用化粧品で有名なGATSBYから誕生した、トップクリエイターと共同開発するメンズコスメライン。「デュアルアイカラー」は、メンズメイクに特化し、「バレない」ことを徹底的に追求して設計されています。肌になじむ絶妙な2色がセットになっており、テクニックレスで自然な陰影が作れるため、初心者には心強い味方です。(参照:GATSBY THE DESIGNER公式サイト)
⑨ rom&nd(ロムアンド)
韓国コスメブランドの中でも、特に絶妙な色出しで人気のrom&nd。マットとグリッターの質感がバランス良くセットされた「ベターザンパレット」シリーズは、捨て色がなく、様々な組み合わせを楽しめます。特に、くすみ系のニュアンスカラーは、ひと塗りで垢抜けた印象になれると評判です。おしゃれ感を演出したい方におすすめ。(参照:rom&nd公式サイト)
⑩ aZTK(エーゼットティーケー)
ドン・キホーテなどで展開され、その驚異的な価格で話題のaZTK(エーゼットティーケー)。4色入った「4色アイシャドウパレット」が数百円という衝撃の価格で、気軽にアイシャドウを試してみたいという方にぴったりです。トレンドを抑えたカラー展開も魅力で、価格以上のクオリティと評判です。(参照:株式会社AXIS ONE公式サイト)
もっと印象的に!アイシャドウと組み合わせたいメンズアイメイク
アイシャドウをマスターするだけでも、目元の印象は大きく変わります。しかし、他のアイメイクアイテムを組み合わせることで、さらに完成度を高め、トータルで洗練された表情を演出することが可能です。ここでは、アイシャドウと相性抜群の4つのアイメイクをご紹介します。すべてを一度に行う必要はありません。まずは一つ、気になったものから取り入れてみましょう。
アイブロウ
眉は「顔の額縁」と言われるほど、顔全体の印象を決定づける重要なパーツです。どんなに目元のメイクが完璧でも、眉がボサボサでは台無しになってしまいます。逆に、眉を整えるだけで、清潔感が格段にアップし、知的で凛々しい印象になります。
アイシャドウで目元のメイクをするなら、ぜひアイブロウメイクもセットで行うことをおすすめします。基本的なケアとして、眉用のコームで毛流れを整え、ハサミで長すぎる毛をカットするだけでも印象は大きく変わります。
さらに、アイブロウペンシルやパウダーで、眉の薄い部分や欠けている部分を埋めて形を整えましょう。この時、アイシャドウで使ったブラウンの色味と、アイブロウの色味を合わせると、顔全体に統一感が生まれ、より自然で洗練された仕上がりになります。アイシャドウパレットの中には、眉にも使えるマットなブラウンが入っているものも多く、それを使えば簡単に色を統一できます。
アイライン
アイラインは、目のフレームをよりくっきりと強調し、目力を最大限に引き出すためのアイテムです。まつ毛の生え際に沿ってラインを引くことで、目の輪郭が際立ち、シャープで印象的な目元を作ります。
しかし、リキッドアイライナーでくっきりとした線を引くのは、メンズメイクではやや主張が強すぎる場合があります。初心者におすすめなのは、ペンシルタイプのアイライナーで、まつ毛とまつ毛の隙間を点で埋めていく「インライン」というテクニックです。
鏡を下に持ち、顎を少し上げながらまぶたを軽く持ち上げると、まつ毛の生え際が見やすくなります。そこにペンシルでチョンチョンと点を描くように色を乗せていくだけです。これなら、いかにも「引きました」という線にならず、まるで元からまつ毛が密集しているかのように見え、自然に目力をアップさせることができます。色は、ブラックよりも柔らかな印象になるダークブラウンがおすすめです。
マスカラ
マスカラは、まつ毛を長く、濃く、またはカールさせることで、目の縦幅を強調し、華やかな印象を与えるアイテムです。女性のメイクのイメージが強いかもしれませんが、メンズメイクでも使い方次第で非常に効果的です。
いきなり黒のマスカラに抵抗がある方は、まつ毛にツヤと束感を出すだけの「クリアマスカラ(透明マスカラ)」から始めてみましょう。これなら色がつくことなく、濡れたようなツヤを与えることで、清潔感とさりげない色気を演出できます。
もう少し目力をプラスしたい場合は、黒やダークブラウンのマスカラを。ビューラーで軽くカールさせてから塗ると、目がぱっちりと開いて見えます。ダマにならないように、ブラシをティッシュで軽く拭いてから、根元から毛先に向かってスッと一度塗りするだけで十分です。やりすぎると不自然になるため、あくまで「自まつ毛が元から濃い」ように見せることがポイントです。
涙袋メイク
涙袋は、目の下にあるぷっくりとした膨らみのことで、ここを強調すると目が大きく見えるだけでなく、優しく若々しい、親しみやすい印象になります。K-POPアイドルの影響もあり、男女問わず人気のメイクテクニックです。
やり方は簡単です。まず、ニコッと笑った時にぷっくりと膨らむ部分を確認します。その下に、アイブロウペンシルや、アイシャドウパレットの薄いブラウン(影色)を使って、ごく薄く影を一本描きます。そして、描いた線とまつ毛の生え際の間のぷっくりした部分に、明るいベージュやシャンパンカラーのパール入りアイシャドウ(光色)を乗せます。
この光と影のコントラストで、涙袋が立体的に見えます。スティックタイプのアイシャドウを使うと、狙った場所にピンポイントで乗せやすく、非常に手軽です。影を描く際は、濃すぎるとクマのように見えてしまうため、本当にうっすらと、描いたか描かないかわからない程度に留めるのが成功の秘訣です。
メンズアイシャドウに関するよくある質問
ここでは、メンズアイシャドウを始めるにあたって、多くの人が抱くであろう疑問にQ&A形式でお答えします。疑問点を解消して、安心してアイシャドウデビューを果たしましょう。
どこで買うのがおすすめ?
アイシャドウは様々な場所で購入できますが、それぞれにメリットがあります。自分のレベルや目的に合わせて選ぶのがおすすめです。
- ドラッグストア:KATE、CANMAKE、CEZANNEなどのプチプラブランドが豊富に揃っています。テスター(試供品)が置いてあることが多く、実際に手の甲などで色味や質感を試せるのが最大のメリットです。価格も手頃なので、初心者が最初の一個を買う場所として最適です。
- バラエティショップ(ロフト、プラザなど):ドラッグストアの定番ブランドに加え、excelやrom&ndなどのトレンド感度の高いブランドや韓国コスメも多く取り扱っています。最新のアイテムや、少し個性的な商品を探したい場合に覗いてみると良いでしょう。
- デパートのコスメカウンター:LUNASOLなどのデパコスブランドが購入できます。価格は高めですが、専門知識を持ったBA(ビューティーアドバイザー)に相談できるのが最大の利点です。「自分に似合う色がわからない」「塗り方を直接教えてほしい」といった場合に、丁寧にカウンセリングしてくれます。特別な一個を探したい時におすすめです。
- メンズコスメブランドのカウンターや公式サイト:FIVEISM × THREEやGATSBY THE DESIGNERなど、男性向けに特化した製品を探すならこちらです。周囲を気にせず、じっくりと製品を選ぶことができます。
- オンラインストア:公式サイトや総合通販サイト(Amazon、楽天市場など)では、場所や時間を問わずに購入できる手軽さが魅力です。多くの口コミやレビューを比較検討できるため、購入の際の参考になります。ただし、色味を直接確認できないというデメリットもあります。
塗るときは指とブラシどっちがいい?
これは非常に多い質問ですが、結論から言うと、どちらにもメリット・デメリットがあり、優劣はありません。理想は両方を使い分けることですが、初心者はまず指で始めるのがおすすめです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
指 | ・手軽で、特別な道具が不要 ・体温で密着度が高まる ・発色が良く、ツヤが出やすい |
・細かい調整が難しい ・広範囲に塗るとムラになりやすい ・爪が長いと塗りにくい |
ブラシ/チップ | ・ふんわりと均一に塗れる ・綺麗なグラデーションが作りやすい ・衛生的(定期的な洗浄が必要) |
・初期投資が必要 ・ある程度のテクニックが必要 ・付属のチップは質が低い場合がある |
初心者がまず指で始めるべき理由は、その手軽さと、発色の良さを実感しやすい点にあります。アイシャドウがまぶたにピタッと密着する感覚や、色が乗る感覚を掴むには、指が最も直感的です。ベースカラーを中指や薬指で、締め色を小指で、といったように使い分けると良いでしょう。
メイクに慣れてきて、「もっと綺麗なグラデーションを作りたい」「もっとふんわりナチュラルに乗せたい」と感じるようになったら、アイシャドウブラシを導入するタイミングです。数本セットになったものを購入すれば、様々な用途に対応できます。まずは指で基本をマスターし、ステップアップとしてブラシを取り入れる、という流れが最もスムーズです。
アイシャドウベースは使ったほうがいい?
アイシャドウベースは、必須アイテムではありませんが、使うとメイクの仕上がりと持ちが格段に向上する「縁の下の力持ち」です。
アイシャドウベースには、主に以下のような効果があります。
- 発色を良くする:まぶたのくすみや色ムラを補正し、アイシャドウ本来の色をクリアに発色させます。
- 持ちを良くする(ヨレを防ぐ):まぶたの皮脂を吸収し、アイシャドウの密着度を高めることで、時間が経ってもヨレたり二重の溝にたまったりするのを防ぎます。
- まぶたを乾燥から守る:保湿成分が配合されているものもあり、デリケートな目元の乾燥を防ぎます。
特に、皮脂が多くてメイクが崩れやすい方、奥二重でアイシャドウがヨレやすい方、まぶたのくすみが気になる方は、アイシャドウベースを使うことでその悩みが劇的に改善される可能性があります。
使い方は簡単で、アイシャドウを塗る前に、ごく少量を指に取り、アイホール全体に薄く伸ばすだけです。アイシャドウベース自体に色がついているタイプと、透明なタイプがあります。
もしあなたが、「アイシャドウを塗ってもいまいち綺麗に見えない」「夕方になると目元が汚く崩れてしまう」と感じているなら、ぜひ一度アイシャドウベースを試してみてください。その効果に驚くはずです。
アイシャドウをマスターして自信のある目元を手に入れよう
ここまで、メンズアイシャドウのメリットから選び方、具体的な塗り方、応用テクニック、おすすめのブランドまで、幅広く解説してきました。もはや、あなたにとってアイシャドウは「未知の難しいもの」ではなく、「自分をより良く見せるための身近なツール」の一つとして感じられるようになっているのではないでしょうか。
メンズメイクにおけるアイシャドウの真価は、色を飾り立てることではありません。光と影を巧みに操り、まるで何もしていないかのように自然な陰影を仕込むことで、清潔感を高め、彫りを深く見せ、生き生きとした表情を演出することにあります。それは、自信という内面的な輝きにもつながる、自己投資の一環と言えるでしょう。
この記事で繰り返しお伝えしてきた成功の秘訣を、最後にもう一度確認しておきましょう。
- 色選び:まずはバレないブラウン・ベージュ系から。
- 質感選び:ナチュラルさ重視ならマット一択。
- 塗り方の基本:「少量ずつ、薄く重ね、しっかりぼかす」を徹底する。
- 応用:自分の目の形(一重、奥二重、二重)に合った塗り方で魅力を最大化する。
- 失敗防止:派手な色と厚塗りは絶対に避ける。
最初は難しく感じるかもしれませんが、自転車の乗り方と同じで、何度か練習すれば必ず感覚が掴めてきます。完璧を目指す必要はありません。まずは、週末など時間のある時に、この記事を横に置きながら、鏡の前で試してみてください。
その第一歩として、ドラッグストアで1,000円前後のブラウン系のアイシャドウパレットを一つ手に入れてみませんか? 小さな一歩が、あなたの印象を、そして毎日を少しだけポジティブに変えてくれるはずです。
アイシャドウをマスターして、疲れを見せない洗練された目元と、揺るぎない自信を手に入れましょう。あなたの新しい魅力が開花するのを応援しています。