近年、男性がメイクをすることは特別なことではなくなりつつあります。ビジネスシーンでの印象アップや、プライベートでの自己表現として、メンズメイクを取り入れる男性は増加傾向にあります。しかし、いざ始めようと思っても「どこまでやればいいのかわからない」「やりすぎて不自然になったらどうしよう」といった不安や疑問を抱く方も少なくないでしょう。
この記事では、メンズメイクが注目される背景から、世間一般で許容される範囲、そして具体的なメイクのレベルやTPOに合わせた使い分けまで、網羅的に解説します。初心者の方がまず何から始めれば良いのか、失敗しないためのコツは何か、さらには上級者向けのテクニックまで、あなたの「知りたい」に全てお答えします。
この記事を読めば、自分に合ったメンズメイクの範囲が見つかり、自信を持って日々の生活にメイクを取り入れられるようになります。清潔感を高め、好印象を与え、自分らしさを表現するための第一歩を、ここから踏み出してみましょう。
目次
なぜ今メンズメイクが注目されているのか?
かつては一部の職業や特別な趣味を持つ人々のものと見なされていたメンズメイクが、なぜこれほどまでに社会に浸透し、注目を集めるようになったのでしょうか。その背景には、社会全体の価値観の変化、テクノロジーの進化、そして個人の意識の変化が複雑に絡み合っています。ここでは、現代においてメンズメイクが支持される理由を多角的に掘り下げていきます。
第一に挙げられるのが、ジェンダーレスな価値観の広がりです。「男性らしさ」「女性らしさ」といった固定観念が薄れ、性別に関わらず誰もが自分らしいスタイルを追求することが肯定される時代になりました。ファッションやヘアスタイルにおいて男女の垣根が低くなったのと同様に、メイクもまた、性別を問わない自己表現の手段として認識され始めています。美を追求する権利は誰にでもあるという考え方が、メンズメイクへの心理的なハードルを大きく下げたのです。
第二に、ビジネスシーンにおける第一印象の重要性の高まりが挙げられます。特に、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、オンライン会議が急速に普及しました。これにより、自分の顔を画面越しに見る機会が格段に増え、肌のコンディションや顔色、表情がコミュニケーションの質を左右する要素として強く意識されるようになりました。画面に映る自分の顔が疲れて見えたり、クマや青髭が目立ったりすることにコンプレックスを感じ、「少しでも健康的で清潔感のある印象を与えたい」というニーズが顕在化したのです。対面であれオンラインであれ、清潔感は信頼感に直結します。シミやニキビ跡、色ムラなどを自然にカバーし、整った眉でキリッとした印象を与えるメンズメイクは、もはや単なるおしゃれではなく、ビジネスにおける戦略的なツールとしての側面も持つようになっています。
第三の要因として、SNSの普及とインフルエンサーの影響力は無視できません。InstagramやTikTok、YouTubeといったプラットフォームでは、多くの男性インフルエンサーや美容クリエイターが自身のメイク術や愛用コスメを積極的に発信しています。彼らの発信する情報は、同世代の若者を中心に大きな影響を与え、メイクを「かっこいいもの」「試してみたいもの」としてポジティブに捉えるきっかけを作りました。また、写真加工アプリで肌を綺麗に見せることに慣れた世代にとって、現実世界でも同じように肌を整えたいという欲求が生まれるのは自然な流れと言えるでしょう。SNSは、メンズメイクに関する情報収集の場であると同時に、メイクをした自分を披露し、他者からの共感や承認を得る自己表現の舞台にもなっています。
第四に、韓国を中心としたアジアのポップカルチャーの影響も大きいでしょう。特にK-POPアイドルたちは、性別を問わず多くのファンを魅了していますが、彼らの多くはステージ上で完璧なメイクを施しています。その洗練された姿は、男性のメイクに対する抵抗感をなくし、むしろ憧れの対象へと昇華させました。彼らのメイクを参考に、自分も試してみたいと考える若者が増えたことは、メンズメイク市場の裾野を広げる大きな原動力となりました。
最後に、こうした需要の高まりに応える形で、男性向け化粧品市場が大きく成長したことも重要なポイントです。かつては海外ブランドや女性用化粧品の一部を流用するしかなかった状況から一変し、今では国内の主要な化粧品メーカーがこぞってメンズコスメブランドを立ち上げています。ドラッグストアやバラエティショップには男性専用のコーナーが設けられ、BBクリームやファンデーション、アイブロウ、コンシーラーといった基本的なアイテムが手軽に購入できるようになりました。製品パッケージも男性が手に取りやすいようにシンプルでスタイリッシュなデザインが採用され、「化粧品売り場は女性のもの」という気まずさを感じることなく、自分に合った製品を選べる環境が整ったのです。
これらの要因が複合的に作用し、メンズメイクは「隠れてするもの」から「自信を高め、自分を表現するためのポジティブな行為」へとその意味合いを変化させてきました。それはもはや一過性のトレンドではなく、新しい時代の男性の身だしなみ、そして自己実現の形として、社会に根付きつつある文化なのです。
メンズメイクはどこまでやるのが一般的?
メンズメイクへの関心が高まる一方で、多くの人が抱くのが「一体、どこまでやるのが普通なのだろう?」という疑問です。やりすぎだと思われたくない、でも効果は感じたい。その絶妙なバランス感覚は、メンズメイクを始める上での大きな課題と言えるでしょう。ここでは、世間の人々がメンズメイクに対してどの程度の範囲を許容しているのか、そして「一般的」とされるラインはどこにあるのかを探っていきます。
世間の男女が思うメンズメイクの許容範囲
メンズメイクの許容範囲は、個人の価値観や年代、性別によって異なりますが、概ね共通する認識が存在します。それは、「清潔感を高めるための、バレない程度の身だしなみメイク」であれば、非常に好意的に受け入れられるということです。
ある調査機関が実施したアンケートなどを見ると、男女ともに多くの人が肯定的、あるいは許容範囲内と捉えているのは、以下のような項目です。
メイクの種類 | 許容度(一般的な傾向) | 目的・印象 |
---|---|---|
肌のベースメイク(BBクリームなど) | ◎(非常に高い) | 肌の色ムラや毛穴、青髭などを隠し、健康的で清潔な肌に見せる |
コンシーラー | ◎(非常に高い) | ニキビ跡やクマ、濃いシミなど、ピンポイントの肌悩みをカバーする |
眉を整える(アイブロウ) | ◎(非常に高い) | 眉の形を整え、キリッとしたり、優しい印象を与えたりする |
リップクリーム(無色・薄い色付き) | ◎(非常に高い) | 唇の乾燥を防ぎ、不健康な印象を払拭する |
フェイスパウダー | ○(高い) | 肌のテカリを抑え、サラサラな質感をキープする |
アイシャドウ(ナチュラルな色) | △(意見が分かれる) | 目元に自然な陰影をつけ、彫りを深く見せる |
アイライナー | ×(低い傾向) | 明らかに「化粧している感」が出やすく、ビジネスシーンなどでは不向きとされることが多い |
チーク・ハイライト | ×(低い傾向) | やりすぎると不自然に見えやすく、上級者向けとされる |
この表からもわかるように、多くの人がメンズメイクに期待しているのは「補正」や「補強」であり、「装飾」ではありません。肌の欠点をカバーして均一に見せる、眉の薄い部分を補って形を整える、といった行為は、スーツのシワを伸ばしたり、寝癖を直したりするのと同じ「身だしなみ」の一環として捉えられています。
特に、20代〜30代の若い世代や、日常的にメイクをする女性からは、男性が肌をきれいに見せる努力をすることに対して非常にポジティブな意見が多く聞かれます。一方で、年代が上がるにつれて、あるいはメイクに馴染みのない層からは、「男性が化粧をするのは違和感がある」という意見も依然として存在します。
しかし、重要なのは、その「違和感」の正体が、多くの場合「やりすぎのメイク」「不自然なメイク」に向けられているという点です。肌の色に合っていないファンデーションで顔だけが白浮きしていたり、明らかに描いたとわかる濃いアイラインが引かれていたりすると、「不潔ではないが、不自然だ」という印象を与えかねません。
したがって、メンズメイクで「一般的」とされる範囲、そして多くの人に好印象を与える範囲は、「素肌そのものが綺麗であるかのように見せる、極めてナチュラルな仕上がり」であると言えます。具体的には、レベル別の章で後述する「レベル1:基本の身だしなみメイク」から「レベル2:清潔感を高める応用メイク」の範囲が、現在の社会的なコンセンサスと言えるでしょう。
もちろん、これはあくまで一般的な最大公約数的な意見です。ファッション業界やエンターテインメント業界など、個性を表現することが求められる場では、より踏み込んだメイクも受け入れられます。プライベートで、自己表現として楽しむのであれば、他人の目を気にする必要は全くありません。
最終的に「どこまでやるか」を決めるのは自分自身です。しかし、ビジネスシーンや初対面の人と会う場面など、相手に与える印象を考慮する必要があるTPOにおいては、この「一般的」とされる許容範囲を一つの基準として知っておくことが、スマートな大人の振る舞いと言えるでしょう。
【レベル別】どこまでやる?メンズメイクの範囲
メンズメイクと一言で言っても、その目的や目指す仕上がりによって、使用するアイテムやテクニックは大きく異なります。ここでは、あなたの目的やスキルに合わせてステップアップできるよう、メンズメイクを3つのレベルに分けて具体的に解説します。自分がどこを目指したいのかを考えながら、読み進めてみてください。
レベル1:まずは基本の身だしなみメイク【初心者向け】
目的:肌の基本的なアラを隠し、最低限の清潔感を出すこと。
メイクをしていることを他人に気づかせず、「なんだか今日、肌の調子が良いな」と思われるレベルを目指します。使うアイテムは最小限で、毎日の習慣にも取り入れやすいのが特徴です。
ベースメイクで肌を整える(BBクリームなど)
メンズメイクの第一歩であり、最も印象を変えることができるのがベースメイクです。特に初心者におすすめなのがBBクリームです。
BBクリームは「Blemish Balm(傷を補う軟膏)」の略で、元々は医療現場で使われていたものです。美容液、日焼け止め、化粧下地、ファンデーションといった複数の機能が1本に凝縮されているため、スキンケアの後にこれ1本でベースメイクが完了する手軽さが最大の魅力です。
- 効果:肌の色ムラを均一に整え、薄いシミやニキビ跡、毛穴、気になる青髭などを自然にカバーします。製品によっては高い日焼け止め効果(SPF/PA値)を持つものも多く、紫外線対策も同時に行えます。
- 使い方:
- あずき1粒大ほどの量を手の甲に出します。
- 額、両頬、鼻、あごの5点に置きます。
- 顔の中心から外側に向かって、指の腹で優しく、ムラなく伸ばしていきます。特に、フェイスラインや髪の生え際は念入りにぼかし、首との色の差が出ないように注意しましょう。
- ポイントは「塗りすぎないこと」。カバーしたいからと厚塗りすると、かえって不自然に見え、崩れの原因にもなります。あくまで薄い膜を一枚顔に乗せるイメージで仕上げるのがコツです。
アイブロウで眉の形を整える
眉は顔の印象を決定づける「額縁」とも言われる重要なパーツです。ボサボサの眉や、途中で途切れている眉は、だらしなく頼りない印象を与えがちです。アイブロウを使って形を整えるだけで、一気に清潔感と知的な印象がアップします。
- アイテム選び:初心者には、細かい部分も描きやすいアイブロウペンシルが最も扱いやすいでしょう。色は、自分の髪色よりも少し明るめのグレーやブラウンを選ぶと自然に仕上がります。
- 使い方:
- まず、スクリューブラシ(眉用の小さなブラシ)で眉の毛流れを整えます。
- 鏡を見て、眉山から眉尻にかけて毛が足りない部分や、眉の下のラインがガタついている部分を確認します。
- ペンシルを軽く持ち、力を入れずに、毛を1本1本植えるようなイメージで描き足していきます。ベタっと塗りつぶすのは絶対にNGです。
- 眉頭は濃くしすぎると不自然になるため、ほとんど描かずに、最後にスクリューブラシで全体をぼかしてなじませる程度に留めましょう。
リップクリームで唇の乾燥を防ぎ血色感を出す
意外と見られているのが唇の状態です。カサカサに乾燥していたり、皮がむけていたりする唇は、不健康でだらしない印象を与えてしまいます。
- 効果:唇に潤いを与え、乾燥や荒れを防ぎます。縦ジワが目立たなくなり、ふっくらと健康的な唇に見せることができます。
- アイテム選び:まずは無香料・無色のものが基本です。慣れてきたら、ほんのりと血色感をプラスしてくれる色付きのリップクリームもおすすめです。男性向けに、テカテカしすぎないマットな質感のものも多く販売されています。
- 使い方:清潔な指、または直接スティックで唇に塗布します。特に乾燥が気になる場合は、縦ジワに沿って塗り込むと効果的です。
レベル1は、まさに「大人の身だしなみ」。この3ステップをマスターするだけで、あなたの印象は格段に向上するはずです。
レベル2:清潔感を高める応用メイク【中級者向け】
目的:BBクリームだけでは隠しきれない肌悩みを的確にカバーし、より洗練されたサラサラの美肌を目指すこと。
レベル1の基本メイクに慣れてきたら、アイテムを2つ追加してみましょう。より完成度の高い、隙のない印象を作り上げることができます。
コンシーラーで肌悩みをピンポイントで隠す
コンシーラーは「隠す」という意味の通り、BBクリームやファンデーションではカバーしきれない、局所的な肌悩みを隠すためのアイテムです。
- カバーできる悩み:
- 頑固なクマ:寝不足や疲れの象徴である目の下のクマを隠すことで、一気に健康的で若々しい印象になります。
- 濃いシミやニキビ跡:気になる部分だけを的確にカバーできます。
- 小鼻の赤み:赤みを抑えることで、肌全体の均一感がアップします。
- 気になる青髭:BBクリームの上から重ねることで、青みをより効果的に隠せます。
- 使い方:
- BBクリームを塗った後、気になる部分にコンシーラーを少量だけ「点」で置きます。
- コンシーラーを置いた部分の輪郭(境目)だけを、指の腹でトントンと優しく叩き込むようにして、周りの肌となじませます。中心部分をこすってしまうとコンシーラーが取れてしまうので注意が必要です。
- クマをカバーする場合は、クマの最も濃い部分(影になっている線の上)に線状にコンシーラーを置き、同様に境目をぼかします。
- 色選びのコツ:青グマにはオレンジ系のコンシーラー、赤みのあるニキビ跡には少しグリーンがかったベージュのコンシーラーを選ぶと、色補正効果でより自然にカバーできます。
フェイスパウダーでテカリを抑えサラサラ肌に
男性の肌は女性に比べて皮脂の分泌量が多い傾向にあります。せっかくベースメイクで肌を整えても、時間が経つと皮脂でテカテカになってしまっては台無しです。そこで活躍するのがフェイスパウダーです。
- 効果:ベースメイクの仕上げに使うことで、余分な皮脂を吸着し、テカリやベタつきを長時間防ぎます。肌表面がサラサラになるため、マスクにメイクが付きにくくなるというメリットもあります。また、毛穴をふんわりとぼかして、よりきめ細かい肌に見せる効果も期待できます。
- 種類:粉状の「ルースパウダー」と、固形状の「プレストパウダー」があります。初心者や持ち運び用には、粉が飛び散りにくいプレストパウダーが便利です。色は、肌色に影響しない無色透明(トランスルーセント)タイプがおすすめです。
- 使い方:
- 付属のパフや、別売りのフェイスブラシにパウダーを適量含ませます。
- 一度手の甲などで余分な粉を落としてから、顔に乗せます。
- テカリやすいTゾーン(額、鼻)や、マスクで蒸れやすい口周りを中心に、ポンポンと軽く押さえるようにしてつけていきます。顔全体にベタっと塗ると厚化粧感が出るので、あくまで薄く、ふんわりと乗せるのがポイントです。
レベル2のメイクは、特に人と接する機会の多い営業職の方や、写真撮影がある日などにおすすめです。「清潔感」をもう一段階上のレベルに引き上げてくれます。
レベル3:もっと印象を変える本格メイク【上級者向け】
目的:単に欠点を隠すだけでなく、光と影を操り、色を加えて、なりたい印象(クール、知的、優しいなど)を能動的に作り出すこと。
自己表現としてメイクを楽しみたい、周りと差をつけたいという上級者向けのテクニックです。TPOを選ぶ必要はありますが、使いこなせば大きな武器になります。
アイシャドウ・アイライナーで目力を強調する
目元は人の視線が最も集まる場所。ここに少し手を加えるだけで、顔全体の印象を劇的に変えることができます。
- アイシャドウ:目元に陰影を与え、立体感や深みを演出します。メンズメイクでは、肌なじみの良いマットな質感のブラウンやベージュ系が基本です。ラメやパールが強いものは避けましょう。アイホール(眼球のくぼみ)全体に薄いブラウンを指でサッと塗るだけでも、目がくぼんで見え、彫りの深い印象になります。
- アイライナー:目の輪郭をはっきりとさせ、目力をアップさせます。メンズメイクで自然に見せるコツは、まつ毛とまつ毛の隙間を埋めるように「インライン」を引くこと。ペンシルタイプのアイライナーで、上まぶたのキワを点で埋めていくだけで、やりすぎ感なく目のフレームが強調されます。色はブラックよりもダークブラウンが柔らかい印象でおすすめです。
シェーディング・ハイライトで立体感を演出する
彫刻家が彫刻刀で作品を掘り出すように、光と影を巧みに使って顔の骨格を際立たせるテクニックです。
- シェーディング:影色(ブラウン系のパウダーなど)を使い、顔を引き締めて見せたい部分に影を作ります。フェイスライン(エラの部分)や、鼻筋の横にブラシでふんわりと入れると、顔がシャープに見え、鼻が高く見えます。
- ハイライト:光を集める明るい色(パール感のあるパウダーなど)を使い、高く見せたい部分を強調します。鼻筋、目の下の頬骨の高い位置(Cゾーン)、あご先などに少量乗せると、顔に立体感が生まれ、生き生きとした印象になります。
- 注意点:シェーディングもハイライトも、入れすぎると非常に不自然になります。「入っているかわからない」くらいの、ごくごく薄い量から始めるのが成功の秘訣です。
コントロールカラーで肌色を補正する
BBクリームやファンデーションを塗る前に使う、色付きの下地です。特定の肌色の悩みを、色の効果で打ち消して補正します。
- 色の効果:
- グリーン:ニキビ跡や小鼻の赤みを打ち消す。
- イエロー:茶ぐすみや色ムラをカバーし、健康的な肌色に。
- ブルー/パープル:黄ぐすみを飛ばし、肌に透明感を与える。
- ピンク/オレンジ:血色感をプラスし、顔色が悪い時に。
- 使い方:顔全体に塗るのではなく、悩みが気になる部分にだけ薄く伸ばすのが基本です。例えば、頬の赤みが気になるなら、その部分にだけグリーンのコントロールカラーを仕込んでからBBクリームを塗ると、驚くほど赤みが目立たなくなります。
レベル3は、もはや「身だしなみ」を超えた「自己表現」の領域です。特別な日や、ファッションに合わせて自分の印象をコントロールしたい時に、ぜひ挑戦してみてください。
【TPO別】好印象を与えるメンズメイクの使い分け
メンズメイクの真価は、その場その場の状況、すなわちTPO(Time, Place, Occasion)に合わせて適切に使い分けることで発揮されます。毎日同じメイクをするのではなく、目的や会う相手に応じてメイクのレベルを調整することが、洗練された大人のマナーです。ここでは、代表的な3つのシーン別に、好印象を与えるためのメイクのポイントを解説します。
ビジネスシーン:清潔感と信頼感を重視
ビジネスシーンで最も重要なのは、「清潔感」「誠実さ」「信頼感」です。派手さや個性よりも、健康的で相手に不快感を与えない、ニュートラルな印象が求められます。メイクをしていることがバレる必要はなく、あくまで「身だしなみ」の延長線上にあるべきです。
- 目指すゴール:疲れた印象を払拭し、健康的でエネルギッシュな人物に見せること。
- 推奨メイクレベル:レベル1〜レベル2
- 具体的なメイク術:
- ベースメイク:
- BBクリームは必須アイテムです。寝不足によるクマ、剃り跡の青み、肌の色ムラを均一に整えるだけで、顔色が一気に明るくなります。特にオンライン会議では、カメラ越しだと肌のアラが目立ちやすいため、その効果は絶大です。
- 日中のテカリが気になる方は、フェイスパウダーをTゾーン(額・鼻)中心に軽くはたいておきましょう。サラサラの肌は清潔感を格段にアップさせ、会議中に額のテカリを気にする必要もなくなります。
- クマが特にひどい場合や、目立つニキビ跡がある場合は、コンシーラーでピンポイントにカバーします。完璧に隠そうとせず、8割程度隠れていれば十分です。厚塗りは絶対に避けましょう。
- ポイントメイク:
- アイブロウで眉を整えることは、ビジネスシーンにおいて非常に効果的です。形を整え、薄い部分を少し描き足すだけで、キリッとした知的な印象と、仕事への意欲や自信を表現できます。
- リップクリームは無色のものを選び、唇の乾燥を防ぎましょう。プレゼンテーションや商談など、話す機会が多い日ほど、唇の状態は相手の視線を集めます。
- ベースメイク:
- 避けるべきNGメイク:
- アイシャドウ、アイライナー、マスカラなどのアイメイク。
- シェーディングやハイライトによる過度な立体感の演出。
- 色付きのリップやグロス。
- 明らかに塗っているとわかる厚塗りのベースメイク。
ビジネスシーンのメンズメイクは、「マイナスをゼロにする」という意識が重要です。疲労や肌トラブルといったネガティブな要素をカバーし、あなたの本来持っている能力や人柄がストレートに伝わるための土台作りと捉えましょう。
普段使い・プライベート:ナチュラルさを意識
友人との食事やショッピング、趣味の集まりなど、リラックスしたプライベートな時間では、ビジネスシーンほど堅苦しくなる必要はありません。しかし、ここでも重要なのは「やりすぎ感のないナチュラルさ」です。頑張っているように見せず、「もともと肌が綺麗な人」「身だしなみに気を使っている人」という印象を目指しましょう。
- 目指すゴール:素肌感を残しつつ、清潔感のある健康的な印象を与えること。
- 推奨メイクレベル:レベル1〜レベル2+α
- 具体的なメイク術:
- ベースメイク:
- ビジネスシーン同様、BBクリームやコンシーラー、フェイスパウダーが基本となります。特に屋外で過ごす時間が長い日は、SPF値の高いBBクリームや日焼け止めをしっかり塗ることを意識しましょう。
- 肌のくすみが気になるなら、コントロールカラーを仕込むのも良いでしょう。イエロー系で健康的に見せたり、パープル系で透明感を出したりと、その日の気分や肌コンディションに合わせて調整できます。
- ポイントメイク:
- アイブロウはプライベートでも欠かせません。きっちり描きすぎず、パウダータイプのアイブロウでふんわりと仕上げると、より自然で優しい印象になります。
- リップクリームは、ほんのり血色感をプラスしてくれる色付きタイプに挑戦してみるのもおすすめです。ただし、あくまで自然な血色に見える範囲の色(コーラル系や薄いレッド系など)を選びましょう。
- もし少しだけ印象を変えたいなら、マットな質感のブラウン系アイシャドウを目尻にほんの少しだけ乗せたり、バレない程度のシェーディングでフェイスラインをスッキリ見せたりするのもテクニックの一つです。
- ベースメイク:
- 意識するポイント:
- 「完璧」を目指さない。少しの肌のアラは残っているくらいが、かえってナチュラルに見えます。
- 光沢感やラメ感の強いアイテムは避けるのが無難です。ツヤ肌よりも、セミマット〜サラサラな質感を意識すると清潔感が出ます。
プライベートでのメイクは、「ゼロをプラスにする」という意識。基本の清潔感をキープしつつ、自分の魅力を少しだけ引き出すためのスパイスとして楽しむのが良いでしょう。
デートなど特別な日:少し華やかさをプラス
大切な人とのデートやパーティー、記念日のディナーなど、いつもより少し特別な日には、メイクも少しだけドレスアップしてみましょう。ここでは、相手に「おっ」と思わせるような、洗練された魅力とほんのりとした色気を演出するのが目標です。
- 目指すゴール:やりすぎ感なく、いつもと違う特別感や魅力を演出すること。
- 推奨メイクレベル:レベル2〜レベル3
- 具体的なメイク術:
- ベースメイク:
- 化粧下地から丁寧に仕込み、肌の凹凸や毛穴をしっかりカバーしましょう。その上でBBクリームやファンデーションを重ねると、より崩れにくく、陶器のような滑らかな肌に仕上がります。
- シェーディングとハイライトを駆使して、顔に立体感を与えましょう。フェイスラインをシャープに見せ、鼻筋をスッと通すことで、横顔も美しく見えます。ただし、照明の下で不自然に見えないよう、ごく薄く入れるのが鉄則です。
- コンシーラーでクマやシミ、ニキビ跡などを完璧にカバーし、隙のない肌を作り込みます。
- ポイントメイク:
- アイメイクに挑戦してみましょう。マットなブラウンのアイシャドウで目元に自然な陰影をつければ、深みのある印象的な眼差しになります。さらに、ダークブラウンのペンシルアイライナーでまつ毛の隙間を埋めると、さりげなく目力がアップし、吸い込まれるような目元を演出できます。
- アイブロウはいつもより少しだけ丁寧に。眉山をややくっきりさせると、意志の強さを感じさせる精悍な印象になります。眉マスカラで毛流れを整えるのもおすすめです。
- リップは、保湿だけでなく、ほんのりツヤの出るタイプや、自然な血色感を与える色付きのものを選んでみましょう。
- ベースメイク:
- 成功のコツ:
- 事前に練習しておくこと。特別な日にぶっつけ本番で新しいテクニックに挑戦するのは危険です。
- 全体のバランスを見ること。目元を少し強調したら、他の部分はナチュラルにするなど、引き算を意識することが重要です。
特別な日のメイクは、「プラスをさらにプラスにする」ためのもの。自信を与え、その日をさらに素晴らしい思い出にするための、とっておきの魔法だと考えて、楽しんでみましょう。
バレずに好印象!ナチュラルメンズメイクの基本手順
メンズメイクで最も大切なのは「バレないこと」、そして「自然な仕上がり」です。ここでは、メイク初心者でも迷わず実践できる、スキンケアから仕上げまでの基本的な流れを7つのステップに分けて詳しく解説します。この手順通りに進めれば、誰でも簡単に清潔感のある好印象フェイスを手に入れることができます。
メイク前のスキンケアで肌の土台を整える
メイクの仕上がりは、その前のスキンケアで8割が決まると言っても過言ではありません。乾燥してカサカサの肌や、皮脂でベタベタの肌の上では、どんなに良い化粧品を使っても綺麗にのらず、すぐに崩れてしまいます。メイクは、しっかりと整えられたキャンバス(肌)の上に描く絵画のようなものです。
- 洗顔:まずは洗顔料をしっかりと泡立て、寝ている間に出た皮脂や汚れを優しく洗い流します。ゴシゴシこするのは肌への刺激となるため、泡で顔を包み込むように洗いましょう。すすぎ残しは肌荒れの原因になるので、髪の生え際やフェイスラインまで丁寧に洗い流します。
- 化粧水:洗顔後の肌は水分が蒸発しやすい状態です。すぐに化粧水を使い、肌に水分を補給します。500円玉大くらいの量を手に取り、顔全体を優しく手のひらで包み込むようにしてなじませます(ハンドプレス)。乾燥が気になる部分は重ね付けしましょう。
- 乳液・クリーム:化粧水で与えた水分が逃げないように、油分でフタをする役割を果たします。乳液またはクリームを適量手に取り、顔全体に薄く伸ばします。ベタつくのが苦手な男性は多いですが、この工程を省くと、肌が水分不足を補おうとして逆に皮脂を過剰に分泌し、テカリの原因になることがあります。さっぱりタイプの乳液などを選び、必ず使用しましょう。
この3ステップで肌の水分と油分のバランスが整い、メイクがしっかりと密着する土台が完成します。
日焼け止め・化粧下地を塗る
スキンケアの次、ベースメイクの前に重要なのがこのステップです。
- 日焼け止め:紫外線はシミやシワ、たるみといった肌老化の最大の原因です。日焼け止めは、夏だけでなく一年中塗るのが基本。スキンケアの最後に、日焼け止めを顔全体にムラなく塗りましょう。最近のBBクリームには日焼け止め効果が含まれているものも多いですが、長時間屋外にいる日などは、専用の日焼け止めを塗っておくとより安心です。
- 化粧下地:化粧下地は、肌の凹凸(毛穴など)を滑らかに整え、ファンデーションやBBクリームの「のり」と「もち」を格段に良くするアイテムです。また、皮脂の分泌を抑えてテカリを防ぐ効果や、肌の色ムラを補正する効果を持つものもあります。テカリやすい方は「皮脂崩れ防止下地」をTゾーンにだけ塗るなど、部分的に使うのも効果的です。
BBクリームやファンデーションを薄く伸ばす
いよいよ肌の色を整える工程です。ここでの鉄則は「少量ずつ、薄く、均一に」です。
- BBクリーム(またはリキッドファンデーション)を、あずき1粒大ほど手の甲に出します。
- 指先に取り、「額・両頬・鼻・あご」の5点に置きます。
- 指の腹全体を使い、顔の中心から外側に向かって、さっと伸ばしていきます。この時、力を入れすぎないのがポイントです。
- 細かい部分(小鼻のキワや目の周りなど)は、指先に残ったもので優しく叩き込むようにしてなじませます。
- 最後に、何もついていないスポンジで顔全体を軽くポンポンと叩き込むと、余分な油分が吸収され、ムラなく肌に密着し、より自然で崩れにくい仕上がりになります。
コンシーラーで気になる部分をカバーする
BBクリームだけでは隠しきれなかった、頑固な肌悩みをピンポイントで消していきます。
- スティックやリキッド状のコンシーラーを、隠したいシミ・ニキビ跡・クマの最も濃い部分に直接、または指やブラシで少量だけ乗せます。
- 重要なのはここからです。乗せたコンシーラーの中心は触らず、その周りの輪郭(境目)だけを、指先でトントンと軽く叩いてぼかしていきます。これにより、周りの肌との境界線がなくなり、自然にカバーできます。
- 青髭が気になる場合は、オレンジ系のコンシーラーを薄く広げ、その上からBBクリームを重ねると効果的です。
フェイスパウダーを軽くのせる
ベースメイクの仕上げです。テカリを防ぎ、サラサラの清潔な肌を一日中キープします。
- プレストパウダー(固形のおしろい)の場合、付属のパフに粉をとり、一度パフを揉み込むようにして粉を均一になじませます。
- テカリやすいTゾーン(額・鼻)や、マスクが当たる頬、あご周りから、ポンポンと優しく押さえるように乗せていきます。
- 顔全体に塗る必要はありません。特に乾燥しやすい目元や口元は避けるか、ごく薄くつける程度にしましょう。大きなブラシでふんわりと顔全体に乗せるのも、ナチュラルに仕上がるのでおすすめです。
アイブロウで眉の足りない部分を描き足す
整った眉は、顔全体の印象を引き締める重要な要素です。
- まず、スクリューブラシで毛流れを整えます。眉頭は下から上へ、中間から眉尻は斜め下に向かってとかします。
- アイブロウペンシルを使い、眉山から眉尻にかけて、毛が薄い部分や途切れている部分を、毛を1本1本描くように埋めていきます。
- 次に、眉の下のラインを軽く描き足し、輪郭を整えます。このラインが綺麗だと、眉全体が整って見えます。
- 最後に、もう一度スクリューブラシで全体をぼかします。特に眉頭はしっかりぼかして、描いた感がでないようにしましょう。
最後にリップクリームで仕上げる
最後の仕上げに、唇に潤いを与えて完成です。
- 無色、あるいはほんのり色づくリップクリームを唇全体に塗ります。
- テカテカしすぎるのが気になる場合は、一度ティッシュを軽く唇に当てて押さえる(ティッシュオフする)と、自然なツヤ感に調整できます。
以上が、ナチュラルメンズメイクの基本手順です。最初は時間がかかるかもしれませんが、慣れれば10分程度で完了します。一つ一つの工程を丁寧に行うことが、バレずに好印象を与えるメイクへの一番の近道です。
メンズメイクで失敗しないための3つのコツ
メンズメイクを始めたばかりの人が陥りがちな失敗。それは「不自然さ」です。せっかく手間と時間をかけても、周りから「あの人、化粧が濃いな…」と思われてしまっては元も子もありません。そうならないために、ここでは絶対に押さえておきたい3つの基本的なコツをご紹介します。これを守るだけで、あなたのメイクの完成度は格段にアップします。
① 自分の肌色・肌質に合ったアイテムを選ぶ
メイクで最もやってはいけない失敗の一つが、自分の肌と色が合っていないベースメイクです。顔だけが白く浮いていたり、逆に不健康に暗く見えたりする「白浮き」「黒浮き」は、厚化粧感や不自然さを一気に際立たせてしまいます。これを避けるためには、購入前のアイテム選びが何よりも重要です。
- 肌色のチェック方法:
- ファンデーションやBBクリームの色を選ぶ際は、手の甲で試すのはNGです。顔と手の甲では日焼けの具合も皮膚の色も異なります。
- 必ず、顔と首の境目である「フェイスライン」に直接、2〜3色を塗って試しましょう。そして、その中で最も肌に溶け込んで色の境目がわからなくなるものが、あなたに合った色です。
- 店内の照明だけでは正確な色がわかりにくいことがあります。できれば、自然光が入る窓際などで確認するのがベストです。少し時間を置いて肌になじんだ後の色を見るのもポイントです。
- 肌質に合わせた選び方:
- 脂性肌(オイリー肌):時間が経つと皮脂でテカリやベタつきが気になるタイプ。化粧下地は「皮脂崩れ防止」「オイルコントロール」と書かれたものを選びましょう。BBクリームやファンデーションも、オイルフリー処方のものや、サラッとした仕上がりのパウダータイプがおすすめです。
- 乾燥肌:肌がカサつきやすく、粉をふくこともあるタイプ。スキンケアでの保湿はもちろん、「ヒアルロン酸」「コラーゲン」などの保湿成分が配合された、しっとりタイプの化粧下地やリキッドファンデーションを選びましょう。仕上げのフェイスパウダーは、つけすぎると乾燥を助長することがあるので、ごく少量にするか、Tゾーンのみに留めます。
- 混合肌:Tゾーンはテカるのに、頬や口元は乾燥するなど、部分によって肌質が異なるタイプ。下地を使い分けるのが効果的です。Tゾーンには皮脂崩れ防止下地を、乾燥するUゾーンには保湿下地を塗ると、一日中快適な状態をキープしやすくなります。
自分にぴったりのアイテムを見つけることが、ナチュラルメイク成功への第一歩です。少し面倒でも、購入前のテスターでの確認は決して怠らないようにしましょう。
② 厚塗りせず、少量ずつ薄く重ねる
隠したいニキビ跡やクマがあると、ついついファンデーションやコンシーラーをたくさん塗り重ねてしまいがちです。しかし、厚塗りはメイクが崩れる最大の原因であり、シワや毛穴に溜まってかえって肌のアラを目立たせてしまいます。「塗れば塗るほど隠れる」というのは大きな間違いです。
- 基本は「薄膜」:ベースメイクの理想は、肌の上に均一な「薄い膜」を一枚だけ乗せるイメージです。BBクリームやファンデーションを一度にたくさん顔に乗せるのではなく、まずはあずき粒程度の少量から始めましょう。顔全体に薄く伸ばしてみて、それでもカバー力が足りないと感じる部分にだけ、ごく少量を指でトントンと重ね付けします。
- カバー力は「量」ではなく「重ね方」で調整:全体を厚くするのではなく、「全体は薄く、気になる部分だけをピンポイントで重ねる」というメリハリが重要です。肌悩みのほとんどは、レベル2で紹介したコンシーラーで対応できます。ベースはあくまで肌の色ムラを整える程度に留め、あとはコンシーラーの仕事と割り切りましょう。
- ツールを活用する:指で塗るとどうしても厚塗りになりがちな人は、メイクスポンジやファンデーションブラシを使ってみるのがおすすめです。ツールを使うことで、余分なファンデーションを吸収しながら薄く均一に伸ばすことができ、プロが仕上げたような自然な仕上がりになります。
「足りないかな?」と感じるくらいが、他人から見るとちょうど良いナチュラルさであることがほとんどです。常に「薄く、薄く」を心がけましょう。
③ メイク後は必ずクレンジングで落とす
これはメイクをする上での絶対的なルールです。「今日は疲れたから…」とメイクを落とさずに寝てしまうのは、肌にとって最悪の行為です。
- なぜクレンジングが必要か?:BBクリームやファンデーション、日焼け止めなどのメイク製品は、油性の成分を多く含んでおり、通常の洗顔料だけでは完全に落としきることができません。肌に残ったメイク汚れは、皮脂やホコリと混ざり合って毛穴を詰まらせ、ニキビや黒ずみ、肌荒れといった様々な肌トラブルの原因となります。
- クレンジングの種類と選び方:
- オイルクレンジング:洗浄力が最も高い。しっかりメイクした日や、毛穴の汚れが気になる人におすすめ。
- ジェルクレンジング:オイルよりはマイルドで、さっぱりとした洗い上がりが特徴。
- ミルク/クリームクレンジング:洗浄力は穏やかで、肌への負担が少ない。BBクリームとパウダーだけ、といった軽いメイクの日や、乾燥肌の人向け。
- シートタイプ:手軽ですが、摩擦による肌への刺激が懸念されます。旅行先など、どうしても時間がない時用の最終手段と考えましょう。
- 正しいクレンジング方法:乾いた手で適量のクレンジング剤を取り、肌の上で優しくクルクルと円を描くようになじませます。メイクが浮き上がってきたら、少量のぬるま湯を加えてさらにクルクルと混ぜ合わせる「乳化」という作業を行うと、汚れがすっきりと落ちやすくなります。その後、十分に洗い流し、最後に洗顔料でW洗顔を行います(W洗顔不要タイプを除く)。
「メイクは落とすまでがメイク」です。美しい肌を維持し、明日も気持ちよくメイクをするために、クレンジングの習慣は必ず身につけましょう。
やりすぎは逆効果?避けるべきNGメンズメイク
メンズメイクの目的が「清潔感」や「好印象」である以上、「やりすぎ」は最も避けなければならない事態です。良かれと思ってやったことが、かえって不自然さや違和感につながり、マイナスの印象を与えてしまうことも少なくありません。ここでは、特に初心者が陥りやすく、周りから「NG」と思われがちなメイクの例を具体的にご紹介します。
明らかに描いているとわかるアイライン
目力を強調しようとするあまり、アイラインが目立ってしまうのは典型的なNG例です。女性のメイクのように、くっきりとした黒いラインがまぶたの上に見えている状態は、メンズメイクにおいては「やりすぎ」と判断されることがほとんどです。
- NGな状態:
- ラインが太すぎる、またはガタガタになっている。
- 目尻から長く跳ね上げる「キャットライン」になっている。
- リキッドアイライナーなど、発色が良すぎるアイテムを使っている。
- なぜNGなのか:日常的なメンズメイクに求められるのは、あくまで「さりげない印象アップ」です。あからさまなアイラインは「化粧をしている」という事実を強く主張し、ナチュラルさとはかけ離れてしまいます。ビジネスシーンではもちろんのこと、プライベートでも不自然な印象を与えかねません。
- 正しいアプローチ:もしアイラインを取り入れるのであれば、その目的は「目の輪郭を強調する」ことではなく、「まつ毛の密度を濃く見せる」ことに置くべきです。
- 「インライン」に徹する:上まぶたを軽く持ち上げ、まつ毛の生え際、その「隙間」をペンシルアイライナーで点で埋めていくように描きます。この方法なら、外からラインは見えませんが、目のフレームが自然に際立ち、目力がアップします。
- 色選び:アイライナーの色は、ブラックよりもダークブラウンやグレーを選ぶと、肌なじみが良く、より柔らかく自然な印象になります。
濃すぎるアイシャドウやチーク
色を使ったメイクは、顔に華やかさや立体感を与えますが、一歩間違えると最も「やりすぎ感」が出やすい部分でもあります。
- NGな状態(アイシャドウ):
- ブルーやグリーン、ピンクなど、鮮やかな色を使っている。
- ラメやパールがギラギラと大粒に輝いている。
- まぶた全体に色が濃く乗り、グラデーションになっていない。
- NGな状態(チーク):
- 頬に「おてもやん」のように丸く、濃く色がついている。
- 肌色から浮いた青みのピンクや、鮮やかなオレンジなどを使っている。
- なぜNGなのか:メンズメイクの基本は、あくまで「陰影」と「血色感」の演出です。鮮やかな「色」を主張するメイクは、特殊な職業やファッションでない限り、多くの場面で浮いてしまいます。チークは、男性の場合、少し赤ら顔に見えたり、お酒を飲んでいるように見えたりするリスクもあります。
- 正しいアプローチ:
- アイシャドウ:使うなら、肌の色に近いマットな質感のブラウンやベージュ系に限定しましょう。アイホールに薄く伸ばして自然な彫りの深さを演出する程度に留めます。ラメやパールは避け、あくまで「影」を作ることに徹するのが成功のコツです。
- チーク:基本的には不要と考えるのが無難です。もし顔色が悪く、血色感を足したい場合は、ごく少量のコーラルベージュ系のチークをブラシに取り、一度手の甲で余分な粉をしっかり落としてから、頬骨の高い位置にふんわりと一刷けする程度に。「色が乗っているかわからない」くらいが正解です。
肌の色と合っていないベースメイク
これは技術的な失敗というよりも、アイテム選びの段階での失敗ですが、周囲に与える違和感としては最大級のものです。
- NGな状態:
- 顔だけが異常に白く、首の色との境界線がくっきりと分かれている(通称:白浮き、お面状態)。
- 逆に、顔色が悪く見えるほど暗い、または黄色すぎる色を選んでしまっている。
- なぜNGなのか:ベースメイクの目的は「素肌を美しく見せる」ことであり、「別の色の肌に塗り替える」ことではありません。肌の色と合っていないファンデーションは、どれだけ薄く塗っても不自然さが残り、「厚化粧」の印象を与えてしまいます。また、隠したいはずの肌のアラ(シワや毛穴)が、不適切な色の下でかえって目立ってしまうこともあります。
- 正しいアプローチ:これは「失敗しないための3つのコツ」でも述べた通り、購入前に必ずフェイスラインで色合わせをすることに尽きます。自分の肌は「標準色」だろうという思い込みは禁物です。人の肌色は、黄みが強い、赤みが強いなど千差万別です。面倒くさがらずにテスターで確認し、自分にぴったりの「第2の肌」となる色を見つけ出すことが、全ての基本となります。
これらのNGメイクは、いずれも「良く見せたい」という気持ちが先行しすぎた結果起こるものです。常に一歩引いた客観的な視点を持ち、「ナチュラルさ」「さりげなさ」という原点を忘れないことが、やりすぎを防ぎ、真の好印象を手に入れるための鍵となります。
初心者でも使いやすい!おすすめメンズコスメブランド5選
メンズメイクを始めたいと思っても、世の中には無数のコスメブランドがあり、どれを選べば良いのかわからない、という方も多いでしょう。ここでは、特にメンズメイク初心者でも手に取りやすく、コンセプトが明確で評価の高い5つのブランドを厳選してご紹介します。それぞれの特徴を比較し、自分の目指すスタイルやこだわりに合ったブランドを見つける参考にしてください。
(※本記事に記載の情報は、各ブランドの公式サイトを参照し作成していますが、最新の製品情報や価格については、公式サイトにてご確認ください。)
① FIVEISM × THREE
- ブランドコンセプト:「Individuality(個性)」をキーワードに、性別や年齢などの既成概念にとらわれない、新しい時代の自己表現を提案する総合コスメティックブランド。
- 特徴:
- 洗練されたデザイン:黒を基調としたミニマルでスタイリッシュなパッケージは、男性が持っていても様になります。
- 豊富なラインナップとカラーバリエーション:ベースメイクからアイメイク、リップ、さらにはネイルカラーまで、本格的なメイクアップアイテムが揃っています。ファンデーションのカラー展開も豊富で、自分の肌にぴったりの色を見つけやすいのが特徴です。
- 代表的なアイテム:スティックタイプのファンデーション「ネイキッドコンプレクション バー」は、直感的に使えてカバー力も調整しやすく、ブランドの象徴的な製品です。
- こんな人におすすめ:
- ファッションや美容への感度が高い人
- どうせやるなら本格的なアイテムで揃えたい人
- デパートコスメのような質の高さを求める人
- 主な購入場所:百貨店のカウンター、公式オンラインストアなど。
- 参照:FIVEISM × THREE 公式サイト
② SHISEIDO MEN
- ブランドコンセプト:世界的な化粧品メーカーである資生堂が、長年の皮膚科学研究の知見を注ぎ込んだ、男性特有の肌悩みにアプローチする高機能メンズケアブランド。
- 特徴:
- サイエンスに基づいた機能性:スキンケア製品に定評があり、エイジングケアや保湿、皮脂コントロールといった肌の根本的な悩みに応える技術力が魅力です。
- ビジネスシーンにも馴染む品質:メイクアップ製品は、BBクリーム(ヴァイブラント BBモイスチャライザー)やコンシーラーなど、ビジネスシーンでも使える清潔感を重視したアイテムが中心。自然な仕上がりとスキンケア効果を両立しています。
- 信頼と安心感:資生堂という日本を代表するブランドへの信頼感は、初めてコスメを使う男性にとっても大きな安心材料となります。
- こんな人におすすめ:
- 30代以上のビジネスパーソン
- メイクだけでなく、スキンケアから本格的に始めたい人
- 肌悩みに対して、科学的根拠のあるアプローチを求める人
- 主な購入場所:百貨店のカウンター、ドラッグストア、公式オンラインストア(ワタシプラス)など。
- 参照:SHISEIDO MEN 公式サイト
③ ORBIS Mr. (オルビス ミスター)
- ブランドコンセプト:「スマートスキンケア」を掲げ、男性の肌にとって本当に必要なものだけを、シンプルかつ合理的に提供することを目指すブランド。
- 特徴:
- スキンケア発想のアイテム:スキンケアブランドであるオルビスの知見を活かし、メイクアイテムにもうるおい成分などが配合されています。肌への優しさと、ベタつかない快適な使用感が追求されています。
- 清潔感を重視した設計:代表的なアイテムである「ミスター ベースカラー コントローラー」は、肌の赤みやクマなどを色で補正し、自然にトーンアップしてくれる化粧下地。ファンデーションを塗るほどではないけれど、顔色を良く見せたい、というニーズに応えます。
- シンプルなステップ:複雑な手順を必要とせず、日々のルーティンに手軽に取り入れられる製品設計が魅力です。
- こんな人におすすめ:
- ベタつきやテカリが気になる人
- ごく自然に、バレない程度に肌をきれいに見せたい人
- シンプルなケアを好むミニマリスト志向の人
- 主な購入場所:オルビスの店舗、公式オンラインストアなど。
- 参照:ORBIS Mr. 公式サイト
④ uno (ウーノ)
- ブランドコンセプト:資生堂が展開する、若い男性の肌悩みやライフスタイルに応えるマスマーケットブランド。「大人への進化」をサポートする、手軽で高機能なアイテムを提供。
- 特徴:
- 圧倒的な入手しやすさ:全国のドラッグストアやコンビニエンスストアで手軽に購入できるため、メンズメイクを「まずはお試しで」始めてみたい人に最適です。
- 初心者に優しい製品設計:特にBBクリームである「フェイスカラークリエイター」シリーズは、メンズメイク入門の定番アイテム。肌悩みに合わせて数種類から選べ、洗顔料で落とせる手軽さも人気の理由です。
- コストパフォーマンス:比較的手頃な価格帯でありながら、確かな品質を提供している点も大きな魅力です。
- こんな人におすすめ:
- 10代〜20代の学生や、メイク初心者の社会人
- 何から買えば良いか全くわからないので、まずは定番品から試したい人
- コストを抑えてメンズメイクを始めたい人
- 主な購入場所:全国のドラッグストア、スーパー、コンビニエンスストア、オンラインストアなど。
- 参照:uno 公式サイト
⑤ BULK HOMME (バルクオム)
- ブランドコンセプト:「THE BASIC」をテーマに、男性の肌にとって本当に必要なものは何かを徹底的に追求。ベーシックながらも本質的価値を持つ製品作りを目指すスキンケアブランド。
- 特徴:
- 品質へのこだわりと世界観:機能性はもちろん、製品のテクスチャー(使用感)や香りにもこだわり、毎日のケアが楽しみになるような体験を提供します。シンプルでおしゃれなパッケージも人気の理由です。
- スキンケアが主軸:もともとはスキンケアブランドとして高い評価を得ており、その延長線上としてメイクアップ製品も展開。BBクリーム「THE IMPRESSION」は、スキンケア成分を配合し、メイクしながら肌をケアする発想で作られています。
- ギフトにも人気:その高いデザイン性と品質から、プレゼントとして選ばれることも多いブランドです。
- こんな人におすすめ:
- スキンケアからこだわり、ライン使いで揃えたい人
- 製品の成分や使用感、香りを重視する人
- デザイン性の高いアイテムで気分を上げたい人
- 主な購入場所:公式オンラインストア、一部のバラエティショップや百貨店など。
- 参照:BULK HOMME 公式サイト
まとめ
この記事では、「メンズメイクはどこまでやるべきか」という疑問を軸に、その背景から具体的な方法、失敗しないコツまでを網羅的に解説してきました。
現代においてメンズメイクが注目されるのは、ジェンダーレスな価値観の広がりや、ビジネスシーンでの印象管理の重要性の高まりなど、様々な社会的背景があります。もはや、メンズメイクは一部の特別な人のためだけのものではなく、自信を高め、円滑なコミュニケーションを助けるための有効な「身だしなみ」であり「自己表現のツール」として広く受け入れられつつあります。
重要なのは、画一的な正解を求めるのではなく、「自分の目的」と「TPO」に合わせて、メイクの範囲やレベルを自在にコントロールすることです。
- ビジネスシーンでは、清潔感と信頼感を最優先し、BBクリームやアイブロウでマイナスをゼロにする「身だしなみメイク」(レベル1〜2)を。
- プライベートでは、ナチュラルさを意識しつつ、色付きリップなどで少しだけ個性をプラスする「好印象メイク」(レベル1〜2+α)を。
- デートなどの特別な日には、シェーディングやアイメイクなども取り入れ、いつもと違う魅力を演出する「自己表現メイク」(レベル2〜3)を。
このように、状況に応じてメイクを使い分けることが、洗練された大人の振る舞いと言えるでしょう。
これからメンズメイクを始める方は、まず「レベル1:基本の身だしなみメイク」で紹介した、BBクリーム、アイブロウ、リップクリームの3つのアイテムから試してみるのがおすすめです。そして、失敗しないためには、以下の3つのコツを常に心に留めておいてください。
- 自分の肌色・肌質に合ったアイテムを選ぶこと
- 厚塗りせず、少量ずつ薄く重ねること
- メイク後は必ずクレンジングで丁寧に落とすこと
この記事が、あなたがメンズメイクへの一歩を踏み出すための、そして自分らしいスタイルを見つけるための、信頼できるガイドとなれば幸いです。メイクという新しいツールを手に入れて、ぜひ、より自信に満ちた毎日をお過ごしください。