近年、男性の美容意識の高まりとともに、メンズメイクは特別なものではなく、身だしなみを整えるための一つの選択肢として広く受け入れられるようになりました。清潔感を高め、自信を持って人と接するために、メイクを取り入れる男性が増えています。
しかし、いざメンズメイクを始めようと思っても、「何から揃えればいいのか分からない」「どの順番で使えばいいの?」といった疑問にぶつかる方も多いのではないでしょうか。実は、メンズメイクで自然かつ美しい仕上がりを目指すには、アイテムを使う「順番」が非常に重要です。
この記事では、メンズメイク初心者の方向けに、メイクの基本となる正しい順番を徹底的に解説します。スキンケアの準備段階から、基本のベースメイク、さらに印象をアップさせる応用テクニック、そして肌悩み別のカバー方法まで、ステップバイステップで分かりやすくご紹介します。
また、バレないためのコツや、最初に揃えるべき基本アイテム、おすすめのブランド、そしてメイク後の必須ケアであるクレンジング方法まで網羅的に解説します。この記事を読めば、メンズメイクの正しい手順をマスターし、明日からでも自信を持ってメイクを始められるようになるでしょう。
目次
メンズメイクの基本!なぜ順番が大切なのか
メンズメイクを始めるにあたり、多くの人がアイテムの選び方や使い方に注目しがちですが、それと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが「メイクの順番」です。なぜ、メイクの順番はそれほど大切なのでしょうか。その理由は大きく分けて二つ、「仕上がりの美しさ」と「メイクの持続力」に直結するからです。正しい順番を守ることで、メイクの効果を最大限に引き出し、清潔感のある印象を長時間キープできます。
メイクの仕上がりを左右する
メイクアップは、各アイテムがそれぞれの役割を果たし、層を重ねていくことで完成します。正しい順番でメイクを行うことは、それぞれのアイテムが持つ効果を最大限に引き出し、美しい仕上がりを実現するための土台作りに他なりません。
例えば、建築で考えてみましょう。頑丈で美しい建物を建てるには、まず土地を整地し(スキンケア)、しっかりとした基礎を築き(化粧下地)、その上に壁や柱を組み立てていきます(ファンデーション)。この工程を無視して、いきなり壁を建てようとしても、不安定ですぐに崩れてしまいます。メイクもこれと全く同じ原理です。
- スキンケア(整地): まず、洗顔で肌の汚れや余分な皮脂を落とし、化粧水や乳液で保湿します。これは、メイクのノリを良くするための最も基本的な準備です。乾燥してカサカサの肌や、皮脂でベタつく肌の上からファンデーションを塗っても、きれいに密着せず、粉を吹いたり、すぐにヨレたりしてしまいます。潤いのある滑らかな肌は、メイクのノリと密着度を高めるキャンバスとなります。
- 化粧下地(基礎工事): スキンケアの次に化粧下地を使います。下地には、肌の表面の細かな凹凸(毛穴など)を滑らかにし、ファンデーションの密着を高める役割があります。また、皮脂の分泌をコントロールしてテカリを防いだり、肌の色ムラを補正したりする効果を持つものもあります。この下地というワンクッションを挟むことで、ファンデーションが均一に伸び、毛穴落ちやムラのない美しい仕上がりになります。
- ファンデーション・コンシーラー(壁・柱の構築): 下地で整えた肌の上に、ファンデーションやBBクリームを塗って肌の色を均一にします。その後、ニキビ跡やクマなど、特に気になる部分をコンシーラーでピンポイントにカバーします。もし、この順番を逆にして先にコンシーラーを塗ってしまうと、その上からファンデーションを重ねる際にコンシーラーが伸びてしまい、カバーしたい部分からずれて効果が半減してしまいます。
- フェイスパウダー(仕上げ・保護): 最後にフェイスパウダーを重ねることで、ベースメイクが肌にしっかりと定着します。パウダーが余分な皮脂を吸着し、サラサラの質感を保つことで、テカリを防ぎ、マスクなどへの色移りを軽減します。
このように、各ステップには明確な役割があり、正しい順番で積み重ねていくことで、それぞれの効果が連鎖的に高まり、結果として厚塗り感のない、素肌がきれいになったかのような自然な仕上がりが実現するのです。順番を間違えることは、メイクのポテンシャルを自ら下げてしまう行為と言えるでしょう。
メイク崩れを防ぐ
ビジネスシーンやプライベートで、朝は完璧だったはずのメイクがお昼過ぎにはテカテカ、ドロドロに…という経験は、誰しも避けたいものです。メイクの正しい順番は、この「メイク崩れ」を防ぎ、清潔感を一日中キープするためにも不可欠です。
メイク崩れの主な原因は、「皮脂」「汗」「乾燥」「摩擦」の4つです。正しい手順でメイクを施すことは、これらの外的・内的要因からベースメイクを守るための、いわば「防御壁」を構築する作業なのです。
- 皮脂による崩れ(テカリ・ヨレ)への対策:
男性は女性に比べて皮脂の分泌量が多い傾向にあります。この皮脂がファンデーションと混ざり合うと、メイクが浮き上がってヨレたり、毛穴落ちしたりする原因となります。
正しい順番で行うメイクでは、まずスキンケアで肌の水分と油分のバランスを整え、過剰な皮脂分泌を抑制します。次に、皮脂吸着効果のある化粧下地を使うことで、日中の皮脂分泌をブロック。さらに、リキッドやクリーム状のファンデーションの上からフェイスパウダーを重ねることで、ベースメイクが肌にしっかり固定され、皮脂が出ても混ざりにくくなります。この「下地でブロックし、パウダーで蓋をする」という二段構えが、皮脂による崩れを防ぐ鍵となります。 - 汗による崩れへの対策:
夏場や暖房の効いた室内では、汗もメイク崩れの大きな原因です。汗でメイクが流れてしまうのを防ぐためにも、各層をしっかり密着させることが重要です。下地とファンデーションを薄く均一に塗り、最後にパウダーでセットすることで、肌表面のサラサラ感が保たれ、汗をかいてもドロドロに溶け出すのを防ぎます。ウォータープルーフタイプの下地やファンデーションを選ぶことも有効ですが、その効果を最大限に発揮させるためにも、正しい順番で塗ることが前提となります。 - 乾燥による崩れ(カサつき・ひび割れ)への対策:
意外に思われるかもしれませんが、肌の乾燥もメイク崩れを引き起こします。肌が乾燥すると、キメが乱れてファンデーションがうまく乗らず、時間が経つと粉っぽく浮き上がってきたり、表情の動きに合わせてひび割れたりします。
メイク前のスキンケアで徹底的に保湿を行い、肌に十分な潤いを与えることが全ての基本です。潤った肌はファンデーションを磁石のように引きつけ、しっとりとした状態を長く保ちます。保湿効果の高い下地を選ぶことも、乾燥崩れ対策には非常に効果的です。 - 摩擦による崩れ(マスク移りなど)への対策:
マスクの着用が日常的になった現在、摩擦によるメイクの剥がれは大きな悩みの一つです。ベースメイクの最後にフェイスパウダーをしっかりとはたくことで、肌の表面がサラサラになり、マスクとの摩擦を軽減できます。パウダーの粒子がクッションのような役割を果たし、ファンデーションがマスクに付着するのを最小限に抑えてくれるのです。
結論として、メイクの順番を守ることは、単なる儀式ではありません。それは、仕上がりの美しさを決定づけ、様々な崩れの原因からメイクを守るための、科学的根拠に基づいた合理的なプロセスなのです。初心者のうちからこの基本の順番を徹底することが、メンズメイクを成功させるための最も確実な近道と言えるでしょう。
メイクを始める前の準備【スキンケアの基本手順】
メンズメイクを成功させる上で、多くの初心者が最も見落としがちなのが「メイク前のスキンケア」です。どれだけ高価なファンデーションを使っても、どれだけテクニックを駆使しても、その土台となる肌の状態が整っていなければ、メイクの仕上がりは半減してしまいます。美しいメイクは、健康で潤った肌という最高のキャンバスがあってこそ成り立つと言っても過言ではありません。ここでは、メイクのノリと持ちを劇的に向上させる、基本のスキンケア手順を3つのステップに分けて詳しく解説します。
STEP1. 洗顔で汚れや皮脂を落とす
メイク前のスキンケアは、まず洗顔から始まります。朝起きたばかりの肌は、一見汚れていないように見えるかもしれません。しかし、睡眠中にも肌は新陳代謝を繰り返しており、汗や皮脂を分泌し、空気中のホコリや寝具の繊維などが付着しています。これらの汚れが残ったままメイクをすると、以下のようなトラブルの原因となります。
- メイクのノリが悪くなる: 皮脂や汚れが肌表面に膜を作ってしまい、化粧水や化粧下地、ファンデーションの密着を妨げます。結果として、メイクが浮いてしまったり、ムラになったりします。
- メイク崩れが早まる: 余分な皮脂がファンデーションと混ざり合い、日中のテカリやヨレを加速させます。
- 肌トラブルの原因に: 汚れが毛穴に詰まり、ニキビや吹き出物の原因になることもあります。
そこで、正しい洗顔で肌をリセットすることが重要です。
【正しい洗顔のポイント】
- 手を清潔にする: まずは石鹸で手を洗い、清潔な状態にします。
- 顔をぬるま湯で濡らす: 熱すぎるお湯は肌に必要な皮脂まで奪ってしまい、乾燥の原因になります。逆に冷たすぎる水は毛脂を固まらせ、汚れが落ちにくくなります。32〜34℃程度のぬるま湯が最適です。
- 洗顔料をしっかりと泡立てる: 洗顔料を直接肌につけてゴシゴシこするのは厳禁です。摩擦が肌への刺激となります。手のひらか泡立てネットを使って、キメの細かい弾力のある泡をレモン1個分ほど作りましょう。泡がクッションとなり、肌への負担を最小限に抑えながら、毛穴の奥の汚れを吸着してくれます。
- 泡で顔を包み込むように洗う: Tゾーン(おでこ、鼻)など皮脂の多い部分から泡を乗せ、顔全体に広げます。指が直接肌に触れないように、泡を転がすようなイメージで優しく洗いましょう。時間は1分以内が目安です。
- 丁寧にすすぐ: すすぎ残しは肌荒れの原因になります。特に、髪の生え際やフェイスライン、小鼻の脇は泡が残りやすいので、意識して20〜30回はぬるま湯で丁寧にすすぎましょう。
- 清潔なタオルで優しく押さえる: ゴシゴシと拭くのではなく、タオルを顔に優しく押し当てて水分を吸い取るようにします。
このひと手間をかけるだけで、肌の透明感が増し、次に使うスキンケアアイテムの浸透も格段に良くなります。
STEP2. 化粧水で肌に水分を与える
洗顔後の肌は、汚れが落ちてさっぱりする一方で、水分が蒸発しやすく非常にデリケートな状態にあります。いわば、乾いたスポンジのようなものです。このまま放置すると、肌は乾燥から身を守ろうとして、かえって過剰に皮脂を分泌してしまうことがあります(インナードライ)。そこで、洗顔後できるだけ早く、たっぷりの化粧水で肌に水分を補給することが重要です。
化粧水の役割は、単に肌を濡らすことではありません。
- 角層への水分補給: 肌の最も外側にある角層に水分を届け、潤いで満たします。
- 肌を柔らかくする: 水分を含んだ肌は柔らかくなり、キメが整います。これにより、次に使う乳液やクリームの美容成分が浸透しやすくなります。
- 後続のメイクの密着度アップ: 潤った肌は、ファンデーションなどを磁石のように引き寄せ、ノリを良くします。
【正しい化粧水の使い方】
- 適量を手に取る: 製品によって推奨量は異なりますが、一般的には500円玉大が目安です。少なすぎると摩擦の原因になり、多すぎても肌が吸収しきれません。
- 手で温める: 手のひらに広げ、両手で軽く温めると、肌へのなじみが良くなります。
- 顔全体に優しくなじませる: 顔の中心から外側に向かって、優しく押さえるように(ハンドプレス)なじませていきます。パンパンと叩き込むパッティングは、肌への刺激になる可能性があるので避けましょう。
- 乾燥しやすい部分は重ね付け: 目元や口元など、特に乾燥が気になる部分には、指の腹で優しく重ね付けすると効果的です。
- 首までケア: 顔だけでなく、年齢の出やすい首元までしっかりと保湿しましょう。
肌が手に吸い付くような、もっちりとした感触になれば、水分がしっかり補給されたサインです。
STEP3. 乳液やクリームで潤いを閉じ込める
化粧水で補給した水分は、そのままにしておくと時間とともに蒸発してしまいます。そこで、乳液やクリームに含まれる油分で肌の表面に薄い膜を作り、水分が逃げないように「蓋」をする必要があります。このステップを省略してしまうと、せっかく補給した水分が無駄になり、結局は乾燥を招いてしまいます。
- 乳液: 水分と油分がバランス良く配合されており、みずみずしいテクスチャーが特徴です。ベタつきが少なく、普通肌〜脂性肌の方におすすめです。
- クリーム: 乳液よりも油分が多く、こっくりとしたテクスチャーです。保湿力が高く、乾燥肌の方や、特に乾燥が気になる冬場におすすめです。
ベタつきが苦手な男性は多いですが、最近ではジェルタイプなど、さっぱりとした使用感のメンズ向け製品も豊富にあります。自分の肌質や好みに合わせて選びましょう。
【正しい乳液・クリームの使い方】
- 適量を手に取る: 一般的には10円玉大が目安です。つけすぎは油分過多となり、テカリやメイク崩れの原因になるので注意が必要です。
- 顔の数か所に置く: 額、両頬、鼻、あごの5点に置き、そこから顔全体に広げていくと、ムラなく均一に塗布できます。
- 優しくなじませる: 化粧水と同様に、顔の中心から外側に向かって優しくなじませます。乾燥しやすい目元・口元は丁寧に。
- ベタつきが気になる場合: 塗布後、数分経ってもベタつきが気になる場合は、ティッシュを顔に軽く当てて、余分な油分をオフしましょう。
このスキンケア3ステップを完了させることで、肌は潤いに満ち、表面は滑らかに整います。この状態こそが、メイクの仕上がりと持続性を最大限に高めるための完璧な下準備と言えるのです。面倒に感じるかもしれませんが、この数分の投資が、日中の快適さと自信に繋がります。
【初心者向け】メンズメイクの基本の順番 8ステップ
スキンケアで肌の土台を整えたら、いよいよメイクアップのステップに進みます。ここでは、メンズメイク初心者がまずマスターすべき基本の8ステップを、正しい順番に沿って一つひとつ丁寧に解説します。各ステップの役割を理解し、正しい手順で進めることで、誰でも簡単に「バレない」自然な仕上がりを目指せます。
① 日焼け止めを塗る
スキンケアの最後、かつメイクアップの最初のステップとして、日焼け止めは絶対に欠かせません。多くの男性が日焼けを「健康的」と捉えがちですが、紫外線は肌にとって百害あって一利なしの存在です。
- なぜ必要か: 紫外線(UVA・UVB)は、シミやそばかすの原因になるだけでなく、肌のハリや弾力を支えるコラーゲンやエラスチンを破壊し、シワやたるみといった「光老化」を促進します。また、肌の乾燥やニキビの悪化を招くこともあります。日焼け止めは、これらのダメージから肌を守るための最も効果的な防御策です。
- 塗るタイミング: スキンケア(化粧水・乳液)で肌を整えた直後に塗ります。スキンケア成分を肌に閉じ込め、その上に紫外線をブロックする膜を作るイメージです。化粧下地やファンデーションの前に塗るのが鉄則です。
- 選び方: 日常生活であればSPF20〜30、PA++〜+++程度で十分です。レジャーなど屋外で長時間過ごす場合は、SPF50、PA++++といった高い数値のものを選びましょう。白浮きしにくく、石鹸で落とせるタイプや、ジェルやミルクなど伸びの良いテクスチャーのものが初心者には使いやすいです。
- 塗り方: 適量(製品記載の量を守る)を手に取り、額、鼻、両頬、あごの5点に置いてから、顔全体にムラなく丁寧に伸ばします。耳や首の後ろも忘れずに塗りましょう。
② 化粧下地で肌の凹凸を整える
日焼け止めを塗ったら、次は化粧下地です。下地は、ファンデーションの仕上がりを格上げし、メイク崩れを防ぐための重要な「縁の下の力持ち」です。
- 役割:
- 毛穴や小じわなどの凹凸をカバー: 肌表面を滑らかにし、ファンデーションの毛穴落ちを防ぎます。
- ファンデーションの密着度アップ: のりのような役割を果たし、メイクの持ちを良くします。
- 皮脂コントロール: 過剰な皮脂を吸着し、日中のテカリや崩れを防ぎます。
- 色ムラ補正: 赤みやくすみなどを補正し、肌色を均一に整える効果があるものも(コントロールカラー)。
- 選び方: テカリやベタつきが気になる方は「皮脂崩れ防止下地」、毛穴が気になる方は「毛穴カバー下地」など、自分の肌悩みに合わせて選びましょう。
- 塗り方: パール粒1個分程度を手に取り、顔の中心(頬やTゾーンなど、特にカバーしたい部分)から外側に向かって薄く均一に伸ばします。厚塗りはヨレの原因になるので禁物です。
③ BBクリーム・ファンデーションで肌色を均一にする
肌の土台が整ったら、BBクリームまたはファンデーションで肌の色を整えていきます。これがベースメイクの主役です。
- BBクリームとファンデーションの違い:
- BBクリーム: 美容液、日焼け止め、化粧下地、ファンデーションなどの機能が一つになったオールインワンアイテム。カバー力は比較的ナチュラルで、手軽に使えるため初心者には特におすすめです。
- ファンデーション: 肌色を補正することに特化したアイテム。カバー力が高く、カラーバリエーションも豊富です。よりしっかりとカバーしたい方向け。
- 色の選び方: 顔と首の境目であるフェイスラインに少量乗せ、肌の色に自然になじむものを選びます。顔の色だけで選ぶと、首との色の差で「塗ってます感」が出てしまうので注意が必要です。
- 塗り方: 適量を手の甲に出し、指、スポンジ、またはブラシを使って顔の中心から外側に向かって薄く伸ばします。特にカバーしたい部分には、少量ずつトントンと重ね付けします。フェイスラインは、スポンジや指に残ったごく少量をなじませる程度にし、首との境目をぼかすのが自然に見せるコツです。
④ コンシーラーで気になる部分を隠す
ファンデーションだけでは隠しきれない、ニキビ跡、青髭、目の下のクマといったピンポイントの悩みをカバーするのがコンシーラーの役割です。
- 塗るタイミング: ファンデーションの後に使うのが基本です。先に使うと、ファンデーションを塗る際にヨレてしまい効果が半減します。また、ファンデーションで肌全体を整えた後で使うことで、最小限の量でカバーでき、厚塗りを防げます。
- 使い方: 隠したい部分に直接、または指や細いブラシでコンシーラーを「点」で置きます。その後、コンシーラーを置いた部分の輪郭だけを、指の腹で優しくトントンと叩き込むようにして、周りの肌との境目をぼかします。カバーしたい中心部分は触らないのがコツです。
⑤ フェイスパウダーでテカリを抑え、サラサラ肌に仕上げる
ベースメイクの最終仕上げがフェイスパウダーです。リキッド状のファンデーションやコンシーラーの上から重ねることで、多くのメリットがあります。
- 役割:
- メイクの固定: ベースメイクを肌に定着させ、崩れにくくします。
- テカリ防止: 余分な皮脂を吸着し、サラサラの肌を長時間キープします。
- 摩擦軽減: 肌表面がサラサラになることで、マスクへの色移りを防ぎます。
- 毛穴をぼかす: 光を乱反射させる効果で、毛穴をふんわりとカモフラージュします。
- 種類: ルース(粉状)とプレスト(固形)があります。初心者には、量の調節がしやすくナチュラルに仕上がるルースパウダーがおすすめです。
- 付け方: パフまたは大きめのブラシにパウダーを含ませ、一度手の甲で余分な粉を落とします。その後、皮脂の出やすいTゾーンや小鼻を中心に、顔全体に優しく押さえるように、またはブラシでふんわりと乗せます。
⑥ アイブロウで眉毛を整える
眉は顔の印象を大きく左右する「額縁」のようなパーツです。眉を整えるだけで、一気に清潔感が増し、知的で引き締まった印象になります。
- アイテム: ペンシル、パウダー、眉マスカラなどがあります。初心者は、足りない部分を描き足しやすいアイブロウペンシルから始めるのがおすすめです。色は、髪の色より少し明るい色を選ぶと自然になじみます。
- 描き方:
- まず、スクリューブラシで毛流れを整えます。
- 眉山から眉尻に向かって、足りない部分を1本1本毛を描き足すように埋めていきます。
- 次に、眉の中間から眉山にかけて形を整えます。
- 最後に、眉頭はほとんど描かず、指やブラシでぼかす程度にすると、自然な仕上がりになります。
⑦ アイシャドウで目元に自然な陰影をつける
アイシャドウと聞くと女性のメイクを想像するかもしれませんが、メンズメイクでは色を乗せるのではなく、「影」を作るという意識で使います。
- 効果: 目元に自然な彫りの深さを与え、さりげなく印象的な目元を演出します。目が腫れぼったく見えがちな方にもおすすめです。
- 色選び: 肌なじみの良いマットなブラウンやベージュ系を選びましょう。ラメやパールが強いものは、派手な印象になりやすいので避けるのが無難です。
- 塗り方: アイシャドウを指の腹に少量とり、アイホール(眼球のくぼみ)に沿って薄く広げます。これだけで、自然な陰影が生まれます。
⑧ リップクリームで唇の乾燥を防ぎ、血色感を出す
意外と見られているのが唇の状態です。カサカサに荒れた唇は、不健康でだらしない印象を与えてしまいます。
- 役割: 唇の乾燥を防ぎ、潤いを与えるのが基本です。さらに、ほんのり色が付くタイプのリップクリームを使えば、健康的で自然な血色感をプラスできます。
- 選び方: 保湿成分(ヒアルロン酸、シアバターなど)が配合されたものや、紫外線から唇を守るUVカット効果のあるものがおすすめです。色付きタイプを選ぶ際は、自分の唇の色より少しだけ赤みが増す程度の、ごく自然な発色のものを選びましょう。
- 使い方: 唇のシワに沿って、縦方向に優しく塗ります。
以上の8ステップが、自然で好印象を与えるメンズメイクの基本の順番です。最初は難しく感じるかもしれませんが、一つひとつの工程を丁寧に行うことで、確実に仕上がりが変わってきます。
【応用編】さらに印象をアップさせるフルメイクの順番
基本の8ステップに慣れてきたら、次は応用編です。ハイライト、シェーディング、アイライナーといったアイテムをプラスすることで、より立体的でメリハリのある、洗練された印象を作り出すことができます。これらのアイテムは、入れる場所と量を間違えると不自然になりやすいため、あくまで「さりげなく」を心がけるのが成功の鍵です。基本のベースメイクが完成した「⑤フェイスパウダー」と「⑥アイブロウ」の間、またはすべてのメイクが終わった最後の仕上げとして行うのが一般的です。
ハイライトで顔に立体感を出す
ハイライトは、顔の高い部分に光を集めて、高く見せたり、ツヤ感を出したりするアイテムです。光を味方につけることで、顔に自然なメリハリとフレッシュな活力を与えることができます。のっぺりとした印象になりがちな日本人の骨格を、立体的に見せる効果があります。
- 入れる場所と効果:
- Tゾーン(額の中央から鼻筋): 鼻を高く、すっきりと見せる効果があります。ただし、鼻先まで長く入れると不自然になるため、鼻筋の中ほどまでにとどめるのがポイントです。
- Cゾーン(眉下から目尻を囲むCの形の部分): 目元に明るさとハリ感を与え、生き生きとした印象になります。横顔をきれいに見せる効果も高いです。
- あご先: 顔の輪郭をシャープに見せ、Eライン(鼻先・唇・あご先を結んだライン)を美しく整えます。
- 目頭の「く」の字部分: 目元に抜け感が生まれ、白目をきれいに見せる効果があります。
- 唇の山の上: 唇がぷっくりと立体的に見え、若々しい印象になります。
- アイテムの種類:
- パウダータイプ: ブラシでふんわりと乗せることができ、ナチュラルな仕上がり。初心者にも扱いやすいです。
- スティックタイプ: 直塗りできる手軽さが魅力。肌への密着度が高く、濡れたようなツヤ感を出しやすいです。
- クリーム/リキッドタイプ: 内側から発光するような自然なツヤが出せます。ファンデーションの前に仕込む使い方もできます。
- 入れ方のコツ:
とにかく「少量ずつ、やりすぎない」ことが鉄則です。ブラシや指にハイライトを取ったら、一度手の甲で量を調節してから、光を当てたい部分にポンポンと優しく置くように乗せ、境目を丁寧にぼかします。ギラギラとした大粒のラメが入っているものは避け、肌なじみの良い繊細なパール感のものを選ぶと、悪目立ちせず自然な仕上がりになります。
シェーディングで顔を引き締める
シェーディングは、ハイライトとは逆に、顔の輪郭や影をつけたい部分に暗い色を入れて、引き締めて見せるテクニックです。影を意図的に作り出すことで、フェイスラインをシャープに見せたり、小顔効果を狙ったりすることができます。
- 入れる場所と効果:
- フェイスライン(エラやあご下): 顔の輪郭に沿って入れることで、フェイスラインがすっきりと見え、小顔効果が期待できます。エラが張っているのが気になる方には特に効果的です。
- おでこの生え際: 顔の面積を小さく見せる効果があります。おでこが広いのが気になる場合におすすめです。
- 鼻筋の脇(ノーズシャドウ): 鼻筋の両脇に細く影を入れることで、鼻を高く見せ、彫りの深い印象になります。ハイライトと組み合わせることで、より効果が高まります。
- アイテムの種類:
- パウダータイプ: 大きめのブラシでふんわりと入れることができ、失敗しにくいです。
- スティックタイプ: 直塗りしてスポンジでぼかします。よりはっきりとした影を作りたい場合に適しています。
- 入れ方のコツ:
シェーディングは、色が濃すぎたり、入れる範囲が広すぎたりすると、顔色がくすんで見えたり、不自然な線になったりします。自分の肌色より1〜2トーン暗い、グレーがかったブラウンなど、影の色に近いものを選びましょう。
ブラシにパウダーを取ったら、必ずティッシュや手の甲で余分な粉を払い落とします。そして、耳の付け根あたりからあご先に向かって、フェイスラインの骨格に沿ってサッと一刷けする程度で十分です。ノーズシャドウは、眉頭の下から鼻筋の脇に沿って、指や細いブラシでごく軽くぼかすように入れます。鏡で正面だけでなく、横顔もチェックしながら、不自然な影になっていないか確認することが大切です。
アイライナーで目力を強調する
アイライナーは、目のフレームをくっきりとさせることで、目力を自然に強調するアイテムです。ただし、男性の場合は女性のようにくっきりとしたラインを引くのではなく、あくまで「バレない」ように、まつ毛の存在感を高めるのが目的です。
- 入れる場所と効果:
- インライン(まつ毛の生え際): まつ毛とまつ毛の間の粘膜部分を埋めるようにラインを引きます。これにより、まつ毛が密集して生えているように見え、目の輪郭が自然に際立ち、さりげなく力強い印象の目元になります。
- アイテムの種類:
- ペンシルタイプ: 芯が柔らかく、ぼかしやすいので初心者におすすめです。インラインを埋めるのにも適しています。
- リキッドタイプ: くっきりとしたシャープな線が描けます。慣れるまでは少し練習が必要です。
- ジェルタイプ: ペンシルとリキッドの中間のような描き心地で、密着度が高いのが特徴です。
- 入れ方のコツ:
色は、ブラックよりもダークブラウンやグレーを選ぶと、より自然で柔らかい印象になります。鏡を下に持ち、あごを少し上げると、まつ毛の生え際が見やすくなります。反対の手でまぶたを軽く持ち上げながら、まつ毛の隙間を「点」で埋めていくようなイメージで、少しずつ描いていきます。一気に線を引こうとするとガタガタになりやすいので注意しましょう。目尻のラインを長く伸ばしたり、太く引いたりするのは避け、あくまで目のフレームを補強する程度にとどめるのが、メンズメイクにおけるアイライナーの正しい使い方です。
これらの応用テクニックは、すべてを一度に行う必要はありません。まずはハイライトから、次はシェーディング、というように、一つずつ試してみて、自分に必要なもの、自分の顔に合うものを見つけていくのが良いでしょう。基本のメイクに少しプラスするだけで、印象は大きく変わります。
【肌悩み別】メイクでカバーする順番とコツ
メンズメイクの大きな目的の一つは、青髭やニキビ跡、クマといった肌の悩みをカバーし、清潔感のある健康的な肌に見せることです。ここでは、代表的な肌悩み別に、それを効果的にカバーするためのメイクの順番と、プロも実践するちょっとしたコツを詳しく解説します。悩みの種類によって使うアイテムやテクニックが異なるため、自分の肌状態に合わせて最適な方法を取り入れてみましょう。
青髭を自然に隠す方法
夕方になると目立ってくる青髭は、多くの男性が抱える悩みの一つです。コンシーラーやファンデーションでやみくもに隠そうとすると、厚塗りになってかえって不自然に見えてしまいます。ポイントは「色」で打ち消すことです。
オレンジ系のコントロールカラーやコンシーラーを使う
メイクにおける色の基本として「補色」という考え方があります。補色とは、色相環で正反対に位置する色のことで、混ぜ合わせるとお互いの色を打ち消し合い、無彩色(グレーやブラウン)に近づく性質があります。
- 青髭の「青」の補色は「オレンジ」です。
- 順番: スキンケア → 日焼け止め → オレンジ系のコントロールカラーまたはコンシーラー → ファンデーション → フェイスパウダー
【カバーのコツ】
- まず、髭を剃った後の青みが気になる部分(口周りやあごなど)に、オレンジ色のコントロールカラー下地、またはオレンジ色のコンシーラーを薄く指で叩き込むように塗布します。広範囲に広げるのではなく、青みが気になる部分にピンポイントで乗せるのがポイントです。
- この時点では肌がオレンジ色に見えますが、心配は不要です。これが青みを打ち消すための下準備となります。
- その上から、自分の肌色に合ったファンデーションやBBクリームを、スポンジを使って優しく重ねます。この時、こすらずに、ポンポンとスタンプを押すようにして乗せていくのが重要です。こすると下のオレンジ色が混ざってしまい、効果が薄れてしまいます。
- オレンジの色味がファンデーションで中和され、青みが自然にカバーされた状態になります。最後にフェイスパウダーで仕上げれば、さらに崩れにくくなります。
ファンデーションを薄く重ねる
オレンジ系のアイテムで色を補正した後は、ファンデーションを重ねますが、ここでも注意が必要です。青髭を完全に消そうとファンデーションを厚塗りすると、その部分だけ質感が変わってしまい、シワに入り込んだり、表情の動きでヨレたりして非常に不自然に見えます。
あくまで「薄く重ねる」のが鉄則です。ファンデーションで完全に「隠す」のではなく、オレンジで打ち消した色味を、周りの肌色と「なじませる」という意識を持ちましょう。カバー力が足りないと感じる場合は、リキッドファンデーションよりも少し硬めのクリームファンデーションやスティックファンデーションを少量使うと、薄付きでもカバー力を高めることができます。
ニキビ・ニキビ跡・赤みをカバーする方法
ポツンとできた赤ニキビや、色素沈着してしまったニキビ跡、小鼻の周りの赤みなども、メイクで上手にカバーすることができます。ここでも補色の考え方が役立ちます。
グリーン系のコントロールカラーを部分的に使う
- ニキビや赤みの「赤」の補色は「グリーン」です。
- 順番: スキンケア → 日焼け止め → グリーン系のコントロールカラー → ファンデーション → コンシーラー → フェイスパウダー
【カバーのコツ】
- 赤みが気になる部分(ニキビ、小鼻の脇など)に、グリーン系のコントロールカラー下地をごく少量、ピンポイントで乗せます。顔全体に塗ると顔色が悪く見えてしまうため、必ず部分使いにしましょう。
- 指で優しくトントンと叩き込み、赤みを和らげます。
- その上からファンデーションを重ねて、肌色を均一に整えます。
肌より少し暗い色のコンシーラーを点置きする
ファンデーションを塗ってもまだニキビやニキビ跡が気になる場合は、コンシーラーで最終仕上げをします。ここで選ぶべきコンシーラーの色が重要です。
【カバーのコツ】
- 自分の肌色よりもワントーン暗い色のコンシーラーを選びます。明るい色を選ぶと、光を集めてしまい、ニキビの膨らみが逆に目立ってしまうためです。暗い色の方が、凹凸感をフラットに見せる効果があります。
- コンシーラーを細いブラシや綿棒の先に取り、カバーしたいニキビやニキビ跡の中心に「点」で置きます。
- 数秒〜30秒ほど放置して、コンシーラーを肌に密着させます。すぐにぼかすよりもカバー力が高まります。
- その後、コンシーラーを置いた部分の輪郭だけを、清潔な指先やブラシで優しくぼかして、周りの肌との境目をなじませます。中心部は触らないようにするのがポイントです。
目の下のクマを隠す方法
睡眠不足や疲れのサインとして現れる目の下のクマ。クマには種類があり、それぞれ原因と効果的なカバー方法が異なります。自分のクマがどのタイプかを見極めることが、自然にカバーするための第一歩です。
クマの種類 | 主な原因 | 見分け方 | おすすめのコンシーラー |
---|---|---|---|
青クマ | 血行不良 | 皮膚を下に引っ張ると色が薄くなる。青黒く見える。 | オレンジ系 |
茶クマ | 色素沈着、紫外線、摩擦 | 皮膚を引っ張っても色が変わらない。茶色くくすんでいる。 | イエロー系 |
黒クマ | 加齢によるたるみ、骨格 | 上を向くと薄くなる。目の下が影になって黒く見える。 | 明るめのコンシーラーやハイライト |
青クマにはオレンジ系のコンシーラー
青髭のカバーと同じ原理で、青い色素をオレンジ色で打ち消します。クマの部分にオレンジ系のコンシーラーを薄く乗せ、その上から肌色のファンデーションやコンシーラーを重ねます。
茶クマにはイエロー系のコンシーラー
色素沈着による茶色いくすみには、イエロー系のコンシーラーが有効です。肌色を明るく均一に見せる効果があり、茶色い色素沈着を自然にカモフラージュしてくれます。
黒クマには明るめのコンシーラーやハイライト
黒クマは「影」なので、色で隠すというよりも「光」で飛ばすというアプローチが効果的です。パールやツヤ感のある、肌色より少し明るめのコンシーラーやリキッドハイライトを、影になっている部分(目の下のくぼみ)に少量乗せ、光を集めて影を目立たなくさせます。ただし、涙袋全体に乗せると目が腫れぼったく見えるので、影の部分だけにピンポイントで使うのがコツです。
毛穴やテカリを抑える方法
男性の肌悩みで特に多いのが、毛穴の開きや皮脂によるテカリです。これらはメイクの順番とアイテム選びで大幅に改善できます。
皮脂崩れ防止下地を使う
メイク崩れの原因の多くは皮脂です。メイクの最初の段階で、皮脂の分泌をコントロールする「皮脂崩れ防止下地」を投入することが最も効果的です。特にTゾーンや小鼻など、テカリやすい部分に重点的に塗り込みましょう。毛穴の凹凸を埋めてフラットに見せる効果がある下地(ポアプライマー)を併用するのもおすすめです。
フェイスパウダーをブラシでふんわりのせる
ベースメイクの仕上げに使うフェイスパウダーは、テカリ防止の最後の砦です。付属のパフでつけるとしっかりつきますが、ナチュラルに見せたい場合や、毛穴をふんわりぼかしたい場合は、大きめのフェイスブラシを使うのがおすすめです。ブラシにパウダーを含ませ、余分な粉を手の甲で払ってから、顔全体をなでるようにふんわりと乗せます。粒子が均一につき、厚塗り感なくサラサラの肌に仕上がります。テカリやすいTゾーンには、ブラシで軽く押さえるように乗せると、皮脂吸着効果が高まります。
初心者でも大丈夫!バレないメンズメイク3つのコツ
メンズメイクのゴールは、多くの場合「メイクをしていると気づかれずに、清潔感や健康的な印象をアップさせること」です。いかにも「塗ってます感」が出てしまうと、かえって不自然に見えてしまいます。ここでは、誰でも簡単に実践できる、自然な仕上がりを実現するための3つの重要なコツを紹介します。これらのポイントを意識するだけで、メイクの完成度は格段に上がります。
① 自分の肌色に合ったアイテムを選ぶ
バレないメンズメイクを成功させるための最も重要な要素は、色選びです。特に、肌の大部分を覆うBBクリームやファンデーションの色が合っていないと、それだけで「仮面」のようになり、不自然さが際立ってしまいます。
- なぜ色選びが重要か:
- 白すぎる色: 顔だけが白く浮いてしまい、首との色の差がくっきりと出てしまいます。これは「メイクしてます」と公言しているようなもので、最も避けたい失敗例です。
- 暗すぎる色: 顔色が悪く、疲れているように見えたり、老けた印象を与えたりします。
理想は、自分の素肌と一体化し、塗っていることが分からないほど自然になじむ色です。肌の色ムラを均一に整え、素肌そのものがきれいになったかのように見せることが目標です。
- 正しい色の選び方:
多くの人が手の甲で色を試しますが、これは間違いです。手の甲と顔の肌色は、日焼けの具合などが異なるため、一致しないことがほとんどです。
必ず「フェイスライン(顔と首の境目)」で試しましょう。- 気になる色を2〜3色選び、フェイスラインにそれぞれ少量ずつ、線を引くように塗布します。
- そのまま数分待ちます。ファンデーションは皮脂と混ざると色が少し変わる(暗くなる)ことがあるため、時間を置くことで肌へのなじみ方を確認できます。
- 屋外の自然光の下で鏡を見て、最も肌と首の色になじんで、境目が分からなくなった色があなたのジャストカラーです。店内の照明は、色を正確に判断するのが難しい場合があるため、自然光でのチェックが非常に重要です。
- パーソナルカラーを意識する:
さらにステップアップするなら、自分のパーソナルカラー(イエローベース/ブルーベース)を知るのも有効です。- イエローベース(イエベ): 手首の血管が緑っぽく見える、日焼けすると黒くなりやすい、ゴールドのアクセサリーが似合うといった特徴があります。ファンデーションは「オークル系」「ベージュ系」といった黄みのある色がなじみやすいです。
- ブルーベース(ブルベ): 手首の血管が青や紫っぽく見える、日焼けすると赤くなる、シルバーのアクセサリーが似合うといった特徴があります。「ピンクオークル系」「ピンク系」といった赤みやピンクみのある色が肌の透明感を引き立てます。
自分に合った基調色を選ぶことで、より肌を美しく見せることができます。
② 厚塗りをせず、少量ずつ薄く重ねる
ニキビ跡や青髭など、気になる部分があると、ついついそれを隠そうとしてファンデーションやコンシーラーを厚く塗りがちです。しかし、厚塗りはバレるメイクの最大の原因です。
- なぜ厚塗りはNGか:
- 不自然な質感: 厚く塗られた肌は、素肌本来のツヤやキメが失われ、のっぺりとした「塗り壁」のような質感になります。
- メイク崩れの原因: 塗る量が多いほど、皮脂や汗と混ざりやすく、ヨレたり崩れたりしやすくなります。
- シワが目立つ: 笑ったり話したりしたときの表情の動きで、ファンデーションがシワに入り込み、かえってシワを目立たせてしまいます。
- 薄く仕上げるためのテクニック:
メンズメイクの基本は「隠す」のではなく「整える」「カモフラージュする」という意識です。- 少量から始める: BBクリームやファンデーションは、まず「これだけで足りるかな?」と思うくらいの少量(あずき一粒大程度)を手の甲に出します。
- 顔の中心から外側へ: 顔全体に均一に塗るのではなく、カバーしたい頬やTゾーンといった顔の中心部にまず置き、そこから外側に向かって薄く伸ばしていくのがポイントです。フェイスラインはほとんど塗らないくらいでOKです。
- ツールを使う: 指で塗るのも手軽ですが、水で濡らして固く絞ったスポンジを使うと、余分なファンデーションを吸収しながら薄く均一に密着させることができます。ツヤ感も出て、プロのような仕上がりになります。
- レイヤリング(重ね付け): 一度でカバーしようとせず、全体に薄く塗った後、まだ気になる部分があれば、そこにだけごく少量を指でトントンと重ね付けします。この「薄い層を重ねる」という意識が、自然なカバー力を生み出します。
③ 顔と首の色の境目をぼかす
完璧にメイクを仕上げたつもりでも、ふとした瞬間に鏡を見て「顔と首の色が違う…」と気づくことがあります。これは、バレるメイクの典型的なパターンです。顔だけを完璧に仕上げるのではなく、首との連続性を意識することが、自然に見せるための最後の鍵となります。
- なぜ境目をぼかす必要があるか:
顔と首はつながっています。ここに色の境界線がくっきりとできてしまうと、顔に「メイク」という一枚の膜を貼り付けたように見えてしまいます。特に、あご下やもみあげ周りは見落としがちですが、他人からは意外と見られている部分です。 - 自然になじませる方法:
- ファンデーションの塗り方: 顔全体にファンデーションを伸ばした後、指やスポンジに残ったごくわずかな量を使って、フェイスラインから首に向かってサッとぼかします。新たに追加でファンデーションを取る必要はありません。このひと手間で、色のグラデーションが生まれ、自然なつながりが生まれます。
- もみあげ周りの処理: ファンデーションがもみあげの毛について固まると非常に不自然です。もみあげの周りは、スポンジのきれいな面を使って軽く押さえ、ファンデーションが溜まらないように注意しましょう。
- シェーディングの活用(応用): 応用編で紹介したシェーディングをフェイスラインに薄く入れると、影の効果で境目がさらに自然になじみ、かつ小顔効果も得られます。
これらの3つのコツは、どれも難しいテクニックではありません。しかし、意識するかしないかで仕上がりは雲泥の差となります。「正しい色選び」「薄塗り」「境目をぼかす」。この3原則を常に心に留めておくことが、誰にも気づかれずに好印象だけを残す、理想のメンズメイクへの近道です。
まずはこれを揃えよう!メンズメイクに必要な基本アイテム7選
メンズメイクを始めたいと思っても、世の中にはたくさんのアイテムがあり、何から手をつければ良いか迷ってしまいます。しかし、最初からすべてを揃える必要はありません。まずは、清潔感のあるベース作りと、印象を整えるための最低限のアイテムがあれば十分です。ここでは、初心者が「これさえあれば大丈夫」という、基本の7つのアイテムを厳選してご紹介します。
① 日焼け止め
これはメイクアイテムというよりも、必須のスキンケアアイテムです。紫外線による肌の老化(光老化)を防ぎ、シミやシワ、たるみの原因から肌を守るために、季節や天候を問わず毎日使用することをおすすめします。メイクをしない日でも、日焼け止めだけは塗る習慣をつけましょう。
- 役割: 紫外線防御、肌ダメージの予防
- 選び方のポイント:
- 使用感: 白浮きしにくく、きしまないジェルタイプやミルクタイプが男性には使いやすいです。
- SPF/PA値: 日常使いならSPF30・PA+++前後、アウトドアならSPF50+・PA++++が目安です。
- 落としやすさ: 石鹸や洗顔料で落とせるタイプは、クレンジングの手間が省けて手軽です。
② 化粧下地 or BBクリーム
ベースメイクの土台を作るアイテムです。どちらか一方で問題ありません。自分のライフスタイルや求める仕上がりに合わせて選びましょう。
- 化粧下地:
- 役割: 毛穴の凹凸をならし、皮脂をコントロールしてファンデーションのノリと持ちを良くする。
- こんな人におすすめ: ファンデーションを使ってしっかりメイクをしたい人、テカリや毛穴の開きが特に気になる人。
- BBクリーム:
- 役割: 日焼け止め、下地、ファンデーションなどの機能が一つになったオールインワンアイテム。
- こんな人におすすめ: とにかく手軽に、時短でメイクを済ませたい初心者。1本で肌の色ムラを自然にカバーし、肌をきれいに見せることができます。
初心者はまずBBクリームから試してみるのが最も簡単でおすすめです。
③ ファンデーション
BBクリームよりもカバー力が高く、肌の色をしっかりと補正したい場合に選びます。カラーバリエーションが豊富なため、自分の肌色にぴったりの色を見つけやすいのがメリットです。
- 役割: 肌の色ムラ、シミ、ニキビ跡などをカバーし、肌色を均一に整える。
- 選び方のポイント:
- 種類:
- リキッドファンデーション: 伸びが良く、保湿力とカバー力のバランスが良い。初心者でも扱いやすい。
- クッションファンデーション: パフでつけるタイプで、手を汚さずに手軽にツヤ肌が作れる。
- スティックファンデーション: カバー力が高く、部分使いにも便利。
- 色選び: フェイスラインで試して、首の色と自然になじむ色を選びましょう。
- 種類:
④ コンシーラー
BBクリームやファンデーションだけでは隠しきれない、局所的な肌悩みをピンポイントでカバーする強力な助っ人です。
- 役割: 青髭、目の下のクマ、濃いニキビ跡、シミなどを集中的にカバーする。
- 選び方のポイント:
- 種類:
- スティックタイプ: 硬めのテクスチャーでカバー力が高い。シミやニキビ跡に。
- リキッドタイプ: 柔らかく伸びが良い。動きの多い目元や口元のクマ、青髭のカバーに。
- 色選び: 隠したい悩みの種類や場所によって使い分けます(青髭にはオレンジ系、赤みにはグリーン系など)。基本的には、ファンデーションの色に合わせるか、少し暗めの色を選ぶと自然です。
- 種類:
⑤ フェイスパウダー
ベースメイクの仕上げに使い、サラサラの肌をキープするためのアイテムです。
- 役割: 皮脂を吸着してテカリを防ぐ、ベースメイクを肌に固定して崩れにくくする、マスクへの色移りを軽減する。
- 選び方のポイント:
- 種類:
- ルースパウダー(粉状): ふんわりとナチュラルな仕上がり。初心者におすすめ。
- プレストパウダー(固形): 持ち運びに便利で、外出先での化粧直しにも。
- 色: 色がつかないトランスルーセント(透明)タイプなら、ファンデーションの色を邪魔せず、誰でも使いやすいです。
- 種類:
⑥ アイブロウアイテム
眉毛を整えるだけで、顔全体の印象が引き締まり、清潔感が格段にアップします。
- 役割: 眉の形を整え、足りない部分を描き足し、左右のバランスを整える。
- 選び方のポイント:
- 初心者はまずペンシルから: 1本で形作りも埋めるのも簡単なアイブロウペンシルがおすすめです。芯が硬すぎず柔らかすぎないものを選ぶと描きやすいです。
- 色: 髪の色よりワントーン明るい色を選ぶと、自然で垢抜けた印象になります。
- スクリューブラシ付き: ペンシルの反対側にぼかすためのスクリューブラシが付いているタイプは、1本で完結できて非常に便利です。
⑦ クレンジング剤
メイクを始めたら、クレンジング剤は絶対に必要です。日焼け止めやBBクリーム、ファンデーションは油性の成分を含んでいるため、通常の洗顔料だけでは完全に落としきれません。
- 役割: メイクや皮脂汚れをしっかりと浮かせて落とす。
- なぜ必要か: メイクが肌に残ったままだと、毛穴詰まりやニキビ、肌荒れ、色素沈着など、深刻な肌トラブルの原因になります。
- 選び方のポイント:
- 種類: オイル、ジェル、ミルク、バームなど様々なタイプがあります。普段のメイクの濃さや肌質に合わせて選びます。初心者のナチュラルメイクであれば、肌への負担が少なく、すすぎが簡単なジェルタイプやミルクタイプがおすすめです。
まずはこの7つのアイテムを基本として、必要に応じてハイライトやアイシャドウなどを追加していくのが、無理なくメンズメイクを続けるコツです。
初心者におすすめのメンズメイクブランド
メンズメイク市場の拡大に伴い、様々なブランドから男性向けの化粧品が発売されています。ここでは、特に初心者が手に取りやすく、バレにくさや使いやすさに定評のあるブランドを5つ厳選して紹介します。それぞれのブランドコンセプトや特徴を参考に、自分に合ったものを見つけてみてください。
NULL(ヌル)
「日本人男性の肌に合わせた製品開発」をコンセプトに掲げる、日本のメンズコスメブランドです。特にベースメイクアイテムに強く、バレずに肌をきれいに見せたい男性から高い支持を得ています。
- 特徴:
- バレにくさへのこだわり: BBクリームやコンシーラーは、男性特有の肌色や肌質(皮脂の多さ、青髭など)を徹底的に研究して開発されており、非常に自然な仕上がりになります。
- 肌への優しさ: 多くの製品に美容成分が配合されており、メイクしながらスキンケア効果も期待できます。
- 豊富なラインナップ: BBクリームやコンシーラーのほか、フェイスパウダー、アイブロウペンシル、日焼け止めなど、メンズメイクに必要な基本アイテムが一通り揃っています。
- 代表的なアイテム:
- NULL BBクリーム: ブランドの看板商品。少量でよく伸び、気になる毛穴や青髭を自然にカバーします。SPF30 PA++で紫外線対策も可能。
- NULLコレクティブペン(コンシーラー): ペンタイプで使いやすく、ニキビ跡やクマなどをピンポイントでカバーできます。
- こんな人におすすめ: とにかくバレたくない人、青髭や毛穴など男性特有の悩みをしっかりカバーしたい人。
参照:NULL公式サイト
ORBIS Mr.(オルビス ミスター)
大手化粧品会社オルビスが展開するメンズラインです。「シンプルで機能的、だけど、おしゃれ」をコンセプトに、スキンケアからベースメイクまで、男性のライフスタイルに寄り添うアイテムを提供しています。
- 特徴:
- スキンケア発想: オイルカット技術など、オルビスが長年培ってきたスキンケアの知見が活かされています。ベタつかず、快適な使用感が魅力です。
- シンプルなステップ: 複雑な手順を必要とせず、日常に手軽に取り入れられるような製品設計になっています。
- スタイリッシュなデザイン: 洗面所に置いても様になる、ミニマルでおしゃれなパッケージデザインも人気の理由です。
- 代表的なアイテム:
- ミスター ベースカラー コントローラー: 肌の凹凸や色ムラを整え、自然なトーンアップを叶える化粧下地。これ1本で軽いメイクとしても使えます。
- ミスター スポットシュート コンシーラー: 肌悩みに合わせて選べるカラー展開で、気になる部分を的確にカバーします。
- こんな人におすすめ: スキンケアの延長線上でメイクを始めたい人、ベタつくのが苦手な人、シンプルなデザインが好きな人。
参照:ORBIS Mr.公式サイト
FIVEISM × THREE(ファイブイズム バイ スリー)
人気デパートコスメブランド「THREE」から誕生した、業界をリードするメンズ総合コスメブランドです。ジェンダーの枠を超え、自己表現の一つとしてメイクを楽しむことを提案しています。
- 特徴:
- 豊富なカラーバリエーション: ファンデーションやコンシーラーはもちろん、アイシャドウやリップなど、ポイントメイクのカラー展開が非常に豊富で、プロも使用するほどのクオリティです。
- 高品質なテクスチャー: 天然由来成分にこだわり、肌への負担が少なく、洗練された仕上がりを実現します。
- メイクの楽しさを提案: バータイプのファンデーション(ネイキッドコンプレクション バー)など、直感的に使えるユニークなアイテムが多く、メイクのプロセスそのものを楽しめます。
- 代表的なアイテム:
- ネイキッドコンプレクション バー: ブランドの象徴的なアイテム。スティック状のファンデーションで、肌に直接すべらせて指でなじませるだけで、素肌感のある仕上がりに。
- アイブロウスティック: 眉毛を描くだけでなく、髪の生え際にも使えるマルチなアイテム。
- こんな人におすすめ: こだわりのアイテムで本格的なメイクに挑戦したい人、自分にぴったりの色を見つけたい人、メイクをファッションの一部として楽しみたい人。
参照:FIVEISM × THREE公式サイト
UNO(ウーノ)
資生堂が展開する、ドラッグストアなどで手軽に購入できるメンズコスメブランドです。「大人への進化」をサポートすることをテーマに、スキンケアからスタイリング剤、BBクリームまで幅広く展開しています。
- 特徴:
- 圧倒的な手軽さとコストパフォーマンス: 全国どこのドラッグストアでも手に入りやすく、価格もリーズナブル。初心者が最初に試すのに最適です。
- オールインワン発想: 1本で複数の役割をこなすアイテムが多く、忙しい朝でもスピーディーに身だしなみを整えられます。
- 男性の肌悩みに特化: テカリ、カサつき、ニキビ予防など、男性が抱えがちな肌悩みにアプローチする機能性が特徴です。
- 代表的なアイテム:
- ウーノ フェイスカラークリエイター: 気になる肌悩みを自然にカバーするBBクリーム。肌色補正効果がありながら、洗顔料で簡単に落とせる手軽さが人気です。
- こんな人におすすめ: まずは何から買えばいいか分からないメイク初心者、コストを抑えたい人、ドラッグストアで手軽に購入したい人。
参照:UNO公式サイト
LAKA(ラカ)
「ジェンダーニュートラル」をコンセプトに掲げる、韓国発のコスメブランドです。性別に関係なく、すべての人がビューティーを楽しめるような、既成概念にとらわれない製品を提案しています。
- 特徴:
- 絶妙なニュアンスカラー: 韓国コスメならではの、くすみ感のあるおしゃれなカラー展開が魅力。特にリップやアイシャドウ、チークなどが人気です。
- 洗練されたパッケージ: シンプルでありながら、持っているだけで気分が上がるようなミニマルでモダンなデザインです。
- ヴィーガン処方: 多くの製品がヴィーガン認証を受けており、動物由来の成分を使用していない点も特徴です。
- 代表的なアイテム:
- フルーティーグラムティント: 透明感のある発色とツヤ感が持続する人気のリップティント。男性でも使いやすいヌーディーなカラーが豊富です。
- ジャストアイパレット: 捨て色がなく、組み合わせやすいカラーで構成されたアイシャドウパレット。自然な陰影を作るのに最適です。
- こんな人におすすめ: ポイントメイクにも挑戦してみたい人、トレンド感のあるメイクを楽しみたい人、韓国コスメが好きな人。
参照:Laka公式サイト
メイクをしたら必ず行おう!正しいクレンジングのやり方
メンズメイクを始める上で、アイテムを揃えたり、塗る順番を覚えたりすることと同じくらい、いや、それ以上に重要なのが「メイクを正しく落とす」ことです。メイクをした日は、夜のスキンケアの最初に必ずクレンジングを行いましょう。この習慣を怠ると、せっかくのメイクが肌トラブルの原因となり、本末転倒になってしまいます。
なぜクレンジングが必要なのか
「洗顔料で顔を洗えば、メイクも一緒に落ちるのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
- 汚れの性質の違い:
- 洗顔料が落とす汚れ: 汗、ホコリ、古い角質など、主に「水性」の汚れ。
- クレンジングが落とす汚れ: ファンデーション、日焼け止め、皮脂など、主に「油性」の汚れ。
メイクアップ製品は、汗や皮脂で簡単に落ちてしまわないように、油性の成分をベースに作られています。水と油が混ざらないのと同じ原理で、水性の汚れを落とすことを目的とした洗顔料だけでは、油性のメイク汚れを完全に取り除くことはできません。
- クレンジングしないとどうなる?:
肌に残ったメイク汚れは、皮脂や古い角質と混ざり合い、毛穴を詰まらせます。これが、ニキビや吹き出物、黒ずみ毛穴の直接的な原因となります。さらに、肌のターンオーバー(生まれ変わり)を妨げ、くすみやゴワつきを招いたり、色素沈着を引き起こしてシミの原因になったりすることもあります。健康な肌を保つためには、その日の汚れはその日のうちにリセットすることが鉄則なのです。
クレンジングの種類と選び方
クレンジング剤には様々な種類があり、それぞれ洗浄力や肌への優しさが異なります。自分のメイクの濃さや肌質に合わせて最適なものを選びましょう。
クレンジングの種類 | 特徴・洗浄力 | おすすめの肌質・メイク |
---|---|---|
オイルクレンジング | 洗浄力:非常に高い。油分が主成分で、濃いメイクやウォータープルーフのアイテムも素早く落とせる。洗い上がりがさっぱりするものが多い。 | しっかりメイクの日、皮脂の多い脂性肌の人。 |
バームクレンジング | 洗浄力:高い。半固形のオイルで、肌の上で溶けてオイル状に変化。洗浄力と保湿力のバランスが良い。 | しっかりメイクで、かつ乾燥も気になる人。 |
ジェルクレンジング | 洗浄力:中程度。厚みのあるジェルがクッションとなり、肌への摩擦を軽減できる。オイルフリー(水性)とオイルイン(油性)がある。 | ナチュラルメイク、普通肌〜混合肌の人。初心者におすすめ。 |
クリームクレンジング | 洗浄力:ややマイルド。油分と水分がバランス良く配合され、しっとりとした洗い上がり。保湿力が高い。 | ナチュラルメイク、乾燥肌の人。 |
ミルククレンジング | 洗浄力:マイルド。水分が多く、テクスチャーが滑らか。肌への負担が最も少ないが、洗浄力は穏やか。 | ごく薄いメイクの日、敏感肌の人。 |
初心者の男性がBBクリームや日焼け止め程度のナチュラルメイクをする場合は、洗浄力が適度で肌への負担も少ない「ジェルクレンジング」や、W洗顔不要の「バームクレンジング」から始めるのがおすすめです。
正しいクレンジングの手順
クレンジングは、ただ顔に塗って洗い流せば良いというものではありません。正しい手順で行うことで、肌への負担を最小限に抑えながら、汚れをしっかりと落とすことができます。
- 乾いた手と顔で始める:
クレンジング剤を使う前は、手も顔も濡らさないのが基本です。(製品によっては濡れた手で使えるものもありますが、基本は乾いた状態で)水分が混ざるとクレンジング剤の洗浄力が低下してしまいます。 - 適量を手に取り、顔になじませる:
製品に記載された適量を乾いた手のひらに取ります。量が少なすぎると、指と肌との間で摩擦が起きてしまい、肌ダメージの原因になります。ケチらずに規定量を使いましょう。
皮脂の多いTゾーン(おでこ、鼻)からなじませ始め、次に頬、あごへと、顔の中心から外側に向かって、指の腹で円を描くように優しくなじませます。ゴシゴシこするのは絶対にNGです。 - 「乳化」させる(※特にオイルやバーム、クリームの場合):
これが最も重要なプロセスです。メイクとなじんだクレンジング剤に、少量のぬるま湯(32℃前後)を加えます。すると、オイルが白く濁り、サラサラの液体に変化します。これが「乳化」です。乳化させることで、オイルが水と混ざりやすくなり、肌からメイク汚れをすっきりと洗い流すことができます。この工程を省くと、油分が肌に残り、ベタつきや肌トラブルの原因になります。 - ぬるま湯で丁寧にすすぐ:
乳化させたら、ぬるま湯で20〜30回程度、丁寧にすすぎます。熱いお湯は肌の乾燥を招くので避けましょう。髪の生え際やフェイスラインはすすぎ残しが多い部分なので、特に意識して洗い流してください。 - W洗顔(必要な場合):
クレンジング剤の種類によっては、その後に洗顔料を使った「W洗顔」が必要な場合があります。製品の表示を確認しましょう。「W洗顔不要」と書かれているものは、すすいだら完了です。
メイクは「落とすまでがメイク」です。このクレンジングの習慣を身につけることで、未来の肌は大きく変わります。
メンズメイクの順番に関するQ&A
メンズメイクを始めたばかりの方が抱きがちな、順番に関する素朴な疑問やよくある質問にお答えします。正しい知識を身につけて、迷いなくメイクを楽しみましょう。
スキンケアと日焼け止めはどっちが先?
結論から言うと、必ず「スキンケアが先」です。
これはメンズメイクの順番における基本中の基本で、非常に重要なポイントです。順番は以下の通りです。
洗顔 → 化粧水 → 乳液(スキンケア) →【壁】→ 日焼け止め → 化粧下地(メイク)
- 理由: スキンケアの目的は、肌に水分と油分を補給し、肌の状態そのものを整えることです。化粧水で潤いを与え、乳液やクリームでその潤いに蓋をします。このスキンケアが完了した「後」に、日焼け止めを塗ることで、紫外線という外部刺激から肌を守るための「保護膜」を形成します。もし順番を逆にして、日焼け止めの上から化粧水や乳液を塗っても、日焼け止めの膜が邪魔をしてしまい、スキンケア成分が肌に全く浸透しません。
- 覚え方: 「スキンケアは肌の食事、日焼け止めは服」と覚えると分かりやすいでしょう。まず肌に栄養を与え(食事)、その上から服を着て外部の刺激から守る、というイメージです。
BBクリームとファンデーションの違いは?
どちらも肌の色を整えるベースメイクアイテムですが、その成り立ちと機能に違いがあります。どちらが良い・悪いではなく、目的によって使い分けるのが賢い選択です。
項目 | BBクリーム | ファンデーション |
---|---|---|
主な機能 | 多機能(オールインワン) 美容液、日焼け止め、下地、ファンデーション等の役割を1本に集約。 |
肌色補正に特化 肌の色ムラや凹凸をカバーし、均一で美しい肌色を作ることに特化している。 |
カバー力 | ナチュラル〜中程度 | 中程度〜高い |
仕上がり | 自然で素肌感のある仕上がり。ツヤが出るものが多い。 | マットからツヤまで、製品によって様々。作り込んだ仕上がりも可能。 |
手軽さ | 非常に手軽。スキンケアの後これ1本でベースメイクが完了する。 | 基本的に化粧下地との併用が推奨されるため、BBクリームより工程は増える。 |
おすすめの人 | メイク初心者、時短したい人、ナチュラルメイクが好きな人。 | しっかりと肌悩みをカバーしたい人、自分の肌色にぴったりの色を見つけたい人。 |
要するに、BBクリームは「手軽な多機能ごはん」、ファンデーションは「本格的な専門料理」のようなものです。初心者はまずBBクリームから始めて、もっとカバー力が欲しくなったり、色にこだわりたくなったりしたらファンデーションに挑戦するのが良いでしょう。
メイクアイテムはどこで買うのがおすすめ?
メンズメイクのアイテムは、様々な場所で購入できます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分のレベルや目的に合わせて選ぶのがおすすめです。
- ドラッグストア:
- メリット: 手軽に立ち寄れる、価格がリーズナボー。UNOなど初心者向けのブランドが豊富。
- デメリット: テスター(試供品)が少ない場合がある。専門的なアドバイスは受けにくい。
- バラエティショップ(ロフト、プラザなど):
- メリット: 品揃えが豊富で、国内外の様々なブランドを比較検討できる。テスターも充実していることが多い。LAKAなどのジェンダーニュートラルブランドも見つけやすい。
- デメリット: 選択肢が多すぎて迷ってしまうことも。
- デパートのコスメカウンター:
- メリット: 美容部員(BA)という専門スタッフに相談できるのが最大の利点。肌質や悩みを伝えれば、最適なアイテムや色選び、使い方まで丁寧に教えてもらえる。FIVEISM × THREEなど高品質なブランドが揃う。
- デメリット: 価格帯は高め。少し敷居が高く感じるかもしれない。
- ブランド公式サイト・オンラインストア:
- メリット: 自宅でゆっくり選べる。ユーザーレビューや口コミを参考にできる。限定品やオンライン限定色が見つかることも。NULLなどはオンラインが主戦場。
- デメリット: 色味を直接試すことができない。特にファンデーションやコンシーラーの色選びは慎重に行う必要がある。
初心者の方は、まずは品揃えが豊富で気軽に試せるバラエティショップか、専門的なアドバイスがもらえるデパートのカウンターで、実際に商品を試しながら選ぶのが失敗しないための近道です。
汗をかいてもメイクは崩れない?
残念ながら、どんなに工夫しても大量の汗をかけばメイクは多少なりとも崩れます。しかし、事前の対策と、崩れた後の正しい対処法を知っておくことで、崩れを最小限に抑え、きれいな状態を長く保つことは可能です。
- 崩れにくくする事前の対策:
- スキンケアでしっかり保湿: 肌が乾燥していると、皮脂が過剰に分泌されて崩れやすくなります。油分は控えめに、水分をしっかり与えましょう。
- 皮脂崩れ防止下地を使う: 汗や皮脂に強い下地を、特にTゾーンや鼻周りに仕込んでおきます。
- ウォータープルーフ製品を選ぶ: 日焼け止めやファンデーションを、汗・水に強い「ウォータープルーフ」タイプにするのも効果的です。
- フェイスパウダーで仕上げる: ベースメイクの最後にパウダーをはたくことで、肌表面がサラサラになり、汗とファンデーションが混ざりにくくなります。
- メイクキープミストを使う: 全てのメイクが終わった後に、顔全体にメイクキープミストを吹きかけると、メイクが肌にコーティングされ、崩れにくさが格段にアップします。
- 崩れてしまった時の直し方(リタッチ):
- 汗を優しく押さえる: 汗をかいたら、ティッシュペーパーやあぶらとり紙でゴシゴシこすらず、優しく押さえるようにして汗や浮き出た皮脂を取り除きます。
- ヨレをなじませる: 何もついていないスポンジで、ファンデーションがヨレたり毛穴落ちしたりしている部分を軽くトントンと叩き、肌になじませてフラットな状態に戻します。
- パウダーで補修: プレストパウダー(固形タイプ)をブラシやパフに少量とり、テカリが気になる部分に軽く押さえるように乗せます。ここでリキッドファンデーションやコンシーラーを重ねると厚塗りになりやすいので、パウダーでのお直しがおすすめです。
これらの対策を行うことで、汗をかくシーンでも清潔感を保ちやすくなります。